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アファンタジアの頭の中は、一方通行の保管庫だなぁ、と思う。

人間の脳は、一度見たものは必ず記憶されているらしい。一度見たことがあれば、何でも描けるよ、って人もいる。ちょっと羨ましい。
私は一般的な人間だと思うし、視力も普通。

ただ、アファンタジアという症状は、記憶を引き出す回路が、切断されているらしい。
私は五感のすべてが再生不可だけど。少し前までは、視覚的なものが脳内再生できないことがアファンタジアと呼ばれていた。

見えるし、香りも味も空気感も、感触も、痛みも、音楽も、音も、声も、きっと記憶はしてる。
でも、どれも脳内で再生はできない。

それでも、見たもの香ったもの、それが初めての経験でなければ何なのかわかる。あ、金木犀きんもくせいの香りだ、とか。この景色、見たことある。旅行で行った! とか。
脳内のどこか保管庫にある記憶と、比較はできるみたい。なのに呼び出せない。

本当に、これは、説明が難しい。
脳内再生できる人の状態が私には謎。眼を瞑ると真っ暗闇で(明かりがあれば目蓋まぶたの裏らしきは見えてる)、親の顔も思い出せない。でも、それって、イメージや音楽にあふれた脳の人には理解できないよね。

夢はフルカラーでみてるけど、脳内再生はできない。夢の中では、何を食べても味がない。味がないから、あ、夢の中だ、とわかる。

夢に、声とか音があるかは、わからない。香りは、感じたことあるような気がする。映像で夢をみるなら映像の脳内再生だってできるはずだ、って、アファンタジアの話になると良く言われるけど。できないのよね。


アファンタジアの人の思考は、多分、言葉だと思う。映像浮かばないから。
でも「イメージ」というものは多分ある。ただ、映像的ではなく説明しがたい澱みのような感じ。

とはいえ脳裏に映像や音、イメージが思い浮かべられないからって、想像力がないわけじゃない。

思考するときは言葉。本を読むときは頭の中で音読。それらは、モノローグとして思考が流れてくるときと同じ、声色や音程のない言葉みたいな感じ。
ん~、言葉ではなく声ともちがうかな。モノローグ、としか表現しようがない。他に、言葉を知らない。

それでも生きてきて不自由を感じたことはないし、だいたい五感全部が脳内再生できない、ってハッキリ知ったのは最近だ。

小さい頃から、頭に映像を浮かべられないことは、知ってた。でも、みんなそうだと思ってた。

忘れもしない。ソロバンの暗算。

頭の中でソロバンを弾けと、塾の先生は言ってた。他の子たちは皆んな暗算できている。
私は意味が分からなかった。頭の中にソロバンなんてない。
小学校4年くらいかな。暗算できるのは、特殊な人たちなんだろう、と、思ってたよ。

記憶は、記述的。書いたことは、読み返さなくてもわりあい覚えていられた。だから、メモ魔なんだろうなぁ。
記述的なものしか記憶の手がかりがない。
言葉と実物とかのキッカケがあれば、色々思いだせるけど。その記憶に映像や声、音、音楽、匂い、味、体感みたいな五感は含まれない。

でも、皆そうだと思って生きてたし、他の方の頭の中は覗けないからね。不都合はない。かな。

文章を読んでいて、書き手の思考過程が分かる記述を見つけると、密かに歓喜しちゃう。みんながどんな思考方法なのか知りたいし、興味津々なのです。


AIイラストはPixAIで生成。

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