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『半沢直樹 アルルカンと道化師』by 池井戸潤

このところ、3冊の本を立て続けに読み終えた。
そのうち『半沢直樹 アルルカンと道化師』は半沢直樹シリーズの最新刊だが、時系列としてはこれまでのシリーズのトップにあたるらしい。
今回の半沢は大阪西支店の融資課長。確か、ここで手柄を立てて東京へ戻ってさらに暴れていくんですよね。一応、これまでの著作も全部読んでいるし、ドラマも大体観ている。だから、半沢といえば堺雅人だし、渡真利といえばミッチーしか思い浮かばない。香川照之はまだ出てきません。(笑)

ということで、今回の舞台は大阪の堂島近辺。
主な登場人物は、銀行の面々のほかに美術系出版社の社長である仙波友之とその妹ハル、それからおそらくZOZO元社長の前澤友作氏がモデルと思われる美術品コレクターであるネット業界の社長田沼時矢、立売堀製鉄会長の本居竹清、友之達の伯母堂島政子。

支店としてボーナスポイントがもらえるM&Aを推し進めたい銀行本部側と融資で取引先を応援したい半沢達支店の融資チーム。それにからめて過去の計画倒産疑惑や、親族の知られざる過去、田沼が熱心にコレクションしている作家の秘密、大阪ならでは?とも思える地元企業との付き合いが絡まったストーリー。
正直なところ、この物語は面白いけれどダイナミックさに欠けるな・・・と思いながら読んでいた。それが最後まで読み終えるとお見事!と鮮やかな手段で逆境を覆したどんでん返しが待っていた!
うーん、なかなか鮮やかな展開。一気読みでした。

それにしても、融資業務に携わっていたことのある身としては、身につまされるというか、銀行あるある的な事象に苦笑することもいくつか。
ただ、いわゆる懲罰人事にかけられた半沢をなんとか救おうと周りが動いたり、取引先が手を差し伸べてくれたりするのは、小説だからではなく。
ひととひととの信頼関係で物事は動くこと、これは本当にある。
もちろん、陥れられることもあるけどね。(笑)


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