見出し画像

「お前が好きだ」表現の違いで見る2gether

この文章は

タイBLドラマ「2gether The Series」に出てくる「お前が好きだ」など告白シーンのタイ語表現の違いについて順を追ってまとめつつ感想を述べているものです。ゆるふわタイ語学習者が勉強がてら書いていますので間違いがあれば教えてください。

注意:このnoteでは日本語字幕について言及していますが、今後版権の関係で配信停止になるという情報があります。なのでこの記事ではyoutubeのリンク並びに各シーンのキャプチャ画像は載せていません。

EP.1「เราชอบใน」ーGreen登場&告白シーン

記念すべき最初の「好きだ」はGreenがTineに告白するシーンです。
辞書では「เรา=私たち」なのですが、親しい友人や恋人の間では一人称「私or僕」として使われているようです。初対面なのにGreenの圧を感じさせます。「ชอบ=好き」なのでそのままですね。

日本語字幕は「あなたのことが好きなの!」、英語字幕は「I like you!」
とそれぞれ表示されています。

それにしても後半のGreenはTineとSarawatのいい相談役みたいなポジションにおさまると思っていたので、完全にモブ化してしまったのはちょっと寂しかった。

EP.1「รักไทน์」ーTineに渡されたトイレットペーパー

「รัก=愛してる」「ไทน์=タイン」なので、そのまま「愛してるタイン」となりますね。

日本語字幕では「大好きよ、Tine」、英語字幕では「love you ,Tine」とそれぞれ表示されています。

書いてて気付いたんですがไทน์の "น์" って発音しないので「タイ」の方が発音としては正しい気がする。

EP.3 「กูช่วยมึงอยู่จีบ」ーカフェで1か2か選ぶシーン

実のところ、「จีบ=口説く」なので直訳すると「俺はお前を口説いてあげる」となり、「好き」ではなかったです。
ただ、日本語字幕では「1も2も、両方俺はお前を好きってことだ」、英語字幕では「(Both 1 and 2 mean) I like you」となっていること、公開告白シーンなので取り上げました。

後述しますが、序盤のSarawatは「好き」に直結する単語を使っていません(音楽が好き、みたいな時は使っています)。
ただし、以下のシーンでは「ชอบ」を使っていました。

・EP3. TineのIGをフォローした時
・EP4. Phukongと恋について話していた時
・EP.5 「変わった人が好き」と言った時
・EP.6 GreenとTineの間に割って入った時
・EP.7 MVのセリフ

これはTineについて(またはTineと話している時)のセリフなので遠回し告白とも取れますが、ここでは一旦ノーカウントとして進めます。
間接的なシチュエーションでしか「ชอบ」使わない(使えない?)Sarawat、慎ましやかさん。

EP5.「กูจองมึงแล้ว」ーSarawatがTineにキスしたあと

「กู」は男女共に使えるカジュアルな1人称、「มึง」は男性同士が使うカジュアルな2人称です。ただ間に入っているのは「จอง=予約する」なので直訳すると「俺はお前を予約している」となります。
実際、日本語字幕では「お前は俺のものだ」英語字幕では「You are reserved」となっていました。

まだ「ชอบ」出てきません。そわそわ。

EP7.「กูชอบมึง」ーSarawatがTineにキスしたあと

やっとชอบが出てきました!待ってた!
ただ日本語字幕も「俺はお前が好きだ」英語字幕は「I like you」なので、初めて出てきた感がないんですよね。

EP.10「ผมชอบสารวัตรครับ」ーTineがインスタに投稿した文面

今まで1人称は「กู」が主に使われていましたが、「ผม」はより丁寧になります。俺と僕(or私)、のような違いです。「ครับ」という日本語のですますにあたる語尾もつけているので「はSarawatが好きです」とかなり硬い言い方になっています(ただ日本語字幕はกูと同じく「俺はSarawatが好き」、英語字幕は「I like sarawat」)。インスタ用に丁寧にしたのかな・・・律儀。

EP.10「กูชอบมึง」ーMilとPhukongがシュート対決するシーン

EP.7と同じく「俺はお前が好きだ」です。ただこのセリフ、この単語が出てくるくらい親しくなったとみなすのか、単に年上→年下だからカジュアルになっているのか性癖により判断が分かれますね。

その後に「弟として」が続いてしまったし・・・この眉毛ボーン!(下まつげボーン!鼻血ブー!・・・ではない)なMil先輩はなんでモテるのかよくわからなかった。

EP.11 「ผมชอบคุณนะครับ」ーSarawatの撮影した「Your Smile」動画の中

こちらも「ผม」も「คุณ」という丁寧な言い方をしています。どちらも初日に習うレベルの超簡単タイ語です。「ผม」は丁寧な1人称、「คุณ」は丁寧な2人称です。「ครับ」は前述したように日本語のですますに当たり、「นะ」は語尾の〜ね、〜よ、に近く、言葉を柔らかくするために付け足されることが多いようです。ただ日本語と対称な言葉ではないので無理やり「นะ」を入れて直訳しようとすると「僕は君が好きです」となり少し不自然です。「僕は君が好きなんですよ」であれば多少自然ですが、セリフとしてはまどろっこしさがあります。

実はこのセリフ、SarawatがTineに向けて使われるのはここだけです(インスタ投稿は直接言ったわけではないので除外)。個人的に距離感の違いを感じてかなりグッときたシーンで、この文章を書こうと思い立ったきっかけです。ちなみにこの動画の中でSarawatはずっと「ผม」と「คุณ」と丁寧な言葉を使っています。たまらん。

日本語字幕は「กูชอบมึง」で使われていた「"お前"が好きだ」ではなく「"君"が好きだ」で違いを明確に打ち出していたのに英語字幕は変わらず「I like you」なのはニュアンスの違いを感じられず残念。

EP.11「กูชอบเหมือนกัน」ー動画を見た後のTine

目的語に「เหมือนกัน(=同じ)」が入るパターンでした。

日本語字幕は「俺"も"お前が好きだ」英語字幕は「I like you too」なので似た様なものですね。

EP.12「เรารักแก」ーPamとSarawatがハグ

「เรา」は前述したとおり親しい友人や恋人の間で使われる1人称なのでPamが使うのは自然ですね。また「แก」も親しい人に使う2人称です。これまで出てきた2人称「มึง」は主に男性間で使われるので「แก」が使われていると思われます。

また、ここで初めて「ชอบ」ではなく「รัก(=愛する)」が出てきました。日本語字幕はシンプルに「好きなの」、英語字幕は「I love you」となっていました。

EP.13「เรารักแกไม่ได้」ーPamの回想シーン

ここではPamの「เรารักแก」を受けて、Sarawatも同じく「เรารักแก」を使っています。その後に続く「ไม่ได้」は「できない」なので英語字幕も「I can't love you」となっています。

タイ語の「できない」はいくつか種類があって、「ไม่เป็น(未経験なのでできない)」とか「ไม่ไหว(気分や体力的にできない)」があるので、ここでは未来永劫できないっていう意味で「ไม่ได้」が使われてるんだなーと思うと切ないです。ちょっと神田愛花に似てて可愛かったな、Pam。

EP.13「ผมก็ชอบพี่เลย」ーManとTypeがカフェで読書

タイでは上下関係が大事なので、年下のManは丁寧な1人称の「ผม」、目上の人に使う2人称「พี่」を使っており、関係性によって字幕も「〜さん」であったり「〜先輩」であったりしますが、Typeに関しては「Typeさん」で表現されていました(Dimは「Dim先輩」でした)。

語尾に「เลย(=とても)」が入っており強調しているので、英語字幕では2回目の大声を出すシーンでは「I FREAKING LIKE YOU!」と大文字表現。

【番外】EP.2 「เป็นแฟนกูนะ」ーTineが初めてSarawatに恋人のふりを頼むシーン

「好きだ」シリーズとは逸れますが、ドラマの中で何回も出てくるので書き残しておきます。

日本語字幕は「彼氏になって」、英語字幕は「Be my boyfriend」なのですが、タイ語の「แฟน=恋人」はどちらの性別でも使えるのがポイントです。また前述した「นะ」が語尾に使われているので無理やり入れると「俺の彼氏になって」が近いかと思います。

Tineは最初からแฟนを使ってSarawatにお願いするんですが、EP.2の最後、Sarawatはペットボトルに文字を書くシーンでแฟนではなく「จีบ(มึง)」を使っているんですね。前述したように「จีบ=口説く、浮気する」という意味であることを考えると、直訳としては「口説いてやるよ」の方が近いかもしれません。英語字幕では「Okay、I will be your fake boyfriend」、日本語字幕では「いいよ、お前の偽の彼氏になってやるよ」と書かれています。

実際ペットボトルにも「มีคนจีบแล้ว」と書かれています。「คนจีบ」は愛人や浮気相手のことを指しているので英語字幕の「He is taken」や日本語字幕の「彼には恋人がいます」だと、แฟนが使われていないニュアンスの違いが表現しにくいので翻訳の難しさを感じます。

「จีบ」に関してはその後のTineのセリフ「ช่วยจีบกูหรอว่ะ」でも使われています。直訳すると「口説いてくれるんだよね?」になりますが、日本語字幕「(おい、)じゃあ助けてくれるの?」、英語「(Hey, )So you will help me?」となっています。

Sarawatは序盤ではแฟน使わないんですよね。このタイミングでは本当の恋人になれないと思っていたからかな・・・と思いを馳せると語学の勉強なのに語彙力が溶けます。

แฟนは使ってないですがEP3.でTineがTeamSarawatWivesのメンバーとバレた後は「อยากเป็นเมียกูรืไง」(日本語字幕「お前、俺の嫁になりたいの?」英語字幕「Do you want to be my wife?」)と「เมีย(=嫁)」を使っています(EP8.のアンケート用紙も同様)。また、EP.5で2人で動画撮影をする時も「ผัว(=夫)」を使っています。ヒューヒューだよぉ!

それからEP.4のLIVE前、Dim先輩はแฟนを使ってSarawatに話をしています。日本語字幕は「特別な人」英語字幕は「 loved one」「special one」を使って表現しています。同様に、EP.5でManがFongを慰める時も「おっぱいが小さい恋人」のところはแฟนを使っています。
Dim先輩もManもSarawatがTineを好きなことを最初から知っているのでแฟนを使ってるんだなぁと思うと伏線回収された感じがしますね。

EP.7のScrubbのLIVE後の家飲みシーン、Tineと二人きりになったSarawatは「お前が俺の彼氏だったら・・・」でแฟนを使っています。しかしその後、TineがSarawatに恋人のフリを終了しようと告げるシーンではแฟนが使われていません。せつない。

でもその後のEP.8冒頭、トイレでギター弾くSarawat(この演出謎ですね・・・)はแฟนつかってます。

そしてEP.9、TineのLIVEのあとはストレートに「เป็นแฟนกูนะ」(日本語字幕「俺の彼氏になってくれる?」、英語字幕「Will you be my boyfriend?」)とแฟนを使った表現をしています。これはEP.2でのTineのセリフ「彼氏になって(英語字幕「Be my boyfriend」)」とまったく同じなので前回は偽の彼氏、今回は本当の彼氏、という伏線回収の趣があるんですが、日本語字幕も英語字幕も翻訳を変えているのでセリフとしては素晴らしいものの、ちょっともったいないですね。

そのあとは2人ともแฟนを使っています。よかったよかった。

そういえばEP.10でManがTypeに告白する時は最初からแฟนを使ってました。

***

長くなりましたがこれでおしまいです。ขอบคุณที่อ่านจนจบค่ะ!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?