見出し画像

世界史漫才再構築版72:ゴルバチョフ編 

家庭のことで一時的に中断し、心が折れかけることもありましたが、再構築作業がなんとか終わりました。まだまだ訂正や手を入れるところはありますが、一区切りを打ちたいとおもいます。
毎回、そして面白そうだとご覧になられた皆様に感謝いたします。
この世界史漫才が「共通テスト」の会話形式問題で採用される日を夢見て。

 微苦:ども微苦笑問題です。
 苦:実はこの漫才も今回で終わりです。
 微:野村萬斎も終わってますけどね。
 苦:勝手に道連れを作るんじゃねえよ! 苦悶ちがう公文式で親子で頑張ってるだろ。
 微:で、最後にふさわしいネタというか、大物は誰だ?
 苦:そりゃミハイル・ゴルバチョフ、ソ連共産党最後の書記長(任1985~91年)にしてソ連最初で最後の大統領(任1990~91年)です。2022年も生きてます。
 微:ゴルビーだな、今はレストランのオーナー兼自分の研究所所長をしている。
 苦:不本意ながらやってるんだよ!
 微:ポイント貯めたら、旧ソ連の共和国パズルをくれるんだろ?
 苦:そんなパズル、誰が作るんだよ! 1985年にソ連共産党共産党書記長に就任し、東欧の社会主義諸国民主化の契機となったペレストロイカとグラスノスチ(情報公開)を進めました。
 微:懐かしいなあ。というか同時代を共有したんだ。
 苦:外交では「新思考外交」で1987年のINF全廃条約を調印し、1989年末のマルタ会談で冷戦を終結させ、世界平和に多大な貢献をしました。1990年にはノーベル平和賞も受賞ました。
 微:だいたい、ノーベル平和賞を受賞すると、いいことがないからな。佐藤栄作なんてアフリカの国で切手に図案化されたのに間違って「佐藤B作」と書かれて。
 苦:それ俳優の佐藤B作さんが不幸なんではないですか?
 微:いや、もっと凄いのが日本古代史業界に残る「鬼頭さん」誤植事件だな、亀さんになってた。
 苦:もういいよ! ゴルバチョフは1931年にロシアのスタヴロポリ地方のコルホーズ農民セルゲイの子として生まれました。
 微:コルホーズも懐かしいなあ。まあ、ソ連全体がコルホーズだったという説もあるが。
 苦:否定はしません。父は第二次世界大戦で戦死し、母マリアが一人で育てます。
 微:本当に戦死? スターリン時代だから怪しい。カティンの森で発見されないことを祈るわ。
 苦:また幼い頃、スターリンの大粛清で祖父アンドレイが投獄されています。
 微:人生がスターリンのために狂ってしまったのか。まあ、当時は何千万人といただろうけど。
 苦:19歳でモスクワ大学法学部に入学し、そこでライサ・ティタレンコと出会い、53年に結婚しました。22才の時です。
 微:神田川の見える四畳半のアパートから新婚生活を始めたそうです。
 苦:それじゃ別れるよ!! その間の1952年10月にソ連共産党に入党し、大学卒業後は故郷で党活動に専念し、順調に出世して1970年にスタヴロポリ地方党第一書記に就任します。
 微:フルシチョフ時代の昇進ブースターだな。
 苦:1971年には40歳で党中央委員に、1979年には政治局員候補、翌年に最年少政治局員です。
 微:優秀な人間は何をやっても優秀だな。ブレジネフ、子ブッシュ、アベなんて・・・
 苦:1982年にアンドロポフが書記長となるNo.2に当たるイデオロギー担当書記に、チェルネンコ書記長時代も病身の彼を「第二書記」として補佐します。
 微:こいつ、実は殺し屋じゃねえのか? 2名とも短期間で死んでるが偶然か?
 苦:プーチンじゃありません。ゴルバチョフは改革派として名前が知られるようになり、1983年のイギリス訪問でサッチャー首相から「彼となら一緒に仕事ができます」と高く評価されました。
 微:サッチャーに褒められるのは自慢になるのか?
 苦:彼女は使えるものは何でも使いますから。さてゴルバチョフは1985年3月、チェルネンコの死去を受けて、グロムイコ外相の推薦もあって54才でソ連共産党書記長に就任します。
 微:推薦状をもらうのに5日間行列に並んだそうです。
 苦:それ、普通の買い物ね。就任後の人事では、外相にジョージア(グルジア)党第一書記のシェワルナゼを抜擢して内外を驚かせました。既に新思考外交は準備されていたのです。
 微:「地球儀を俯瞰するだけの外交ごっこ」とはレベルが違いすぎる。
 苦:地球儀を回して世界征服を妄想するスーパーマンの敵の方が賢そうですね。11月にレーガン米大統領と首脳会談を行い、核軍縮交渉の加速、相互訪問を骨子とする共同声明を発表しました。
 微:日本の政治家が使う「スピード感」は「やらないよ」と同義だが、違うな。
 苦:1986年4月にゴルバチョフは「ペレストロイカ」を提唱し、本気で改革に着手します。
 微:原発安全管理を合理化したのが原因でチェルノブイリが爆発したそうです。
 苦:東電かよ!! 4月末にチェルノブイリ原発事故が起きると、その根本原因を体制の秘密主義に求め、グラスノスチを推進しました。ただ、触れて欲しくない過去を持つ幹部には不都合でした。
 微:あれは本当に北朝鮮でなくて良かったよな、東アジアは終わっていたよな。
 苦:ベラルーシが怒るぞ!! 当初、レーガンや西側の保守派は、ゴルバチョフの意図はアンドロポフの従来型社会主義の修正、あるいは規律の引き締めに過ぎないと軽く見ていました。
 微:「新しい資本主義」クラスだと。
 苦:しかしゴルバチョフの経済改革は、個人営業や協同組合の公認化を皮切りにどんどん急進的なものになり、改革は経済にとどまらなくなっていきました。
 微:ドプチェク登場時と同じで、初期期待値が低い分、有利。
 苦:ペレストロイカは経済体制の立直しから、ソ連の硬直化した体制全体の抜本的改革・革命へ移行し、「ソ連共産党公認の歴史」の見直しまで進みました。
 微:歴史改竄が当たり前の国だと名誉回復も楽だな。ただし記録が残っていればだけど。
 苦:反体制派科学者サハロフに始まり、スターリンの大粛清犠牲者の名誉回復が進められました。
 微:旧日本軍の毒ガス兵器以上にヤバいもんが出てくるよな、絶対。
 苦:その通りです。そして歴史の見直しは、「民族の牢獄」ソ連で押さえつけられていた民族主義の噴出を招いたのです。そしてそれは今もオセティアやチェチェンでくすぶっています。
 微:プーチンが鎮圧したやつね。いや、あの辺、ゲリラに参加しないと家族が村で生活していけない制裁があるしな。でもアフガニスタン撤退を表明したのもゴルビーだったな。
 苦:その1986年10月にレイキャヴィクでレーガンとの首脳会談で戦略核兵力の5割削減、中距離核戦力全廃を提案しました。ソ連を「悪の帝国」と呼んでいたレーガンは困りました。
 微:大根役者だったんで動揺するのがバレバレかと予想していたんですが、ボケてたのでレーガンは何を言っているのか理解できなかったそうです。
 苦:まだ早いよ!! しかしゴルバチョフ改革と歴史見直しは、ソ連共産党の権威と特権を足元から掘り崩すことでしたから、彼は改革派と守旧派のバランスの舵取りに苦しみます。
 微:「自民党をぶっ壊す!」のかけ声だけで逃げた小泉はうまかった、と。
 苦:共産党自体が最大の抵抗勢力ですから、改革の足場として最高会議や人民代議員大会を設置する傍らで、共産党内においては守旧派への妥協を強いられます。
 微:この辺りは、完全に徳川慶喜状態だな、改革すればするほど幕府がやせ細るという。
 苦:マルタ宣言の1989年は11月に「ベルリンの壁」が崩壊した年でした。東ベルリンから西ベルリンへ亡命する東ドイツ市民は増え続け、東ベルリンの警備が強化されました。
 微:𠮷田沙織アニイが目からビームを出しながら監視していました。
 苦:ALSOKかよ!! しかし西独首相コールはハンガリーと連絡を取り、オーストリアへ脱出する東ドイツ市民を「ヨーロッパ・ピクニックの客」として見逃すよう説得していたのです。
 微:つまり、東ドイツは周囲から既読スルーされていたわけだな。
 苦:実はゴルバチョフはベルリンの壁崩壊前に東ドイツ最高指導者ホーネッカーに、国内改革の遅れに警告を発していましたが、まったく変化はありませんでした。
 微:ホーネッカーは「さいでっかー、ほーでっかー」とマジでボケていたそうです。
 苦:面白くない駄洒落はいいよ! ハンガリーの東ドイツ市民亡命を阻止しない措置はゴルバチョフにも伝えられ、彼もそれを認めました。瞬く間にハンガリー経由の亡命は知れ渡りました。
 微:ウォンサン国際空港みたいなもんだな。乗り換えるだけ、通過するだけの。
 苦:西ドイツに亡命する東ドイツ市民が増え、遂にベルリンの壁の自由通行が実現しました。
 微:そのハンガリーが21世紀には移民排斥路線と独裁に向かっているんだよな(遠い目)。
 苦:制限主権論による強圧的な東ヨーロッパ諸国への影響力行使も、ソ連軍による民主化運動の弾圧はもう起こらないことを、ゴルバチョフは事実を以て示したのです。
 微:実はソ連製テトリスではなく”パイポ”の発想だったのかな。あれはクセになるぞ。
 苦:「ベルリンの壁」崩壊はその後の一連の東欧革命をもたらし、1990年には東ドイツを西ドイツが吸収合併する形でドイツ再統一まで実現しました。
 苦:ただ、これによりソ連は東ヨーロッパでの覇権を失い、各国からの撤退を強いられた軍部、予算と生産縮小を強いられた軍産複合体はゴルバチョフやシェワルナゼへの反感を強めました。
 微:まあ、JAよりは怒らせたら怖そうだな。
 苦:軍産複合体は新思考外交を「売国的」と批判して共産党内の保守派と接近していくのです。
 微:さすが旧式の装備した供給できないだけあって思考も行動も旧式だな。農村部の定数が減らされる選挙制度改革の時の自民党代議士の喚きみたいだな。
 苦:細田かよ!! まあ自民党的には河野洋平総裁ですね。求心力の低下したゴルバチョフは、1990年に強力な権力を付与した大統領制を導入し、人民代議員大会で大統領に選出されました。
 微:間接選挙というあたりが弱いな。でも直接選挙すると少数民族が黙ってないし。
 苦:しかし頼みのシェワルナゼは「独裁が迫っている」と守旧派への危機を訴えて辞任します。
 微:まあ、グルジア(現ジョージア)の大統領になる人だから、距離を取るわな。
 苦:やむなく、ゴルバチョフは、ヤナーエフを副大統領に指名しますが、皮肉にもヤナーエフを始めとする彼に任命された共産党幹部が1991年8月のクーデタを起こすことになるのです。
 微:うーん、これはオオカミに羊小屋の番人をさせるというか、PTAが麻生太郎に絵本朗読係をさせるというか、クリントンを女子寮の管理人に使うというか・・・。
 苦:その一方で、ボリス・エリツィンが人民代議員として復活し、その勢いだけで1990年にロシア共和国大統領になるわ、共産党から離党して党外改革派の代表になりました。
 微:酔った勢いだけの政治家を、酔わずにはいれなかったロシア国民が支持した結果ですね。
 苦:ウォッカに逃げないゴルバチョフは1991年に改革派に接近し、新連邦条約を8月20日に調印する予定でした。
 苦:しかし、8月19日にクリミア半島の大統領別荘にいたゴルバチョフは、ヤナーエフらの「国家非常事態委員会」を名のる守旧派が起こしたクーデタにより夫人と軟禁されます。
 微:これが酔っ払いエリツィンを台頭させるんだから、歴史は皮肉だな。
 苦:モスクワではエリツィンや市民、軍部がクーデタ側に果敢に抵抗しました。共産党本部をロシアの戦車が砲撃する映像を覚えてますか?
 微:ワザと外して「狙い通りに撃てないから直撃したらゴメンな!!」って脅したそうです。
 苦:そこまでヘボじゃねえよ!! ですが、逮捕された首謀者たちはゴルバチョフの側近だったため、皮肉にもゴルバチョフを含むソ連共産党への信頼が失墜します。
 微:まさに多重被害! 彦麻呂なら「これはもう政治責任のミルフィーユやあ~」だな。
 苦:翌8月24日にゴルバチョフはソ連共産党書記長を辞任しました。年末にはエリツィン大統領はロシア共和国のソ連邦からの脱退を表明、ゴルバチョフも12月25日にソ連大統領を辞任しました。
 微:まあ、ゴルバチョフは20世紀に決着を付けるために現れた政治家だったのでしょう。
 苦:勝手にまとめるな! じゃあ、21世紀はどんな時代なんだよ?
 微:親の手に負えないバカ息子・孫の時代かな。将軍様と息子の黒電話、ブッシュ前大統領、ここ5代の日本の首相、若貴兄弟、和泉元彌、菅長男・・・。ああっ、キリがない!
 苦:でも、老害が見えない所でのさばっていること、政権と癒着して公文書を官僚が破棄してくれることが発覚した2021年の日本には、ソ連共産党がふさわしいと思えてきます。
 微:まあ、その国の民主主義の熟成度に応じた指導者が登場するからな、アメリカでも。
 苦:ただ、2022年のプーチン大統領によるウクライナ侵略は、ロシアの大国主義というか、政治的なDNAはモンゴルであることを世界に示しました。
 微:中華人民共和国もそうだな。殺す権力は明の洪武帝ブースターもあるかもしれんが。
 苦:新型コロナウイルス対応で権威主義的体制の再評価も進みかけました。ですが、プーチンが冷や水をかけた格好です。
 微:テレビのコメディ番組『国民の僕』の主演ゼレンスキーが、本気で大統領を演じる展開を誰が予想したか。下腹部でピアノを演奏する様子をTVで流した世界最初で最後の大統領。
 苦:プーチンも2014年の電撃戦成功の幻影で判断力が狂ったんですかね。少し前まではTVで国民の直接質問に直接答えるくらい余裕あったんですがね。
 微:あの伝説の応答ね。「あなたは人を殺したことがありますか?(ガクブル)」「それは、この手を使ってという意味かね?(ニター)」の。
 苦:気がついたら、オルガルヒを生んだ張本人のエリツィンのこと忘れてますが、いいですかね。
 微:まあ、プーチンを最高指導者に抜擢した張本人だけどな。プーチンが脅した説もあるけど。
 苦:オルガルヒって英語のオリガーキー、寡頭支配なんですよね。国営企業や国有財産である資源をエリツィン時代の民営化というかいきなり資本主義化に便乗してに毟り取った悪党企業。
 微:それを一部解体して人気を得たんだよな、プーチン政権初期は。
 苦:まあ、協力というか裏金を出さない企業を干して他の悪徳独占企業を味方にしたんですけど。
 微:でもさすがに年なのか、プーチンも虎とか熊とかの猛獣と戦わなくなったな。
 苦:でもナメていたウクライナがチートして反撃・抵抗するとは思ってなかった。
 微:最後はNATOして、ロシアが負けなくても崩壊するんですかね。でも一番恐ろしいのはその後に「ナンタラ・ハン国」が続々と出てくることだな。「アストラ・ハン国」とか。
 苦:アストラハン・ハン国だよ!! (ペシッ!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?