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物語を食べたくて、私は絵を描いている

絵は生まれた瞬間、同時に受け手もこの世に生まれる

この言葉は、私の絵のメンターのしゅんちゃんが教えてくれたもの。
しゅんちゃんもこの言葉を友人から聞き、その友人も知人から聞いたのだとか。私が大事にしているこの言葉はまた、私の口を通じて伝播される。

私の口上にこれがよくのぼるのは、絵を描いて人に渡すたびに強く実感するから。

描いた絵に、絶妙なタイミングで受け手が現れる。
その手渡すタイミングや絵の持つ意味が、作者である私にメッセージをもたらすことも。

「もうそのテーマは後にしたよ」
「そんなあなたの意識を受け取ってもらえるフェーズになったよ」
「次の方向性はこっち」

私は「つくり手」のようでいて、最初の受け手でもあるのかもしれない。

そんなエピソードを1つばかりシェアしようかと思ったのだけど、ここ1ヶ月の中でも、素敵な物語だらけなことに気づく。(軽く4、5ストーリーはある)ので、今回はまず2つ、惜しまずに披露させていただき、絵にまつわる物語を楽しんでいただけたら(嬉しい)


物語の紡ぎ手:インテリアデザイナーさん

先日私のサイトに、知らない方からご連絡が入った。
インテリアデザイナーさんからの問い合わせで、新規オープンのマンションギャラリーのメインエントランスの絵をお願いしたい。とのこと。

なぜ私に連絡をくださったのかを聞くと、過去のある作品に対していろいろと語ってくださる。

・「哀しみ」や「絶望」という感覚が嫌いではないこと
・この絵にはそれがあるけど、その絶望が深すぎないこと
・その哀しみ一色ではなく、船があるあたりに救いを感じること
・普段なかなか首を縦に振らない彼が、「これはかっこいい」と言ってくれたということ…

絵の説明にはそんなこと一言も書いてないのに、読み取ってくださることがありがたいやら嬉しいやら。

そして次の瞬間、私はこうつぶやいてしまう。

「よかったらその絵、お渡ししますよ。」

当然先方は困惑されるのだけど、私からすれば、そんな物語を運んでくださったことへのささやかなお礼である。(今回は特に、絵の案件まで持ってきてくださったことも大きい)

インターネットの情報の海から私の絵を見つけ、絵に何かを感じ、わざわざ問い合わせをして、会いに来てくださった。そして各々の作品に、的確で情緒あふれるストーリーを披露してくださる。

もう十分に、お腹いっぱいの物語を食べさせてもらった。
こんな物語を食べたくて、私は描く。

ちなみにそんな物語のお供になった絵は、こちらの1枚でした。

タイトル:方舟 / hakobune


物語の紡ぎ手:国宝伝道師、アート鑑賞で個性の自己承認を促す智子さん

これまでの集大成のような絵が描けた。
私はその絵に「newtopia」と名付けた。
もう数ヶ月も前からあたためていた単語。

過去のnoteを見返して思ったのだが、つくづく私は同じことを言っている。たった一つの願いのために、絵を描いている。それがやりたいのか?とか好きか?なんて聞かれても答えられない。なぜなら自分の意志とは関係なくその願いは存在しているから。それを人は「お役目」なんて言うのかもしれない。この、意志はないのになぜか突き進んでいる感覚は、そうとしか言いようのない不思議さだ。

その願いの正体とはこれ

人が、自分の人生や自身の美しさに感動する瞬間をつくりたい
人が、自分の本当の願いに思い至るしかけをつくりたい

もう、これにしか集約されようがない。
今までやってきた「理念づくり」もまさにそう。
人が自分の人生に感動し、想いを新たに未来へ向かう足取りをつくりたい。

話はちょっとふくらんでしまったけど、”newtopia”は、「new=新しい」と「utopia=理想の地、桃源郷」を組み合わせた私の造語。少し意訳して、「自分の本当の願いがある場所」という意味でつかっている。

絵の前に立った人の心が解放され、素の、真の自分に触れる。まずその時点で出会えたことに感動し、涙するかもしれない。そしてそんな浄化の後に訪れる、自己のnewtopiaへの気づき。そんな絵を描きたくて、何より自分がnewtopiaに生きなければ、と生きている。

その願いを絵にし、「newtopia」を冠した絵を生み出すことができた。

タイトル:newtopia

私も嬉しかった。愛しい絵ができた。

Facebookにnewtopiaの概念とともにアップしたところ、たくさんの方から反響があった。新しい門出、これから進む道を祝福された思いだった。

おうちで眺めていると、いつもの「圧」みたいなものがなく、少し不安にもなった。(そう、私の今までの絵は、なんだかエネルギー強めなのだ)だけど、Facebookのコメント欄に「癒されつつ、解放されていく」というコメントをいただく。そうそうこの絵はエネルギー放出系の絵ではなく、見ていたらスルスルと解放されていく。そういう絵なのだ。見ていると、良い意味で「無」になる。思考を停止されたかと思うくらい、ほどけていく。この子はそういう子なんだ。

人気なこの子は一体どこに行くんだろう?と思っていた矢先、アート鑑賞をお仕事にしている智子さんから連絡が入る。

「絵が欲しいので、見に行ってもいいですか?」

とのこと。
嬉しいご連絡に胸が高まる反面、「もうお嫁に行っちゃうの?」という寂しさもチラリ。

あれよあれよと話は進んで、次に日に智子さんは見に来てくださることになった。

その日は偶然、絵のメンターのしゅんちゃんがおうちにいた。
来たるアート合宿の開催に向けて、二人で発注作業に勤しんでいた。

本当はしゅんちゃんのおうちでやるはずが、直前で我が家に変更になった。その結果、智子さんに絵を見てもらえることになった。発注作業が長引き、会うはずのなかった3人が集まった。

智子さんに会う前、しゅんちゃんからこの絵にいろいろとフィードバックをもらった。2年半前に初めて絵を描いたときから、ほぼ全ての絵を見てくれたしゅんちゃんだからこそ、見える場所がある。

新たな間、美しさが出現したね。おめでとう。力が抜けて、ありのまま、あるがまま、私の美しさがある、をうけとってるよ。

というコメントをもらったりした。

そんななか現れた智子さん。

たくさんの話をしたのだけど、「解放」という話があった。

ほんの数日前、30年以上抱えていたと言っても過言ではない「解放」があったという。
智子さんにはお姉さんがいて、大好きな存在なんだけど、なぜか今まで一度もその好意を伝えることがなかった。幼少期から、仲が悪いという程ではない。でも、何か打ち解けられていない。もっと仲良くしたいけど、うまくできない感じ。。。
だけど、智子さんとお姉さんはタイプも全然違うし、お姉さんが仲良くしたいと思っているかもわからない。どうこうするものでもないと思っていたけれど、ある事をきっかけに、好きだと伝えることが今の智子さんにとって必要で、乗り越えるべきことだと考えたそう。

決意して割とすぐに、電話口で「お姉ちゃん、好きだよ」と伝えた智子さん。
それに対してお姉さんから秒で「私も智ちゃん好きだよ」と返ってきたらしい。
そのお姉さんからの返答で、智子さんの目からは大粒の涙がたくさんあふれた。智子さんはそんなストーリーを私に語ってくれました。

それで解放されたものがなんだったのか、は私には図知らないところ。
だけど、きっとすごくすごく大きな境目だったのかな。
そこから智子さんは、ご自身のことをさらに認めてあげられるようになったとも話してくださいました。

そこに現れた、newtopiaという一枚の絵。
智子さんとお姉ちゃんとのやりとりと同時期に描かれたこの絵。
シンクロを感じるのは自然だよね。

智子さんのキャリアはそのほとんどがサラリーマンなのだけど、独立してやり始めたところ。アートをお仕事にすることの覚悟も込みで、絵の購入を考えられたそうだ。

解放と覚悟、そんな想いを胸に、智子さんは一度おうちを後にした。

翌朝私の方からご連絡。
正式なお値段と、智子さんにもらっていただけたら嬉しい。というメッセージを添えて。

智子さんからはすぐに返信が。
なんと今日は、インテリア デザイナーさんとの打ち合わせが入っていて、まだ何の絵を買うかなど決めてないときにお願いして、どんな絵を置いたら良いか含め、アドバイスをもらう予定だったそう。それが絵が決まり、具体の話をする運びになった、と。(ほんとこういうの面白いよね)

そして続く言葉に、私は本当に嬉しくなりました。

ゆっこちゃんの絵を我が家に迎え入れるのは、新しい家族みたいな、例えばペットとかみたいな気分で、家をピカピカにして、整えてお迎えしたいと今朝、決まってない段階から掃除しながら、フフフ💕(まだわからないけど、嬉しい気持ちなんだなーって感じながら)掃除してたよ。

そっか、絵を迎え入れるというのは、新しい家族やペットを迎え入れるような感覚なんだ。まるで生命のように捉えてくださるなんて、胸がもう、ほこほこのほっこりなんだ。。。♡♡♡

また、智子さんのツイートも、「物語の共創」を感じて嬉しくなりました。
そう、絵というメディア(媒介)を通じて、現状や未来、あるいは過去含めて紡いでいく感覚。解釈や関わりが自由だからこそ、アートはいろんな物語の受け皿になってくれることを感じます。

ということで、なかなか長くなったのですが、ストーリーはここまで。
またインテリアデザイナーさんや、智子さんのおうちに絵が届いてからの物語が楽しみ。

自慢じゃないと言いつつ自慢(笑)なんだけど、私が描いてお渡しする絵の一つ一つに、こんな物語がたくさんつまってる。それが楽しくて、私は絵を描く。

これからも、物語をむしゃむしゃすることを楽しみに創作に励みます!

追伸:newtopiaちゃんは、生まれてから5日という最速!でお嫁に行ったけど、智子さんのご好意で、こちらの展示には出展いたします。newtopiaちゃんをご覧いただける最初で最後の機会だと思うので、ぜひぜひお越しください^^


また、「感じる力を磨いて世界を広げる」をコンセプトに活動されている智子さんのサイトはこちら。よかったらメルマガ登録もしてみてください♡

3月と4月に、体験講座も開催されます💡

本コースでは、こんな回も企画されているそう。
楽しそうだなぁ☺️


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