炎症 その3

今日は炎症の形態像を見ていきます。実際の病理診断では、この形態像を見つけることで、今起こっている炎症がどのような炎症なのかを推定していくこととなります。
まずは、急性炎症の組織像を見ていきます。


① 漿液性炎

漿液性炎

急性炎症では、液体成分が出てきますが、少量の炎症細胞と、フィブリンを含まない液体が組織の周囲にみえます。サラサラとした液体があるなあ、という印象です。これが多量になるとカタル性炎と呼ばれます。鼻水がじゃんじゃん出ている状態はカタル性炎です。

② 線維素性炎

線維素性炎

 線維素とはフィブリンのことです。フィブリンを大量に含む炎症の場合は、線維素性炎となります。フィブリンが沈着するとザラザラとした印象になり、表面が絨毛状と呼ばれるややギザギザした感じになります。

③ 化膿性炎

化膿性炎

 液体中に多数の好中球を含むものが化膿性炎です。ほとんどは細菌感染で起こります。好中球が組織の内部に塊をつくった場合、膿瘍と呼ばれるようになります。

以上で急性炎症は終わり。次は慢性炎症です。
慢性炎症では、マクロファージ、新生血管、線維化が特徴でしたね。これらが見えれば増殖性炎といって、慢性炎症を特徴づける組織像です。さらに、増殖性炎の中でも、肉芽腫(にくげしゅ)性炎という特殊な炎症の形態があります。これは病気を推定するのにかなり役立つので、重要視されています。

画像4

図のように、一番外側にリンパ球が集まっていて、その内部に類上皮細胞というマクロファージが変化してできた細胞が集まってできたものが肉芽腫です。内部に多核巨細胞が見られることもあります。内部が壊死してチーズみたいに見えるものがあり、それを乾酪壊死(乾酪はチーズの意味)といいます。結核で現れます。逆に、乾酪壊死を見たら、必ず結核を疑わねばなりません。非乾酪性肉芽腫を作る病気はたくさんあって、サルコイドーシス、ハンセン病、梅毒、クローン病、リウマチ、猫ひっかき病などといったものがあります。これらを見たら必ず臨床情報を確認して、どの病気が怪しいか目星をつけていくことが大事です。

炎症シリーズは、これにて終了です。次回は、炎症と密接に関係する免疫のお話です。

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