Yoshitaka MIZOGUCHI

弁理士・バックパッカー・兼業主夫

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コンサル弁理士によるエンジニア・知財マンへの提言2 (発明発掘の肝)

 発明発掘は、エンジニア・知財マンの仕事の肝。勿論、弁理士にとっても同じ。  ところが、技術者に対して「何か発明はありませんか?」と聞いても、「特に思いつかない」が普通の答え。また、「この辺りはどうですかね?」と答えが返ってきても、発明としての整理は難しい。  ところで、電気、メカトロ、IT、ソフトウェア、機械などの多くは、おおざっぱに言えば「検出」と「制御」の2つの要素によって成り立っている。図に示すとおりである。  図のように、状態検出と制御に分けて、開発した技術や商品

    • コンサル弁理士によるエンジニア・知財マンへの提言

       技能者と技術者(エンジニア)の違いの一つは「新しい何かを自ら生み出せること」である。新しい何かは「発明」であり、やがて特許と言う知財に変わっていく。つまり、発明を生み出せない技術者は技能者に過ぎない。また、知財マンとは、技術者の発明を受けて処理する受け身ではだめで、発明者から発明を発掘できる力が必要である。 (1)発明発掘の勘所その1:課題を与えれば発明は見出される。    図のように課題を与えれば、技術者であれば解決手段を探そうとする。この解決手段が発明である。  多

      • コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い9(稼げる弁理士・知財専門家になろう)

         知財コンサルと言うと、様々なツールやフレームワークを駆使して解析してプレゼンするイメージがある。  しかし、重要な本質は、「企業を振り向かせる力(できれば1回目で)」を持っていて出せることである(見せることである)。  弁理士や知財専門家であれば、知財(特許なのか商標なのか外国なのかの違いはあるが)の知識、スキルが高いのは当たり前。しかも、往々にして企業はその良しあしを図る力を持ってない。また、企業の課題を抽出して解決しようとするのがコンサルであるのに、知財しか対応能力が

        • 弁理士こぼれ話1(ありがた迷惑)

          いわゆるありがた迷惑。弁理士業界では何があるかなあ?と思ってちょいとお遊び投稿。 【どや顔発明者】  特許出願の際に、素人が明細書っぽいものやクレームっぽいものを書いてどや顔で渡すのは止めてください。  100%使えないし、全く使わないと怒り出すし、使いつつちゃんとした明細書に仕上げると手間が倍になるので 【玄関前お迎え】  企業さんを訪問した際に、お気遣いで駐車場や表玄関にお迎えするのはできればやめてください。  運転後なので、受付や会議室に行く前に「こっそりト

        コンサル弁理士によるエンジニア・知財マンへの提言2 (発明発掘の肝)

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        • コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い
          4本
        • Mメソッド(雑誌「発明」連載)紹介シリーズ
          1本
        • 身近な知財
          0本
        • 中小企業支援弁理士による支援
          0本

        記事

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い8(稼げる弁理士・知財専門家になろう)

           前回は、企業が一人の弁理士に「幾ら」くらいなら払いやすいか?という視点で解説した。  では、一人の弁理士、あるいは一つの特許事務所として「トータルでどのような売り上げを上げるか?」が次に気になってくるところである。     過去の弁理士の多くは(筆者は弁理士になって20年。なったばかりの頃の周囲の特許事務所や開業したての弁理士は、このような理想を持っていたように思う)、図1のように、年に20~30件の特許出願等の依頼をくれるA社、B社、C社などのクライアントをもって安定さ

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い8(稼げる弁理士・知財専門家になろう)

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い7(稼げる弁理士・知財専門家になろう)

           前回は、企業が外部専門家に「対価」を支払う理屈を知ろうと、説明しました。   ここで、稼げる弁理士になりたい弁理士(あるいは知財専門家)はたくさんいると思う。そのような弁理士や専門家に共通しているのは、「どんなスキルを身に着ければ稼げるか?」という、自分磨きにしか目が行かない人が多い。勿論それは大事だが、それは当たり前であって、払う側の論理を考えなければならない。 端的に言えば、どれくらいの支払い能力・支払い意欲があるだろうか? 中小・ベンチャー企業は、外部の知財専門家に

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い7(稼げる弁理士・知財専門家になろう)

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い6(稼げる弁理士になろう)

           20年近く前から誰より早く「知財コンサル」に取り組んだ私には、弁理士会や同業者(あるいは異業種)から、「知財コンサル」でどうやってマネタイズするかの講演依頼や問い合わせを受けることが多い。  問い合わせする専門家の根っこにあるのは「特許出願や訴訟なら対価を撮れるが、コンサルだと相談やアドバイスのようになって、対価を請求しにくい」というもの。  弁理士もそれ以外の専門家も、クライアントである「企業」が金を払うことの理屈を理解していないことが原因。企業は、担当者→上司の決裁

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い6(稼げる弁理士になろう)

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い5(稼げる弁理士になろう)

          1.企業に知財経営が定着するようになるために  弁理士として、知財コンサルタントとして、企業に知財経営が定着して欲しいと思うもの。  ここで知財経営が定着するとは、「知財部があって、定期的に発明発掘が行われ、一定数の特許出願や商標出願がルーティーンに行われること」ではない。このような企業は、一つの仕事のルーティーンとして知財が設定されており、ある意味で定着しているからである。  これに対して、多くの企業(特に中小企業)では、知財部もないし、知財担当者も居ない。まれに特許出願を

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い5(稼げる弁理士になろう)

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い4(稼げる弁理士になろう)

           これまで、知財コンサルの入り口は、弁理士として一般的な知財相談から、企業内部に潜む課題を把握することと説明しました。ところで、多くの弁理士さんは、この知財相談に真正面から答えて終わってしまいます。「特許性がありますね」とか、「先行文献を調査してみないと」とか。  あるいは、相談者を喜ばそうとして「はい、その技術が世に広まると楽しみですね」と、リップサービスをしてしまう。これらは、弁理士の本筋として悪いことではないのです。ただ、真正面から答えて終わり。相談者の相談に何の疑問

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い4(稼げる弁理士になろう)

          Mメソッド(雑誌「発明」連載)紹介シリーズ2(三位一体の知財戦略の限界)

           Mizoguchiによる知財経営コンサルおよび知財による企業支援のメソッド「Mメソッド」の連載の1回目。「知財戦略」といったワードが増えていますが、そもそも知財は経営の道具の一つであって道具に戦略っていうのはおかしなことです。経営や営業には戦略があるでしょうが、道具の一つであるパソコンや知財に戦略という言葉を使うのは違和感があります。  そのような中、世の中的には「三位一体」や「知財創造サイクル」といった分かりやすいポンチ絵で知財活用が説明する風潮が増えてきていました。今

          Mメソッド(雑誌「発明」連載)紹介シリーズ2(三位一体の知財戦略の限界)

          なんと! 知財の世界は広い。誰かに価値を生み出すことが知財(弁理士の存在も知ってね(笑い))

           知財=知的財産(特許や商標など)と聞くと、「遠い世界の話」に聞こえるでしょうが、思わぬところにも存在します。  この特許は、ワインのテイスティング方法に係るもの。「え、それが!」って思うでしょうが、そういったものもあるのです。逆に言えば、人が脳みそを「うーーん」とうならせたり、苦しい気持ちを超えたりしたそのプロセスは、人間の脳みそによるロジックが作られています。これらはすべて知財。  さあ、今日も脳みそをフル回転させてみましょう。別に特許になるとか特許を取るとかは必要じ

          なんと! 知財の世界は広い。誰かに価値を生み出すことが知財(弁理士の存在も知ってね(笑い))

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い3(稼げる弁理士になろう)

           弁理士(時には弁護士さんにも)さんに、知財コンサルのノウハウを講演だったり実地だったりで教えることがたくさんあります。従来のビジネスモデルだけでは仕事が十分量とならない今の時代。知財コンサルによりビジネス拡大を狙いたい弁理士さんはたくさんいます。このため、教える際に「仕事の取り方」、「お金の取り方(マネタイズ)」のコツを聞かれます  そんな時に、コンサルに向いている人と向いてない人を感じることがあります。上の図は、コンサルに必要なスキルを私なりにまとめたもの。前回はこの「

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い3(稼げる弁理士になろう)

          Mメソッド(雑誌「発明」連載)紹介シリーズ1(共和技研㈱特集)

           発明協会(発明推進協会)は、日本の発明や知財を推進する老舗の機関です。発明推進協会からは、業界誌「発明」が毎月発行されており、知財業界の中では最も老舗の業界誌と言えるでしょう。  技術コンセプト=技術の本質を見出せると、商品=事業の広がりを作れる。「コンセプトワーク」は、知財経営と知財経営コンサルの基本!  私は、2012年から縁があって同誌に定期連載および不定期掲載を持っております。(1)自分が支援している中小企業の取り組みや汗と努力を世の中に広く知ってもらいたい。(

          Mメソッド(雑誌「発明」連載)紹介シリーズ1(共和技研㈱特集)

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い2

           知財コンサルに取り組んでみたいと思う弁理士はたくさんいるでしょうが、弁理士にいきなり「技術開発支援」とか「海外進出支援」などのコンサル依頼は来ないでしょう。  前に説明したように、弁理士の日常業務の一つである「知財相談」を、法律論だけで片づけない。相談企業や相談内容の裏に潜む問題や疑問を洗いだして、「課題」を抽出する。この作業により「知財コンサル」への取り掛かりが近付いてきます。つまり「発明の新規性」、「特許の取得手続き」、「見積もりや先行調査」などのキーワードだけで話し

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い2

          中小企業支援弁理士による企業支援考察

           中小企業支援を長いことやっていると、企業の技術開発そのものを支援したり、技術者の技術承継の課題解決にあたることがあります。元エンジニアとして考えると、中小企業のこれまでの技術開発スタイルは上の図のようなボトムアップ型。自社商品の改良をベースとする場合には向いています。でも、材料・部品などの多くの要素を十分に理解できる職人的技能力が必要。加えて、商品が市場にミートしない可能性もあります。  これに対して、私が提案したい次の開発スタイルは下の図面のようなトップダウン型開発。大

          中小企業支援弁理士による企業支援考察

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い

           弁理士や知財マンで、「知財経営コンサル」をやってみたいと思っている人は多いと思います。15年以上やってきた私から。  図のようにとてもシンプル。法律の視点だけで回答するのではなく、相談の際に、相談企業に内在している問題を幅広く妄想することで、企業に隠れている「課題」を見つけることができます。そこが、知財コンサルのスタートです。いきなり「経営相談」などに行こうとせず、まず日常の発明相談からコンサルスタートのきっかけを作りましょう。

          コンサル弁理士による知財コンサルへの誘い