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若年水泳選手の肩関節痛の危険因子は?

▼ 文献情報 と 抄録和訳

肩関節伸展筋力:若年水泳選手の肩関節痛の潜在的危険因子?

McLaine SJ, Bird ML, Ginn KA, Hartley T, Fell JW. Shoulder extension strength: a potential risk factor for shoulder pain in young swimmers? J Sci Med Sport. 2019 May;22(5):516-520.

[ハイパーリンク] DOI, PubMed(Full text), Google Scholar

✅ 結論
肩関節伸展筋力は、男性水泳選手の肩関節痛の発症と関連し、予測することができた。

[目的]
若年水泳選手の肩の痛みの発症における肩の等尺性筋力の関係と予測値を明らかにすること。

[方法]
肩の屈曲、伸展、外旋、内旋の筋力テストを、現在肩の痛みを感じていない85名の水泳選手(14~20歳、女性48名)を対象に、手持ち式のダイナモメーターを用いて仰向けで行った。テスト後、水泳選手にアンケートを電子メールで送り、テスト後24ヶ月以内に著しい肩の痛みが生じたかどうかを調べた。痛みを発症した肩と発症しなかった肩の違い、肩の強さと強さの比率の予測能力について、Mann Whitney U検定と受信者動作特性曲線を用いて調べた。

[結果]
37名(47%)のスイマーがアンケートに回答し、18名が肩の痛みを訴えた。痛みを訴えた27名と訴えていない47名の肩を比較したところ,肩の痛みを訴えた男子水泳選手(n=36肩)は,訴えていない選手に比べて肩の伸展力が低く,屈曲:伸展力比が高かった(p=0.04)。伸展筋力の予測値は、男性の場合、体格13.5%で計算された伸展筋力のカットオフ値が公正(0.72; p=0.03)であった。肩関節回転筋力、年齢、トレーニング時間、過去の疼痛歴については、両群間に差はなかった。

[結論]
水泳選手の機能テストである肩関節伸展筋力は、男性水泳選手の肩関節痛の発症と関連し、予測することができた。肩関節伸展筋力の低さは水泳選手の肩関節痛発症の危険因子である可能性があり、傷害予防と今後の調査の方向性を提案した。

▼ So What?:何が面白いと感じたか?

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✅水泳は、アスリート選手から健康増進目的まで、様々な方が行うスポーツである。今まで、”競技”として水泳に起因した障害にあまり着目していなかった(私が勤務する病院には水泳肩で通院する患者さんがいなかった)が、水泳肩も野球肩と同様、選手にとって頻度の多い、深刻度の高い障害であることが良く分かる。これはきっと、健康増進目的で行う方にとっても知っておくべき情報だなと思った。

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