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「魅惑の心理」マガジンvol.133(学問は組み合わせて学んでこそ価値がでる/行動経済学)

何かの学びを進めようとしていると、その学びを極めることが正義のような感覚を持つこともあります。人には物事を極めたいという欲求があります。それもひとつですが、最近は多角的な視点や知見を使って物事をアプローチしようとする動きが進んでいます。たとえば人が持つ対象物の素材感を脳で想像する「質感」という感覚は、脳科学、心理学、感性工学、人間工学などの単体のアプローチではなく、複合的な知見を使うことで研究が一気に加速しました。複合的な知見を持つことで、今までとは異なった学びが進む可能性があるのです。

そこで今回は行動経済学(経済心理学)の学びを進めるにあたり、どのような学問と組み合わせて、どんなところを引き出していくのが良いかを考察していきます。

「経済学は金融関係や一部のビジネスマンが使うもので、自分とは縁がない話」と思っている人は多いかもしれません。しかし、給料は経済を抜きには語れませんし、幸福感や恋愛、子育てに関しても大きな影響を及ぼします。経済は私たちにとって身近な存在といえます。年功序列型の賃金が変化し、格差社会が進み、感染症対策などで今までとは異なった環境になった現代では、人生そのものに大きな影響を与える経済を学ぶことの重要性は日々増しているのです。

経済学で語られる「人」は、合理的に考えて行動し、判断ミスもしないという前提があります。最適な方法があれば迷わず最適な選択肢を選びます。
しかし、実際はどうでしょう。たとえば、交通費を使っても遠方の安い商品を買いに行き、せっかく出かけたついでにと無駄なものまで購入してしまいます。

人のこうした不合理な判断、行動のメカニズムを知るのが行動経済学です。不合理の中に一定の法則や傾向を見つけ、日常生活に役立てようとするものです。心理学の影響を強く受けた経済の話だと考えるとわかりやすいと思います。ビジネスのヒントになるだけでなく、自分を知ることにもつながるとてもおもしろい学門といえます。

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