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筋電図フィードバックとビデオフィードバックの効果の違い

▼ 文献情報 と 抄録和訳

肩甲骨の運動障害とインピンジメント症候群を有するオーバーヘッド競技者におけるシングルセッションビデオと筋電図のフィードバック

WY Du, TS Huang, YC Chiu, et al.: Single-Session Video and Electromyography Feedback in Overhead Athletes With Scapular Dyskinesis and Impingement Syndrome. J Athl Train. 2020;55(3):265-273.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

[背景] 肩峰下インピンジメント症候群(SIS)は、肩甲骨ジスキネシス、すなわち肩甲骨の筋活動の不均衡と関連している。SIS患者では、フィードバックによって肩甲骨のコントロールが改善されることが示されている。しかし、リアルタイムのビデオフィードバックや筋電図(EMG)バイオフィードバックが、機能的タスク中の肩甲骨の運動と筋活動を改善するために最適であるかどうかは不明である。

[目的] SIS患者の腕の挙上時の絶対的な筋活動(僧帽筋上部[UT]、僧帽筋下部[LT]、前鋸筋)、筋バランス比(UT/LT、UT/前鋸筋)、肩甲骨運動(前後傾、外旋、内旋、上方回旋)に対するビデオとEMGのフィードバックセッションの効果を比較すること。

ビデオフィードバック群:肩甲骨を胸郭に密着させることで、画面上の肩甲骨の下角と内側縁の突出を減少させるように指示した。
EMGフィードバック群:UT/LT筋バランス比信号に注目するように指示した。

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ビデオフィードバック

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筋電図フィードバック

[対象者] SISと診断され,肩甲骨の運動障害も認められたオーバーヘッドアスリート(N = 41)。

[評価項目] フィードバックトレーニングの前後で、三次元運動学と筋電図を記録した。

[結果] EMGバイオフィードバックトレーニング群では、ビデオフィードバックトレーニング群と比較して、僧帽筋下部の筋活動が増加(4.2%~18%、P < 0.011)し、UT/LTが減少(0.56~1.17、P < 0.013)した。腕の挙上時の肩甲骨の上方への回転は、フィードバックトレーニング後、ビデオ群がEMG群よりも高かった(2.3°、P = 0.024)。

[結論] SIS患者において、筋電図バイオフィードバックは筋制御を改善し、ビデオフィードバックは肩甲骨上方回旋の矯正を改善した。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

フィードバック方法による効果の違いを知る。これは結構重要であると思う。

筋電図フィードバック:筋活動比の改善の図るのに最適
ビデオフィードバック:関節位置や運動方法の修正に最適

本研究の結果からはこんなことが言えるだろう。ただ、筋電図フィードバックは、なかなか一般の施設では実用的でない。そのため、筋電図フィードバックと同等の効果、且つ簡便なフィードバック方法を検討することが、今後の課題になってくるだろう。

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