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【絵本日記】ゴロゴロあざらし

あざらしさんは、ゴロゴロするのがだいすき。
あっちにゴロゴロ。
こっちにゴロゴロ。

ゴロゴロ、ゴロゴロと転がっては、
うーん。と考えごとをいつもしている。

ある夜、いつものように、
ゴロゴロしながら目をつぶっていると、
カラスのカァタロウがこう言った。

「あざらしさん。あざらしさん」
「なぁに?」
「目をつぶってなにしてるの?」
「目をつぶっているようにみえる?」
「うん。ちがうの?」
「ちがうよ。目の裏をみているんだよ」


「あざらしさん。あざらしさん」
「なぁに?」
「いつもゴロゴロして、たいくつじゃない?」
「たいくつにみえる?」
「うん。ちがうの?」
「ちがうよ。いろいろ考えていそがしいんだよ」
「なにをかんがえてるの?」
「おなかすいたなーとか。
雲がきょうながれるのがはやかったなぁとか。
こんやは雲がでてるから、あしたは雨だなとか。
かんがえることがたくさんありすぎて、
ゴロゴロしちゃうんだ」

カァタロウも、あざらしのとなりにゴロンと転がって上を見てみた。

「ほんとだ!こんやは、雲がでているね。
気がつかなかった!」
「よるに雲がでてると、あしたは雨がふるんだよ」
「知らなかったや!あざらしさんすごいね!」
「でしょ?ゴロゴロしないと気づかないこともあるんだよ」

カァタロウは、ふと起きあがり、あざらしさんのお腹にとびのった。

「でも、どうして雲があると雨がふることをしっているの?」
「だって、ほら。あしたもゴロゴロできるか、ちゃんとお天気を見とかないとでしょ?
そうだ、カァタロウ。お腹すいたんだ。
ずっとそのことについて考えてたんだけど、
いいことを思いついた」
「なんだい?」
「カァタロウが、ごはんとってきてよ」
「あざらしさん」
「なぁに?」
「………それはじぶんでやりなよ」

カァタロウはあきれて、とびたった。


「もったいない。ゴロゴロしてたらいいのに」

あざらしさんは、ゴロゴロしていると、
お腹がおおきな泣き声をあげた。

ぐぅー!!


「お腹すいたなぁ。ペコペコだ。どうしよう。
うーん。どうしよう。どうしたもんかな。
まぁでも今はまだ、ゴロゴロしてよっと」

あざらしさんは、ゴロゴロするのがだいすき。
あっちにゴロゴロ。
こっちにゴロゴロ。
おおきなおしりには、すっかり根っこがはえてしまっている。


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