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透析患者の睡眠の質を血液データで評価する

▼ 文献情報 と 抄録和訳

高齢の腹膜透析患者における客観的な睡眠の質の相関性について

Zhang H, Yang Y, Huang J, et al.: Correlates of objective sleep quality in older peritoneal dialysis patients, Ren Fail. 2021;43(1):180-187.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed, Google Scholar

[背景] 睡眠障害は、透析患者にとって重要な問題であり、臨床的および自己申告による健康状態に悪影響を及ぼす。本研究では、高齢の腹膜透析患者を対象に、自宅でのアクチグラフィーによる睡眠データを収集し、睡眠の質を予測する要因を探ることを目的とした。

[方法] 本研究は横断的研究であった。60歳以上の腹膜透析患者が本研究に参加した。睡眠の質は,7日間連続して24時間手首に装着したアクチグラフ装置のデータを分析することで評価した。身体機能は、握力とTimed Up and Goテストで評価した。抑うつ状態は,自己申告によるGeriatric Depression Scaleを用いて評価した。重回帰分析を行い、睡眠効率と睡眠時間に影響を与える要因を検討した。

[結果] 参加者50名(N = 50、平均年齢70.4歳、男性70%)の333泊のアクチグラフィによる睡眠モニターデータによると、1泊あたりの平均睡眠効率は75.5%±14.2%、平均総睡眠時間は391.0±99.3分であった。ヘモグロビン値の高さ(β=0.38、p=0.007)と血清リン値の低さ(β=-0.30、p=0.042)は、睡眠効率の良さの有意な予測因子であった。総睡眠時間の唯一の有意な予測因子は年齢(β=0.32、p=0.021)であった。

[結論] 高齢の腹膜透析患者は、睡眠効率の低さを特徴とする睡眠不足であった低ヘモグロビンおよび高血清リン濃度は、睡眠効率の悪さの予測因子であり、臨床医が睡眠に不満を持つ患者を治療する際に考慮すべき修正可能な因子である

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

睡眠の質の低下は当然、リハビリテーションの効果にも影響を及ぼす。今まではそれを主観的な評価に委ねていたが、今後はより客観的に評価し、リハビリ効果の予測、負荷量の調整に活かしていけると良いだろう。

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