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「魅惑の心理」マガジンvol.148(書籍制作の心理学)

2021年3月9日に行動経済学の新刊「知らないと損する 行動経済学」が発売されます。ポーポー・ポロダクションの23冊目の本になります。これも読者のみなさんの応援のおかげです。心より感謝いたします。おかげさまで著書累計140万部以上を発行し、5割以上の書籍が増刷になりました。ありがとうございます。

ポーポーは心理学や色彩心理学に関係した本を書いておりますが、伝えたい内容をみなさんに伝えるところにも、いくつかの心理効果を活用しています。そこで今回は、ポーポーの本作りの手順を説明しながら、どのような心理効果を使っているかを簡単ではありますが、解説していこうと思います。

作家の方、編集者の方、出版に関わる方はもちろん、本が大好きな方は必見の内容です。ポーポー・ポロダクションならではの心理学、今回の「魅惑の心理学」はそんな変作りの裏側を解説していこうと思います。ポーポーの色彩研究会で紹介したものをより心理的な視点で再編集してまとめています。

○書籍が誕生するまで

さて本作りの項目を下記に一覧表にしてみました。もちろん、小説なのか実用書なのか、作家さんによっても作り方は異なります。ここではポーポーが実用書タイプの書籍をどう作っているかをお話しをいたします。最初はどのようにして本は生まれるかという話です。

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本が生まれるために必要なのは「想像力」です。誰かが「こんな本があったら良いな」と考えなければ、本は生まれません。既存にある本を見て、「自分だったら、もっと良い本を作れる」と考える人もいるでしょうし、存在しない本を想像し「こんな本を書きたい」と思う人もいると思います。既存の作家さんならば、出版社側から「こんな本を書いてください」というリクエストがある場合もありますし、作家さんから出版社に「こんな本を出して欲しい」とアイデアを持ち込むこともあります。ポーポーは両方のケースがあります。

最初に1冊目の本を出したいと考える人は、頼まれることはレアなケースだと思いますので、出版社にアイデアを持ち込んだり、募集しているものに応募する形になります。小説の場合は新人の賞に応募する形以外はかなり難解です。原稿が良い悪いではなく、まず見てもらえません。実用書の場合にも著名な先生ではないと、普通に編集部に送ってもまず見てもらえません。

「なんでも見ます」という出版社は逆に自主出版などを勧めてきてそれでビジネスモデルを作っています。電子書籍では割と簡単に出版ができるようになっていますが、埋没しがちで売れる本にはなるのは大変なようです。なかなか1冊目の壁が高いのが本の業界です。そして1冊目がヒットしない限り、次の機会が遠のいてしまうそんな厳しい業界でもあります。

一般的に本を作るのには、編集会議で会社の偉い人たちから出版のGOサインをもらわないとスタートしません。そこで必要なのが出版企画書です。ポーポーはこの企画書のラフなものを作って担当編集者に渡します。編集者と内容をつめて、修正して渡すと、それを編集者がその会社でのフォーマットに落として、編集会議に持っていってもらえます。そして、この企画書作り方心理学の技術が問われます。それは偉い人が「この本を出したい」と思えるポイントを押さえるのです。

具体的にはどんなものを書きましょう。ポーポーの企画書には「背景」「目的」「コンセプト」「方向性」「構成予定」「ページ見本」をつけるようにしています。ラフな段階では「背景」「方向性」「構成予定」を入れるようにしています。「背景」とはその本のジャンルの状況です。今、注目されているとか、これから注目されそうとかの出版背景、本の背景です。「方個性」はどんな方向の本にするかです。これはとても大事です。初心者向けなのか、男性向けなのか想定読者ターゲットを明確にして、それに応じた見せ方をどうするかを明記します。ここを立たせないとほんとしての個性が失われます。「構成予定」はラフの目次みたいなものです。全体の中でこんなこと、こんなことを書きたいとまとめます。

具体的な項目(ページのタイトル)があったほうが良い場合もあります。新刊の行動経済学の本では、たとえば「投票の話を聞くだけで、投票率が上がる」「株が暴落するメカニズム」「ネット通販には行動経済学の罠がいっぱい」「ものを買うより体験にお金を使うと幸福になれる」などの項目を並べました。読んだ人が「面白そう」と感じてもらえたら成功です。ここでも定番的なものと、他の本では見ないだろうなというものを用意します。定番的なものを物差しとして、意外性ある項目がコントラストから映えるのです。

出版社に対して、いくつか心理効果も狙うこともあります。ポーポーが最も大事と考えるもの、それは

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