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「魅惑の心理」マガジンvol.168(あたりまえだけど大事な11の心理のこと/2023年心理学ガイドブック)

人の心にある感情や思考のパターンは様々な影響を受けて変化していきます。しかしながら影響を受けにくく、変わりにくいものもあります。たとえば、他者を嫉妬する感情はSNSのようなツールの影響を受けて高まります。他人の生活が容易に見えて、盛られる世界ではどんどん嫉妬心が刺激されてしまうのです。一方、人や動物の赤ちゃんを見て「かわいい」と感じる感情は普遍的に私たちが持っているものであり、(個人差もありますが)時代背景に関係なく私たちには常にある感覚です。
 
今回の「魅惑の心理」マガジンでは2022年から2023年に向けて変わらない普遍的な心理を確認、大事にしながら、自分と多くの人が充実して楽しい人生を送れるようにと、「あたりまえだけど大事なこと」を11選まとめました。普遍的に大事なものは、変化とともにどう守っていくのが良いのか、変わりゆく心理はどこに注意して向き合えば良いのかを意識してまとめていこうと思います。この原稿を見たのは何かのチャンスです。早めに準備して充実した2023年を迎えていただきたいと思います。

1.    話をするときには「目」を見よう

話をするときに他人の目を見る人が減ってきていました。これは「恥ずかしい」という感覚や他人に「見透かされたくない」という感情が高まっている影響だと思われます。大人の人見知りも増えています。人とのコミュニケーション苦手にする人たちです。コロナの影響で人と接触する機会が減っていたことよって、コミュニケーション能力は磨かれずにさらに衰退傾向にあります。
 
マスクをしている人の感情を読み取るのは難しいのですが、目を通して相手の感情を読み取ることができます。低下していく共感能力の向上のためにも、相手の目を見て話す習慣は大事です。日本人は目から人の感情を読み取ろうとする傾向が強く、欧米では口元の表情筋から感情を読み取ろうとする傾向があるという研究もあります。日本はマスク文化が浸透し、欧米では浸透しないのは、そんな影響が少なからずあるのかもしれません。

また、相手は目を見ないで話をしてくる人を「自分とむきあっていない」と考えてしまう傾向があります。会話で大事なもののひとつは、「あなたに向き合っています」という好意の伝達です。そのためにも、今だからこそ、2023年は誰かが話をしているときには、話しをしている人の目を見ることを意識してほしいのです。ずっと見る必要はありません。特に相手が話をしている時は、相手の顔を見て頷きましょう。

「恥ずかしい」という感情や「見透かされたくない」と思っている人は逆にマスクをしていることが良いかもしれません。マスクには仮面効果という心理効果があり、本来の自分を隠すことができます。マスクをしていない状態よりも、相手の目を見られるようになると思います。相手との良好な関係のためにも、相手が話をしているときには「目」を見ましょう。それを意識するだけでもコミュニケーション能力は磨かれますし、相手との良好な関係づくりにも役立ちます。2023年はマスクを外す機会が増えていくとはいえ、まだまだマスクをする状況は残ると考えられます。

2.質問をする、でもしすぎない

心理学の教科書では、会話で詰まったら「質問をしよう」ということを勧めています。質問することは相手に興味があるというメッセージですから、ポーポーも書籍の中で推奨しています。それは基本的に間違いではないのですが、最近、質問に対しての拒絶心を持つ人が増えていると思います。質問をすると相手は「自分のことに興味がある」と最初は好意的に解釈してくれても、質問を続けると「詮索されている」「ストーカーではないのか?」といった不安感、懐疑心が高まるようになります。不快に思うポイントは人それぞれなのですが、そのポイントが前に寄ってきている(疑心暗鬼になっている)傾向です。たとえば今までは立て続けに5回質問すると、違和感を持つような感じだったとして、それが今では3回になってきているようなイメージです。中には1質問そのものに対して、拒絶感を持つ人もいます。これはストーカー的な犯罪が多く発生して、人に不安を抱かせていることもあると思いますし、また、人それぞれの個人的なことは守られなくてはいけないという考えが浸透してきた影響もあるでしょう。
 
質問は相手に好意を示すサインのひとつでもありますが、質問の仕方を考える必要があります。関係が浅いうちには、個人を特定するような内容やプライバシーに関わること、たとえば住んでいる駅や家族構成などは避けておきたい質問です。また、次から次へと質問を畳み掛けることはやめましょう。拒絶感は個人差やどんな相手かということもあり、一概には言えませんが、質問は2つか3つ程度にしておき、その後は相手の反応を見てからにするようにしましょう。2023年は会話に困ったら質問を使う方向性は継続しても、質問の個数は少し遠慮するぐらいが良いかもしれません。

3. 災害を想定し、準備をしておこう

2022年から23年に向けても、様々な災害は続くと思われます。特に地震には注意しましょう。日本人は正常バイアスが強く働くので、災害に対して日頃から危機感がなく、自分だけは巻き込まれないという根拠のない安心感を持っています。そして、いざ災害が起きると、パニックになり買占めが起きるということを繰り返しています。台風や豪雨の被害は年々増えていますから、水害が起きたときの避難経路の確認、地震が起きたときの対応は、家族で話し合っておきましょう。
 
ここで大事なのが「準備」です。事前に準備をしておくことで、実際に災害が起きたときに冷静に行動できる可能性が増え、そのわずかな差が生死の境目になったりするものです。また、災害とは予想しないものが引き起こすことがあります。たとえば想定するのは地震だけでなく、連動する津波、噴火、火災なども考えておきたいものです。土砂崩れの危険な場所、塀やブロックなど危険な場所の把握はしておきましょう。災害は一つとは限りません。地震と火災、台風と地震など必然的に重なりやすいものだけでなく、偶然重なる災害もあります。複合する災害も想定しましょう。
 
用意するものは、家庭で保存するものと携帯用に分けて、携帯用は使っていないリュックサックに詰めて玄関の近くに置いておきます。
 
(保存用)
・水のペットボトル 2L(最低2〜3ケース)目安1日1人3Lで3日分
・保存用食料(レトルト、缶詰など)
・照明器具(ランタンなど)
・毛布
・簡易トイレ
 
(携帯用)
・水のペットボトル 500mL(3、4本)
・保存用食料(お菓子、カロリーメイト、缶詰など)
・衛生用品(タオル、ウェットティッシュ、アルコール)
・照明器具(懐中電灯など)
・ラジオ(あれば)
・カイロ(冬)
・スマホの乾電池型充電器
・乾電池
・筆記用具、軍手、ライター
 
これらのものは最低用意しておきたいです。備えあれば憂いなしです。そして意識したいのは、ご近所の仲良しさんとの連動、連携で、何かあったらお互いに飲食物などを提供しあえるような関係を築いたり、話もしておいて損はないと思います。ポーポーはご近所で多めにストックしている人と仲良くさせていただくようになり、何かあったらお願いしますと声をかけてあります。こういう関係づくりも挨拶は自分からする、人の目を見て話すといったことの先にあるのだと考えます。色々と連動しているのです。

さてここからは、残りの8個についても解説します。ご興味がある方はぜひお進みください。
 

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