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Peaceable Education#1 自分とお友達を幸せにする力

子どもたちが自分とお友だちを共に幸せにする力を育むオランダで生まれたピースフルスクールプログラムを、日本に導入し、今年で10年になります。学びの達人である子どもたちに、大人が学ぶこともとても多いです。

ピースフルスクールプログラムを導入している園では、沢山の素敵な対話が生まれています。その中でも、私がとても気に入っているエピソードを事例に、Peaceable Educationが目指す「自分とお友だちを幸せにする力」についてご紹介致したいと思います。

ご紹介するエピソードは、全国国公立幼稚園・こども園長会の機関誌 幼児教育じほう5月号の巻頭言でも、ご紹介させていただきました。

★☆・★・・・★ 自分とお友だちを幸せにする力 ★・・・★・・・☆★

「おちちゅいて」と、お友だちに、お茶を差し出す4歳の子どもの姿は、子どもの真摯に学ぶ姿勢を投影しています。

「喧嘩をしたら、仲直りするために話し合いをしましょう。そのためには、まず、最初に、心を落ち着かせることが大切です」と教えたら、子どもたちが、早速、実践してくれました。

「おちちゅいて」という声かけは、喧嘩をして、感情が高ぶっているお友だちに気づいた4才児が、麦茶をコップに注ぎ、お友だちに届けてくれた時に発した言葉です。

世界一子どもが幸せな国オランダで生まれたピースフルスクールプログラムを日本に紹介して、10年になります。ピースフルスクールは、子どもたちの主体性と共生する力を育むプログラムです。

子どもたちは、自分の気持ちを、言葉で伝える練習をします。また、「どうしてそう思うのか」を伝える練習をします。ある園では、突然、廊下で泣き始めた子どもが、「お母さんが、先に私を見つけたの」とその理由を話してくれました。その子は、迎えに来るお母さんが、自分を見つける前に、自分がお母さんを見つけることを大切にしていたようです。泣いている理由を知ったお友だちの一人が、「大丈夫だよ。明日は、きっと先に見つけられるよ」と慰めていました。

子どもたちは、対立は悪いことではないと教わります。お友だちと意見が違っても、お友だちでいられることを学びます。対立した時の対処方法は、黄色い帽子、赤い帽子、青い帽子の3種類です。赤い帽子は喧嘩で、青い帽子は譲歩や我慢です。黄色い帽子は、話し合いです。子どもたちは、対立した時には、赤い帽子や青い帽子ではなく、黄色い帽子をかぶり、話し合うことを大切にします。その最初のステップが、心を落ち着かせることです。

子どもたちは、教わったことをすぐに実践します。子どもたちには、みんなで仲良く遊びたい、みんなが笑顔でいることが幸せだと思う心があるからだと思います。子どもたちは、やがて、卒園し、小学校に入学します。多様性の増す時代だからこそ、対立の種はあちらこちらに存在します。意見が違ってもお友だちでよいこと、対立したら話し合えばよいことを教わった子どもたちが、大人になるまで、その練習を続けることができれば、自分も社会も幸せにできる大人に育ってくれるのではないでしょうか。これからも、みんなの幸せと平和を願う子どもたちの心を守り育み続けたいと思います。

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2023年夏には、「先生の学校」とのコラボで、Peaceable Educationの勉強会も本格的にスタートする予定です。子どもたちが、自分とお友ともだちを幸せにする練習を沢山して、大人になることができると、みんなの幸せも、社会の幸せも拡大すると思います。ぜひ、沢山の皆さんに仲間になっていただきたいです!


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