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親子の縁 (#沙々杯応募)

子は親を選べない

産まれた時点である程度人生は決まってしまう
両親、環境、才能etc
スタート地点は公平ではない

父は毎晩酒を飲み、大声で怒鳴り散らし、父の身近にあるものは良く宙を舞った
投げた椅子の脚が折れ、私にぶつかった以外は身体的な暴力はなかったが
一度だけ寝ているときにお尻を撫でられた
それが不快でそれ以降押し入れで寝ることにした

母は父の暴言に耐え、父のギャンブルによる借金の為、昼夜問わず必死に働いていた
貧乏でも私が生活が出来たのは母のおかげだ
しかし私が押し入れで寝るようにした本当の理由は知らない
父の怒鳴り声を少しでも遠ざけたいと考えているとでも思っていただろう

私は中学に上がり、父は事故にあった
今夜が峠と言われ、意識不明の中で一週間生きた
その一週間、私はずっと父の死を願った
歪んでいたが父は私を愛していた
だから最後に父は私の願いを聞き入れてくれた
願いの代償は人殺しという罪

母は私によく言った言葉
「あなたが私の生きる希望」
母にずっと感謝していたが、その言葉で父から解放された生活も重くなっていった
そして私は家を出た

可哀想な子供のレッテルが嫌でずっと優等生を私は演じていた
だが親から解放され、優等生でいる努力をやめた
努力の貯金はすぐに失われた
私は意図も簡単に壊れていったが
有り難いことに私は生きることを辞め、生かされた

母からメールが届いた
「あなたが普通の人間になれるようお祈りしました」
涙が溢れた
母の人生を考える
夫の虐待に耐え、私を守り、父が亡くなってからは女手一つで私を育て、私を生かしている
母の人生は喜楽はあっただろうか
苦哀しかないのではないだろうか
父がいなければ……
私がいなければ……
母は幸せだったのではないだろうか

親も子を選べない

鎌鼬親子の縁は切れないか
雪女恨む相手は何方かな
(小泉八雲 雪女より)
木の葉散り還るといえど未練あり

今回この企画に参加しています。「やさしさの風になろう」という優しい大会キャッチフレーズにも関わらず、重い投稿になったことを謝罪致します💦


【あとがき】
 ささはい応募!白杯と違い三句で物語はきつかったので、妖怪集合!と意気込み上記にしました。木の葉は妖怪は出ませんが、好きな句で三句目の締めとしてなんとなく良いかなーと直感です(笑)

 ダークになりましたねぇ…闇系の無料本ばかり読んでいるので、思考がそちらにいくのです😅俳句だけ読んでもらえたら、と思います(笑)
 登場人物の想いをそれぞれ想像してもらいたかったので、フィクションですが、リアルに見えるよう感情を抜き、淡々ときました。
 とりあえずこれを上にしたくないので、次の記事を合わせて上げられるよう新しいのを上げますー!



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