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アラフィフおやじの夏、青春18きっぷ一人貧乏鉄道旅の振り返り(2日目後半:非効率が実は最高の贅沢)

アラフィフ世代、適応障害で長期欠勤中だった私が、この8月に一大決心をして、青春18きっぷを使い一人貧乏鉄道旅をした時の振り返りです。

前回は、旅の2日目(京都の福地山から福岡県小倉までの行程)について、
車窓からの風景で期待していたもの6つの内、はじめの3つについて書きました。

後半の今回は、残りの3つについてお話します。

車窓からの風景で期待していたもの

  1. 城崎温泉

  2. 余部橋梁

  3. 宍道湖

  4. 大山

  5. 日本海に沈む夕日

  6. 関門トンネル

4.大山(だいせん:鳥取県)

大山(だいせん)という名前は、私が小学生当時、紙の時刻表を読んでいた時に、急行列車の名前「だいせん」で初めて知りました。

しかし、その当時は、「だいせん」という言葉が山の名前であることは知らず、不思議な響きの名前だけど、どんな意味なのだろう?

と思っていました。

私は東北地方出身者なので、大山という山は馴染みがなく、大人になるまで何処にあるのか分かりませんでした。

この山が鳥取県にあることを知ったのは、NHKのグレートトラバース(日本百名山一筆書き)を見た時だったと思います。

大山は、以下の通り、中国地方で最も高い山(標高1,729m)で、日本百名山に選ばれている非常に有名な山でした。

大山は鳥取県西部に位置する中国山地の最高峰で日本百名山に選ばれている名峰です。

北・西側から眺める姿は端正な円錐形で、伯耆(ほうき)富士や出雲富士の異名を持ちます。
出典:はじめての登山・トレッキングガイド https://guide.mwt.co.jp/mountain/destination/chugoku-shikoku/daisen/

今回の旅では山陰本線経由のルートを回るため、この山の雄姿を車窓から眺められるのではないか。と期待していました。

〇〇富士という異名を持つ山は、富士山と同様に、きっと美しい円錐形の形をしているはずなので、写真に収めたい。という希望もありました。

大山登山の最寄り駅は山陰本線大山口駅という駅ですが、この駅では途中下車出来るだけの停車時間がないので、走行中の列車の中から写真を撮りました。

残念ながら、山の中腹から上は厚い雲に覆われていて、全貌を目にすることはできませんでした。

車窓から見えた大山は山頂が雲に覆われていて残念・・・

晴れていれば、こんな感じに見えるそうです。

5.日本海に沈む夕日

夏の日本海と言えば、冬の荒々しさとは裏腹に、ほとんど波がなく穏やかで、青く澄んだ海が印象的です。

日中の日本海も美しいですが、やはりクライマックスと言えば、真っ赤な夕日が水平線に沈む光景でしょう。

以前日本海の夕日を見たのはいつの頃だったか・・・。
恐らく10年以上前だったと思います。

今回夕日が見れたのは、列車が山口県阿武郡阿武町にある、宇田郷駅付近を走行中のことでした。

須佐~宇田郷間走行中の車窓から見えた日本海の夕日

席がガラガラでほぼ貸し切りに近い状態の普通列車に揺られ、夕日を眺めながら、

「嗚呼、結構遠くまで来たなぁ。今夜の宿をそろそろ探さなければ。」

とか、

山と磯の間の狭い平坦部を走る車内から時折見える小さな町の古びた家並みを見ながら、

「この地に住んでいる人達は、日々どんなことを考えながら暮らしているのだろう。もし自分がこの町に住むとしたら、何をして生計を立てていくのだろうか。」

などと、とりとめもない物思いにふけっていました。

こんなことにじっくり時間を使えるのも、一人旅ならではの贅沢です。

長門行の普通列車の車内はガラガラ

6.関門トンネル

山口県の下関と、福岡市の門司港間の関門海峡を横断するトンネルが関門トンネルです。

関門トンネルには、鉄道用(山陽本線)と、自動車用(国道2号線)の2つがありますが、これらはそれぞれ別の場所を通っています。

(前略)単線トンネル2本で構成され、下り線トンネルは全長3,614.04メートル、上り線トンネルは全長3,604.63メートルである。
出典:ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%96%A2%E9%96%80%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB_(%E5%B1%B1%E9%99%BD%E6%9C%AC%E7%B7%9A)

このトンネル、昔、本州から九州に向かう寝台特急が通過する際は、下関駅で、客車をけん引している電気機関車を、ボディがステンレス製の、銀色の機関車に交換して門司港まで走行していたそうです。

関門トンネルを挟む山陽本線下関 - 門司間では、1942年の開通以来、直流1,500Vで電化されていた。しかし、1961年6月1日に鹿児島本線門司港 - 久留米間が交流電化される際に門司駅構内も交流20,000V、周波数60Hzで電化され、下関寄りにある関門トンネル入り口付近にデッドセクションを設置して電気的に分割することになったため、双方の電化方式に対応する交直流電気機関車が必要となった。

車体は関門トンネルの海水による錆(塩害)を防ぐため、(中略)防錆対策に効果を上げていたステンレス板を車体外板および屋根上機器箱に採用
出典:ウィキペディアhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%89%84EF30%E5%BD%A2%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A
ボディがステンレス製の銀色をしたEF30型電気機関車
出典:ウィキペディア(
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%BD%E9%89%84EF30%E5%BD%A2%E9%9B%BB%E6%B0%97%E6%A9%9F%E9%96%A2%E8%BB%8A)

今では、電気機関車がけん引する客車ではなく、電車が当たり前になっており、この機関車を目にすることはできません。

下関~小倉間を走る415系電車

私が下関から小倉まで乗車したのは、上の写真にある、白地に青のラインの電車です。

トンネルの長さが3km以上ありますが、下関から関門海峡対岸の門司駅までの所要時間はわずか8分。

トンネルを通過している時間は感覚的には4~5分といったところでしょうか。

このトンネル走行中の電車、体感速度はかなり速いです。
直線区間ということで、恐らく時速100kmは出ていると思います。

トンネル内で反響するせいか、モーター音も甲高いうなりを上げて高速回転していることが体感できます。

更には、トンネルですから、当然景色なんてものは見えません。

トンネル内に一定間隔で配置されている白っぽい蛍光灯の光が窓の外を光の帯のように流れていくのが見えるだけでした。

海上を船で渡れば、関門海峡越しに対岸の九州の街並みがゆっくり近づいてくるのが見え、感慨深いものがあるのでしょうが、やはりトンネルだと、感慨に浸るまでもなく、あっという間に門司港駅に到着してしまいました。

ですが、自宅を出発してから丸二日かけてようやく九州に上陸!

途方もなく非効率な交通手段が実は贅沢な時間を与えてくれる

新幹線なら、東京から博多まで5時間

飛行機なら、乗っている時間だけで言えば、わずか1時間強

そう考えると、普通列車だけを乗り継いで九州に行くというのは、途方もなく効率が悪い手段ですね。(笑)

しかし、これだけ時間をたっぷりかけて様々な列車を乗り継ぎ、

地方の小さな駅で途中下車し、

各地の街並みや美しい風景をじっくり味わえるのは、

何事も効率重視で人にゆっくり考える時間を与えない現代社会においては

むしろとても贅沢な事ではないかと思います。


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