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世界史漫才再構築版05:ユリウス=カエサル編(前編)

 微苦:どうも、微苦笑問題です。
 苦:今回はユリウス・カエサルです。「カエサル」はドイツ語の皇帝「カイザー」を意味します。
 微:髪の毛が逆立っている奴が「五右衛門」と呼ばれるようなもんだな。
 苦:それは代名詞で、レベルが全然違うだろ!! 共和政末期ローマ最大の軍人にして政治家であり、『ガリア戦記』で文筆家としても有名です。
 微:優秀なゴーストライターがいたんだな、大川総裁推薦かな。
 苦:いません。自分で書いてます。ドイツのローマ法の大家テオドール=モムゼンは「ローマが生んだ唯一の創造的天才」と評しています。
 微:まあ、ローマの文化に創造性はないもんな。基本パクリというかイタダキ。
 苦:エトルリア人で懲りて、君主というか独裁者出現防止システムの強かったローマ社会で帝政への道を拓いた天才的政治家だったという意味です。
 微:でも、超スケベ親父だったんだろ、「ハゲの女たらし」という異名があるほど。
 苦:まあ、政治家としての能力は下半身の能力に比例するといいますから。
 微:クリントンは有能だったか? ケネディも。
 苦:それはともかく、コンスル(執政官)でも任期1年の二人制を敷くなど、徹底的に個人に権力が集中することがないように設計されていたのが共和政ローマです。
 微:コンスル漫才やってたんかな? どっちがボケ役するかで揉めそうだけど。
 苦:両方がツッコミしないと権力の暴走に歯止めが利かないだろ!! そのローマに、帝政の必要性を認識させた政治家、「帝政創始者」「事実上の最初の皇帝」です。
 微:オレが書く物は誤字が多くて、人はオレのことを「訂正の帝王」って呼ぶぜ。
 苦:意味のないボケはいらないよ。カエサルですが、血筋は良いのですが前60年の第1回三頭政治開始時は無名の政治家でした。カエサル自身は紀元前100年頃に生まれたと推定されています。
 微:血筋だけいいやつでどれだけ20世紀の日本は痛い目に遭ったか。
 苦:ユリウス氏族はウェルギリウス『アエネイス』の、アエネアスの息子アスカニウスに始まり、ウェヌス神の子孫と考えられていました。英語発音すると「ヴィーナス」、金星です。
 微:「金星」と書いて「マーズ」という読みを付けられた子がいたな。
 苦:カエサルという家族名は、最初にそれを名乗った人物が頭の毛がふさふさだった(caesaries)ことに由来する説と、戦争で象(ムーア語でcarsai)を殺したことに由来する説の二つが有力です。
 微:象と戦うために大山倍達の下で修業したそうです。
 苦:素手で殺せるわけないよ! せめてハンニバルの下にしとけ。カエサルは自らの横顔を刻んだコインの裏に象を描かせてますから「象」説を主張していたようです。
 微:象が踏んでも壊れないように、という願いだな。
 苦:昭和40年代のアーム筆入れかよ!! 名門貴族のユリウス氏カエサル家でしたが、過去にコンスルは3人しか出せていませんでした。無名の名門というか、藤原氏式家みたいな位置です。
 微:カエサルもフサフサがピカピカになったように、失うものが無くなって吹っ切れたんだな。
 苦:あれは苦労の結果だよ! まずカエサルの登場というか帝政を必然化した「内乱の一世紀」を確認しておきますね。
 微:新築マンション販売で、幻想を振りまくやつだな。
 苦:それは不動産会社の内覧会! 「内乱の一世紀」の起点はグラックス兄弟の改革の失敗です。
 微:兄がピン芸人、弟が漫才師だったんだよな。
 苦:それは塙兄弟だよ! それで微妙にずらしているんか、「ヤホー」みたいに。
 微:はい。審査員にはなれなくていいから漫才台本作家を目指してますから。
 苦:話を戻すと、兄弟の悲劇はローマが再びお互いの家が顔見知りになり、民会や投票を通して市民の声が届いた共和政の頃には、もう戻れないところまで変質したことを思い知らせました。
 微:サナギになったことを後悔するカブトムシの幼虫だな。
 苦:キミもじっとしてなさい。帝国の拡大とともに、属州という名の植民地でのラティフンディア拡大が有力者の富の源泉でした。ローマは皇帝出現前から「帝国」化していました。
 微:ちゃんと収奪できるところを属州にしてるんだから、ロシアや中国より優秀だな。
 苦:属州でもイタリア半島でも内乱が激化します。イタリアの同盟市戦争、小アジアのミトリタデス戦争、アフリカのユグルタ戦争、そしてスパルタクスの反乱まで続きます。
 微:アメリカのBLMみたいだな。鎮火したらまた別の州でやらかす展開。
 苦:規模が違います。ローマ内でも有力者たちが、元老院を中心とする寡頭政治を支持する閥族派、財産を失ってローマに流れ着いた名ばかり市民を基盤とする平民派に分かれ争っていました。
 微:前者が巨人ファン、後者が阪神ファンと置き換えたらだいたい嵌まるな。
 苦:平民派の中心は無産市民軍を編制したマリウス、マリウス派を打倒するのが閥族派のスラ。
 微:搾取される貧民が搾取する有力者を支持するとは、21世紀の日本やアメリカ的な感じだな。
 苦:スラはマリウス派を一掃するため、終身独裁官に就くんですね、国法違反ですが。
 微:なんかここでカール・シュミット臭さというか自民の緊急事態条項臭さが・・・。
 苦:そしてカエサルにどうつながるか、という問題に入りますが、カエサルの叔母ユリアはマリウスに嫁いでいたため、こどもの頃より平民派と目されていました。
 微:「自分は貧乏な叩き上げですから庶民派です」とカエサルはと自己紹介してたらしいけどね。
 苦:無視無視。マリウスとスラの対立はミトリダテス戦争指揮権を巡って頂点に達し、スラが軍を率いてローマを制圧し、一旦マリウスはローマから逃げます。
 苦:そしてスラが再びミトリダテス遠征に出かけるとマリウスが再びローマを制圧しました。
 微:どっちもバカというか、間抜けというか。
 苦:自軍を二分できないんですね、両方とも。ローマを制圧したマリウスはスラを「国家の敵」と弾劾し、スラの支持者を粛清しますが、その最中の前86年にマリウスは没します。
 微:登山中にKCIAによって後ろから押されて断崖から転落ししたんだろ?
 苦:それは韓国の根も葉もない噂だよ! その直後スラがローマへ進軍してキンナを殺し、終身独裁官に就任します。そして政治的に対立する平民派を片っ端から粛清していきます。
 微:貧乏くさい奴らは片っ端から殺されそうな勢いだな。
 苦:血縁でマリウスとキンナの両方に繋がるカエサルもまだ18歳でしたが、処刑リストに載りました。実際に殺されかけ、カエサルは逃亡しました。
 微:「逃げるは恥だが命あっての物種」だな。でもその年齢なら犯罪がバレても少年法で保護され、実名も公表されなかっただろうになあ。
 苦:そんな法はないよ! スラが前78年に死去し、カエサルはようやくローマに帰還します。
 微:政敵陽虎が死んで、ようやく魯国に帰った孔子みたいなもんか。
 苦:そこまで老いてません。カエサルはスラの孫であるポンペイアと結婚し、彼女の財産を公職選挙での買収や陰謀に使い、出世への政治的キャリア、「クルスス・ホノルム」を積んでいきます。
 微:カエサルだと「好色選挙」に聞こえるよな。で、その「クルスス・ホノルム」って何だ?
 苦:「名誉への道」、つまりコンスルに登る公職昇進のエリートコースです。ですが、前73~ 71年のスパルタクスの反乱がイタリア半島を駆け巡り、ローマ社会も大混乱に陥りました。
 微:首都機能が麻痺する。ある意味、これはチャンスですね。
 苦:井戸ジイかよ!! この時カエサルは何をしていたかわかりません。まったく記録がないんです。
 微:アベの依頼で財務省がファイルごと削除したな。
 苦:いつの時代だよ! ですが前69年に財務官(quaestor)に当選すると、マリウスの像を掲げ、自分が平民派である事を公然と示しました。
 微:でもその場所はカタコンベだったそうです。
 苦:キリスト教徒かよ!! さらにはマリウスの戦勝碑の修復に着手し、スラによる粛清の犠牲となった人々の没収財産で財を成した者を告発しました。
 微:この辺りは、ちょっと前の台湾や韓国の選挙と同じだな。
 苦:かつての徳之島の伊仙町選挙ですかね。カエサルは公共事業や公共祭儀などを公費で派手に行います。前63年から2年間、元老院議員ラビリウスを告発して、裁判でキケロと対決します
 微:「カエサルの政敵」キケロとはそういう意味でしたか。鈴木宗男と辻元清美みたいなものね。
 苦:同年、カエサルは最高神祇官に立候補し、二人の有力候補を抑えて当選しますが、その選挙運動、つまり有権者サービスで多額の借金を抱え、その最大の債権者が実はクラッススでした。
 微:騎士階級出身のクラッススね、金だけはあるが人望のない。
 苦:属州で徴税をする騎士階級の台頭も、ローマの簡素な国制に原因があります。属州=植民地を支配する帝国だったのに、その支配機構は都市ローマを前提にした小さくて簡素なものでした。
 微:2010年までシャルル・ド・ゴール空港がWindows3.1で動いていたようなもんだな。しかも金権腐敗選挙だと。共和政ローマを理想化したアメリカの選挙と同じだな。
 苦:紀元前60年、オリエントの反乱を平定したにもかかわらず冷淡な対応を採る元老院に不満を持ったポンペイウスはカエサルと結んでコンスルに当選します。
 微:バイデン&ハリスみたいな組合せだな。
 苦:近いですね。この時点では、名を成したポンペイウスがローマ市外出身だったため、敢えて実績のない名門貴族カエサルを利用したにすぎないんです。
 微:河井克行と妻案里被告みたいなもんだな。あとは政党助成金の振り込みだけ。
 苦:ポンペイウスは、自分より年長で騎士階級出身、かつスラ派の重鎮でもあるクラッススを引きいれてバランスを取り、元老院を無視した第一回三頭政治を同年から開始しました。
 微:見事な派閥均衡型3種混合ワクチン! 悪のRGBだな。
 苦:ちゃんと光の三原色と言えよ。この布陣で元老院の反対によって長年実現しなかった貧民に土地を無償で分配する農地法を成立させます。
 微:まさかブラジルとかドミニカの荒野ではないだろな? というかアイルランド的匂いもする。
 苦:それは戦前・戦後の日本政府だろが! さていよいよガリア遠征です。前58年、カエサルはガリアの2つの属州総督に就任します。
 微:そんなの可能なのか。赴任しない平安時代の国司ならともかく。
 苦:属州総督は蓄財の絶好のチャンスで、借金王カエサルは返済のために頑張るしかなかったんです。『ガリア戦記』の名の通り、ガリアの北東部に住むベルガエ人諸部族を制圧しました。
 微:ベルギー国号の起源です。これ豆知識な。で、文字読めない連中にも証文突きつけてたんだろ?
 苦:闇金かよ!! カエサルはゲルマニアにも侵攻してゲルマン人のガリア進出を退け、ライン川防衛線の端緒を築きます。前55年には、海をこえてブリテン島にも渡りました。
 微:お金がなくて泳いだそうです。
 苦:瀬戸内海のイノシシかよ!! で、落ち着いたところでまたガリアに戻ります。
 微:帰りは奴隷に漕がせた船だったそうです。
 苦:最大の危機となった前52年のアルウェルニ族のウェルキンゲトリクスとの戦いを迎えますが、カエサルはアレシアの戦いで奇跡的に破り、ガリア全土をローマの属州としました。
 微:表面上はローマ名義なのですが、グループ企業を経由して、実際の所有者はカエサルでした。
 苦:それは漢検親子だよ! 秋元系学芸会アイドルとは違って、カエサルは新兵を補充しなかったので、長期間の遠征で軍団の兵数は大きく減ったものの、統率の取れた精強部隊になってました。
 微:やる気のある『コンバット!』だな。
 苦:そんな白黒ドラマ、60歳以上しかわかんねえよ!! しかもローマにではなくカエサル個人に対し忠誠心を抱く兵士が多数を占めるようになったのです。
 微:昔の自民党に忠誠を誓っているのか、田中角栄に誓っているのかわからん状態と同じだな。
 苦:パルティア遠征での前53年のクラッスス戦死は三頭政治の政治力学を変えました。閥族派に取り込まれたポンペイウスと平民派カエサルとの対立が顕在化したんです。
 微:というか、ポンペイウスが元老院を脅して忠犬にしただけだろ。
 苦:前49年、カエサルのガリア属州総督解任と本国召還を命じる元老院最終勧告が発布されます。カエサルと彼の軍団はポー川を越え、イタリア半島北部のルビコン川まで戻ってきました。
 微:
 苦:この川を越えた瞬間、カエサルが持っていたインペリウム=軍指揮権は消滅するのでルビコン川以南で軍を指揮することは国家への反逆を意味しました。
 微:ルビコン川手前からリモコン操作すればいいんだよ。
 苦:ですが、カエサルは自派の護民官がローマを追われたことを名目に、1月10日、軍を率いてルビコン川を越えました。その際、彼は「Alea jacta est. (賽は投げられた)」と発しました。
 微:オレ、高校生の時、その賽を動物のサイと思い込んでいて、巨大なサイを投げ飛ばせるカエサルには逆らえない、と兵士が観念したんだと、ずーっと思ってたよ。
 苦:んなわけねえだろーがっ! ルビコン川を越えたカエサル軍の行動は迅速で、アドリア海沿いにイタリア半島の制圧を目指します。
 微:逆サイドを突いた訳か。
 苦:ポンペイウスは即時の軍団編成を行えず、ローマとイタリア半島を放棄して、勢力地盤であったギリシアで軍備を整えることにしました。
 微:まあ、田舎のラテン的世界と都市的な東のギリシア的世界の対決ということだな。
 苦:ポンペイウスに従った多くの元老院議員が彼についてギリシアへ去ったため、カエサルは楽々とローマの実質的な支配権を手にしました。
 微:戦後の焼け跡になった梅田の土地を色んな人が不法占拠したようなもんだな。
 苦:破綻した丸ビルの吉本社長のような気骨のある金の亡者はローマにはいなかった、と。
 微:ローマ時代にブルドーザーはねえだろ!
 苦:あかん、分量オーバーで後半に突入します。

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