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コミケの戦利品を紹介していく2 C95

コンシューマ機を開発していた頃のSEGAの中期後期の作品を中心に好き勝手にレビューや皮肉を書き記した辞典。

批評と言うよりは読者を確信犯的に笑わせに来ているので、米澤氏に「批評になってない」と言った主旨のお墨付き(?)を頂いたらしいとかなんとか。

この辞典は98年に最初の版が発行され、後に間隔をおいて続刊という形で項目が追加されいる。

今回の完全版としての発刊は実に14年ほど経過しており、この本が出たきっかけもレトロゲームショップが持ちかけたとのこと。

平成最後の集大成かそれともけじめと呼ぶべきか。

自分はセガハードに関してはにわか者だという自覚があり、この本の内容には同意できないところもある。この本では酷評されてるナイツは好きだし。

ハードは任天堂でスーファミにのめり込んでいたので、メガドライブのソフトは野暮ったくて、変にくどい印象を持っていた。なんというか、延々とルー大柴を眺めているような気分でもあった。

そう言ってしまうと一部から怒られてしまうかもしれないけれど、自分の感覚はファミレス感覚で当たり障りの無いものを選んでいたということなんだろう。

メガディクショナリに出会ったことで、中古のメガドライブを貰い受け、中古のゲームショップに足を運ぶようになった。すんごい安かった。

ソードオブソダンとかクライングとかスライムワールドにも手を付けた。まあ、難しくて結局はクリアできなかった。

メガドライブを主要に遊んでいる後輩がいて、雑誌が主催したソードオブソダンのハイスコアコンテストに応募するほどの腕前を持っていた。

そういう人たちを数人出会ってきたが、自分には持っていない何かの濃さを持っているのを感じていた。

セガハードに関わるゲームは惹きつける何かがあるように感じている。それは任天堂やソニーには持っていないなにかがある。

自分はそれなりにメガドライブを楽しませてもらったけれど、のめり込むほどにツボにははまれなかった。

ただ、このSEGAの世界に少しでも入れたことに関してはこのメガディクショナリには感謝をしている。

ベアナックル2をスチームで購入したけれど、ぶっちゃけ、「劣化版ファイナルファイト」と言われたら、瞑目して静かに頷くだろう。でも、これは特に好きな作品なんだ。

内容についてはどこを拾い読みしても面白いところばかりだけど、まず読んでほしいところは序文である。好き勝手書いているけど、あくまでナンセンスだからという一言を大げさに書いているところは、記事を読んで感情的になっても、ここを読んでおけば正気に戻れる。

本書は、自らをまったくもって意味のない「ナンセンス」と定義する。微塵の正確性もない、単なる無意味を愉しみ得る読者子のみに向けて発信する。本書は矛盾である。本書の内包する過激を越えた詭激的な思考は、そのあまりに極端故に全くの喜劇と化している。そして、内容の多様さはすでにゲームレビュー辞典の体をなしていない。この事自体が、一つの大きな逆となっているのだ。

ゲームレビュー本とは少し言い難いほどのジャンル位の広い辞典なのだけれど、自分としてはレビューするにあたっての砥石的な存在においておきたい。

近年インターネットが広まってから、ゲームハードの掲示板には度を超えたやり取りが因縁深く続いている。

ゲームを愛するゆえの裏返しなのだろうけれど、アンソニーとセガールになってしまえば、不毛さも醜さも自覚できない。

この本を顔を真赤にして、手汗がにじむほど読み込んでおけば、やがて俯瞰した立場になってアルカイックスマイルでいられるようになるだろう。

たぶん。


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