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ぱソんこがライターとして書いた取材・レビュー記事一覧(2023)

筆者紹介:ぱソんこ(Twitter:@passonco)——VRとゲームを好む兼業フリーライター。2016年にPANORAでVRライターとしてデビュー。2018年にはIGN JAPANでゲーム記事を書き始め、それ以降はIGNJを中心に活動。2021年より東京のVRゲーム会社でゲームデザイナーをやっている。2023年からはエンジニアの修行もしている。

2023年のVRは前年と比べてハードウェア出荷台数が落ち込んだ年なのはぶっちゃけそうなのだが、これについては別に記事を書いていて、2024年の1月には公開されるんじゃないかと思う。

この記事では主にゲームのレビューや取材記事をサイト毎の時系列順に載せている。自分で数えたら2023年は16本の記事で、2022年が9本だったので7本増えた。ぶっちゃけ減ることはあっても増えるとは思ってもみなかった。

IGN JAPAN(8本)

2022年を振り返る個人GOTY:渋谷宣亮 ミステリーゲームの過程とオチのバランスに唸る(2023年1月13日)

IGN JAPANではこれまで各ライターの個人GOTYという記事が年末年始に公開されていたのだが、2023年末時点で自分はこれを書いていない。まあ2022年の振り返り記事が1月13日に公開されている様子からもわかるとおり、パンクしてたんだろうなと思う。個人的に直近プレイしていたゲームを振り返るには個人GOTYはいい機会だったので、自分のブログとかでやればいいんかな。どうだろうか。

Steam Deckの中身「SteamOS」はValveが10年以上かけた生存戦略の結晶だ(2023年1月22日)

自分がライターとして秀でている点としては情報収集と技術的・歴史的な分析であり、自他ともにある程度その業績が認められたのでこういったゲーム業界系の分析記事を書かせてもらえる機会が回ってきた。これはそれなりによくできた記事だと思うものの、最後の方に書かれているものは後から加えたものであり、もうちょっとスマートにまとめられればと心残りである。でもSteam Deckよりも後に出てきたROG ALLYとかLEGION GOといったフォロワーがそこそこ人気出るのは意外だった。

「PlayStation VR2」先行体験レポート コスパよくリッチなVRデバイスと不釣り合いなVR版「Horizon」(2023年2月16日)

VRハードウェアは何度か取材したりレビューしたりしたが、PS VR2のレビュー記事を書くことが決まったときはそれなりに緊張した。やはり会社勤めの身でありながら平日に締め切りが来る状態で記事を書くのはヤバい切迫感があり、編集部にはいろいろと迷惑をかけた。申し訳なかった。個人的にHorizon Call of the MountainはHorizonファンなら楽しめるけど、それ以外の人にとってはそうでもないんじゃねえかなと思います。

PS VR2は2024年までに運命が決まる その理由と、重要になる3つの施策(2023年3月21日)

PS VR2の予測記事は2022年に書いたのだが、PS VR2発売後に改めて書いたのがこれになる。同じテーマで記事を二度書くのは珍しいが、実際に触る前と後ではいろいろ違いますものね。PS VR2発売から1か月経ってから公開したことで、改めて冷静に見れた部分もあったのだと思う。

Apple Vision Proのゲーム機としてのポテンシャルを評価する(2023年6月26日)

自分がプレイしていないゲーム機の予測記事を書くというエアプこたつ記事だが、なにせApple Vision Proは実際に体験しても情報解禁まで何もしゃべってはいけないNDAがあるので、それならばかえってエアプの方が記事を書きやすいまであった。Apple Vision Proをまじめにゲーミング端末として考える記事はないはずであり、これは同時にMRゲームに対する自分の考え方でもある。よむ価値はある。

東京大学「ゲームの美学」講演レポート:“手描き”でゲームに参加させるアーティスト「ジェレミー・コルティアル」(2023年8月13日)

2023年7月に趣味で言った東京大学ゲーム研究の講演の内容について、編集部に相談して記事を書かせてもらうことになった。ジェレミー氏の講演は手書きピンボールが特に魅力的だなあと思いました。

東京大学「ゲームの美学」講演レポート:ビデオゲームの外側「メタゲーミング」を知る(2023年8月13日)

上記と同じく東京大学ゲーム研究の講演記事であり、これははてなブックマークの数が多かったのが印象的である。アカデミックな方向の記事に関われたことで、今後はそっちのほうにも手を伸ばしてみようかなという気分になった。

Meta Quest 3を買う前に知っておきたいポイント 「Quest 3」というよりも「Quest 2 Pro」だが、価格だけの価値はある(2023年10月29日)

Meta Quest 3の発売後に一番話題になったのは皿洗いをしながらYouTubeの動画を見る様子で、色々と話題になった。ただ、それを常用するにはいろいろと足りないところがあるよね~という話をした。でもそれが不便なくちゃんとできるようになるならそれに越したことはないよね。

MoguraVR(4本)

2023年は初めてMoguraVRで記事を書かせていただいた。昔に一度落ちたことがあったが、なんかの縁で書けたのは非常に幸いであった。

【PSVR2】柴犬が人間を導く不条理パズルゲーム『HUMANITY』レビュー 湯水のごとく湧き出る群衆の“うごめき”は圧倒的(2023年5月22)

ゲーム自体は面白かったけどVRでプレイするとユーザーの快適性が最悪になるとんでもないゲームだったが、なぜかゲームアワードなどでVRでのプレイが推奨されていたのが本当に納得がいかない。みんなもっとVR酔いに対して厳しくなろう。

ひとりの若きゲームクリエイターが力業で生み出したVRゲーム『Vertigo 2』は、今年一の傑作である(2023年5月30日)

このゲームのことが好きだったから書いた。Vertigo 2はHalf-Life: AlyxやBoneworksに並ぶVRゲーム三大シューターとしましょう。ホントに。

きみはATARIの時代を知っているか?「PIXEL RIPPED 1978」で北米ゲーム業界の原風景をVRで追体験(2023年6月14日)

Pixel Rippedシリーズは1980年代や1990年代のゲームキッズへの憧憬や郷愁をテーマにしていたのが、1970年代はもはや古すぎてプレイヤー側が共感できなくなってしまった悲劇のゲームだと思う。

3Dスマブラ風VRゲーム『QUANTAAR』レビュー スナック感覚で遊べる手軽さがポイント(2023年7月4日)

VRゲームの三人称視点がいかに厳しいのかということを過去にnoteで記事を書いたが、それを体現するようなゲームだった。スマブラに影響を受けたゲームはあっても、なぜスマブラ同様のふっとばしシステムを採用した3Dゲームが(VRでなくとも)存在しないのか、ゲームデザインの本質を見誤って表面をなぞるだけではいけないのだ。

電ファミニコゲーマー(1本)

PSVR2から紐解く“VRがこの7年で変化したこと”―「VRってどこまでやっていいの?」を7年間実験した結果、“見るVRから動くVR”へ変化していた(2023年2月27日)

自分の所属している会社から「なんか記事を書いてくれ」と言われて書いたらそれがそのまま電ファミニコゲーマーに掲載されたという不思議な経緯がある。でもこの記事は自分の思想がよく表れているので、「この渋谷というやつはVRをなんだと思っているんだ」と思う人がどこかにいれば、この記事を読むとよい。ここで自分の思想を言語化したおかげで他の記事にも応用したり、自分の主張がぶれにくくなったと思う。

技術評論社(3本)

先述の東京大学ゲーム研究の講演に行ったとき、技術評論社の編集者の方と知り合った。それをきっかけに技術評論社でもVRの記事を書かせていただけるようになった。Unityを使ってVRコンテンツを開発するための解説記事であり、自分の目標としては「コンテクストを含む」よう心掛けている。ピンポイントな解決方法だけ書いても用途や前提知識が分からなければ結果的にうまくいかないもので、そういった点を補うために自分が記事を書く意義がある、と信じたい。

Meta QuestとUnityで環境構築をはじめよう(2023年10月6日)

UnityのVRサンプルの導入方法を解説する記事だが、久しぶりにUnityのVRサンプルを触って驚いたのはある。この記事自体はUnityを触る前にVRとはなんぞや、という点を説明している。さっき言った「文脈を重視する解説」だ。

VR開発の基礎「移動と酔い対策」を点検しよう(2023年11月17日)

ちょうど社内で自分がゲームデザイナーからゲームエンジニアにジョブチェンジが発生した&Unityを使った研修が始まった時期であり、そこの勉強結果もかねて記事を書いた。結果としてはUnity社の絶妙なVRでの使いづらさに怒りと憎しみを抱いた。ゲームエンジン会社はゲーム開発者から嫌われる運命にある……。VRの移動方法について分類したりまとめたりした記事は日本語だと見た覚えがないので、貴重ではないだろうか。

VR上のオブジェクトを「触る」「つかむ」「持ち運ぶ」仕組みを実装しよう(2023年12月22日)

VRのインベントリについて真面目に解説している人もあまりいないはず(まあ、VRChatの技術解説記事はいくらでもあるものの)。この連載は全4回の予定で、2024年1月に4回目が公開される。

2023年の総評:専門領域の特化から一歩抜け出して幅を広げたい

2023年のゲームライターとしての自分にとって一番衝撃的だったのはIGN JAPANの副編集長だった今井晋氏が抜けることだった。ただ会社を辞めたのではなく産経グループ内で新たにインディーゲームパブリッシャーを立ち上げ、そこの責任者になった(IGN JAPANは産経グループによって運営されている)。喜ばしいことではあるが、自分の記事はほとんど今井氏に担当していただいたので、相当な衝撃だった。

それと同時に、今井氏がかつて言っていた「ゲームライターにキャリアの発展性はない」「ゲームライターはゲーム以外のメディアに進出しなければいけない」という話も思い起こさせた。自分は専業ライターではないので本数を出して稼ぐことに集中する必要はないのだが、それでも自分が持てる見識を異なるメディアで応用できないか、ということを考えるようになった。その結果のひとつが技術評論社での連載だ。

ありがたいことに自分がゲームライターとして8年ぐらいはキャリアを積んだおかげでゲームライターの知り合いがけっこうできて、それらの人々との交流は自分の励みになっている。それでも、安定したコミュニティだけでなく自分の知らない場所に一歩踏み出してみるよう2024年は心掛けたい。

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