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今日はあの山へ #8|草紅葉の尾瀬を歩く

尾瀬の草紅葉が見頃を迎えるのは9月中旬から10月上旬。黄金色に染まる湿原はとても美しく、訪れる人を魅了します。

2022年9月30日〜10月1日、草紅葉が始まった尾瀬を歩いてきました。尾瀬は大きく分けて「尾瀬ヶ原」と「尾瀬沼」のエリアがありますが、今回は尾瀬ヶ原周辺を散策。見晴キャンプ場でテント泊をしてゆっくり楽しむプランです。

今回の行程

説明用MAPです。実際に行く場合は必ず山と高原地図等を使用してください

新宿から夜行バスで戸倉(夜行バスの停留所名は尾瀬戸倉)へ移行き、乗合バスに乗り換え鳩待峠まで移動。鳩待峠から先は徒歩になります。山ノ鼻牛首分岐竜宮十字路見晴と進み、見晴のキャンプ場でテントを張った後は東電小屋ヨッピ吊橋方面にも足を伸ばしました。


0〜1日目

新宿〜戸倉〜鳩待峠

戸倉へのアクセスはバスタ新宿発の関越交通「尾瀬号」が便利です。2022年度は06:35発、07:15発、22:00発の便があり、今回は22:00の夜行便に乗車しました。

戸倉には03:30到着で、戸倉〜鳩待峠の乗合バスの始発は05:00。「深夜に外で1時間半の待ち時間が発生するなぁ」と思ったのですが「一旦その先の大清水(03:50着)まで行き、バスは再度尾瀬戸倉まで戻るのでこのまま乗車していて構わない」というバス会社の配慮があったので助かりました。最終的に戸倉に下車したのは04:20頃でした。

身支度をして乗合バス待ちの列に並び、05:00頃に戸倉〜鳩待峠の乗合バスに乗車。20分ほどで鳩待峠に到着です。

夜でも(夜だから?)人が多いバスタ新宿
鳩待峠のバス駐車場。あたりはまだ薄暗く寒い
バス駐車場から数分の鳩待峠休憩所。帰りはここで乗合バスの乗車券を買うので覚えておこう


鳩待峠〜山ノ鼻

鳩待峠から山ノ鼻までは樹林帯の『下り』です。道中は木の階段や木道がほとんどのため、雨の日やその翌日、霜のおりる頃などは滑りやすく注意が必要です。モンベルのリバーシブルグリッパー(濡れた木道でも使用できる滑り止め)などがあると安心です。

また、今回は途中で熊が出没した(私は直接見なかったのですが先頭の人が発見し、大声を出し続けてなんとか追い払ってくれた)ので熊鈴などを持参するのが良いと思います。

鳩待峠の尾瀬ヶ原入口から山ノ鼻を目指す。道中は右側通行
山ノ鼻までは木道が敷かれた樹林帯を歩く
道中にある熊避け鈴。まさにこの付近で熊が出た。個人でも熊鈴を鳴らすなどした方が良いだろう
山ノ鼻に到着。ベンチがあるので一息入れている人も多かった


山ノ鼻〜牛首分岐〜竜宮十字路〜見晴

山ノ鼻から尾瀬ヶ原に入ると霧に覆われた幻想的な光景が目に飛び込んできました。

尾瀬では早朝と夕方、放射冷却により霧が発生する事が多いそうです。

霧は太陽がのぼるにつれて姿を消し、かわりに澄み切った空が出現。広々とした尾瀬ヶ原が見渡せるようになりました。晴天の下で黄金色に輝く草紅葉が素晴らしく、何度も立ち止まってしまってなかなか先へ進めません。

霧がかかる幻想的な尾瀬ヶ原
まるで湯気があがっているかのようだ
後ろを振り返れば至仏山
進行方向には燧ヶ岳。広大な湿原に霧が湧き上がる
太陽が登るにつれ霧は姿を消していく
30分ほどで霧はすっかり消え、快晴の尾瀬ヶ原となった
池塘に映る逆さ燧(さかさひうち)
牛首分岐。ベンチが多いので一息入れるのにぴったりだ
竜宮十字路に建つ龍宮小屋
この橋の付近で群馬県から福島県になる
竜宮十字路を抜けると人は少なくなり、静かな湿原歩きとなる
小屋が見えてきた。あの一角が見晴地区である


見晴でテント設営後、尾瀬小屋で腹ごしらえ

見晴に到着したらテントの受付手続きのため燧小屋へと向かいます。予約不要・料金はトイレ利用料込みで¥1,000でした(2022年の場合)。

テントを設営して身軽になったところで腹ごしらえ。以前から気になっていた尾瀬小屋へと向かいます。

見晴地区には複数の山小屋がありますが、その中でも尾瀬小屋は「本当に山小屋なの?」と思うほど食事メニューが豊富。朝の7時頃から食事ができる(2022年の場合)ありがたい存在です。今回は名物のステーキ丼をいただきました。食欲をそそる見た目、それを裏切らない美味しさ。朝から山小屋でこんな良いものを食べられて幸せだなぁ。

燧小屋でキャンプ場の受付を済ます
100張可能な見晴キャンプ場
キャンプ場のすぐそばにトイレと水場がある
見晴地区の一角にある尾瀬小屋
尾瀬小屋は山小屋とは思えないほどメニューが豊富。日帰り入浴も可能だった
尾瀬小屋名物ステーキ丼。レア肉の旨味あふれる一品だ


見晴〜東電分岐〜ヨッピ吊橋〜牛首分岐〜見晴

食事を済ませてテント内の整理を済ませた後、東電小屋〜ヨッピ吊橋方面の散策へと出かけました。

山ノ鼻〜見晴間は湿原の中に敷かれた木道が続きましたが、見晴〜東電小屋間では笹に囲まれた道や低山の登山道のような山の雰囲気を感じる場所もありました。

静かな場所に建つ東電小屋を通過すると、ふたたび湿原となります。東電小屋からヨッピ橋の道中はツキノワグマがよく出るそうで熊よけの鈴が設置されていました。

見晴から至仏山を望む
今までとは少し雰囲気が違う道が出現
僅かながら低山の登山道のような道もあった
尾瀬といえば歩荷さん。この日は東電小屋付近ですれ違った
静かな場所に建つ東電小屋。花豆ジェラートはやっていなかった……
東電小屋を過ぎると再び湿原となる
東電小屋〜ヨッピ橋付近に設置されている熊避け鈴。山と高原地図にも「熊注意」とある
ヨッピ橋は定員10名なので大勢で渡らないように注意
このあたりは歩いている人が少なかったので静かな散策ができた
燧ヶ岳と池塘。尾瀬には1800個ほどの池塘があるそうだ
牛首分岐まで戻ると沢山の人で賑わっていた
再び見晴を目指して歩き出す


尾瀬小屋で夕食

見晴まで戻ったらふたたび尾瀬小屋に行き、早めの夕飯をいただきました。Twitterのフォロワーさんに「限定5食のオマール海老カレーがある」と教えてもらったので注文。どうも限定という言葉に弱いです。濃厚な海老の旨味あふれる甘めのルーが本格的な一品で、ここが山小屋であることを忘れそうになります。

まさかオマールが1匹ドーンと乗ってるとは思わなかった
尾瀬小屋にあるテラス。ゆったりとした時間が流れる場所だ


夕暮れの見晴地区

食後はテント内でゆっくりと過ごし、日が暮れ始めた頃に外に出て見晴付近を散策。至仏山は残念ながら雲に隠れて見えませんでしたが、あたりは淡色の夕焼けにつつまれ幻想的でした。やがて小屋にはオレンジ色のやわらかな光が灯り、あたりは夕闇に沈んでいきました。

至仏山が見えないので木道を主役に撮ってみた
小屋から漏れるオレンジ色の灯りが綺麗だった夕暮れ時

2日目

早朝の見晴地区

翌朝、外に出ると湿原には霧が立ち込めていました。霧の中に浮かぶ至仏山がとても幻想的で、多くの人が感動の声を上げながら写真を撮っていました。やがて至仏山の山頂がほんのり赤く染まったものの長くは続かず、次第に霧が濃くなり真っ白の世界に。

霧の中に浮かぶ至仏山
ほんのり赤く染まった至仏山
次第に霧が濃くなったのでテントに戻ることに


見晴〜鳩待峠

朝食をとりテントを片付けて見晴地区を後にする頃、霧はすっかり消えていました。見晴地区の周辺の草紅葉は、心なしか昨日より進んだような感じがしました。

名残惜しいですが鳩待峠へと戻ります。山ノ鼻へと向かう帰りの景色も素晴らしく、前日と同様に何度も立ち止まってしまってなかなか先へ進めません。

鳩待峠〜山ノ鼻間は行きは下りだったので帰りの山ノ鼻〜鳩待峠間は『登り』。下ってくるたくさんの人とすれ違いながら鳩待峠に着いたら、休憩所横の乗車券売場で乗合バスの乗車券と名物花豆ソフトを購入。花豆ソフトはあずきのような風味で食べやすく、やさしい甘さが疲れた身体を癒してくれました。

花豆ソフトを食べ終わったら休憩所から数分のところにあるバス乗り場へ移動。乗合バスに乗って15分ほどで戸倉に到着です。

前日にもこの景色を見たが、草紅葉が少し進んだような気がする
黄金色に輝く草紅葉
池塘に青空が映り込んで鮮やかだ
進行方向には至仏山
見事な景色を見て立ち止まってしまうのは私だけではないようだ
花豆ソフトは美味なのでぜひ一度ご賞味を
乗合バスは人数が集まれば時間外でも出発してくれる


下山後温泉と食事

乗合バスで戸倉バス停まで運んでもらったら、バス停のすぐそばにある「尾瀬ぷらり館」へ。こちらには「尾瀬温泉 戸倉の湯」があります。2022年度はコロナの影響で周辺の宿屋が日帰り入浴を休止していたため、バス停近くで入浴できるのはここしかありませんでした。

戸倉の湯はコロナ対策で一度に入浴できるのは6人という制限がありましたが、ちょうど空いている時間帯だったのでスムーズに入浴することができました。

入浴後はバス停から7分ほどのところにある蕎麦屋「尾瀬かもしか村」で野菜天もり(そば)をいただきました。野菜の天ぷらは7種類でどれも大きく食べ応え十分。小鉢が付いて¥1,100。味値段共に満足するメニューでした。

戸倉バス停横の「尾瀬ぷらり館」。お風呂の中の写真はさすがに撮れなかった
戸倉バス停から7分程の所にある食事処「尾瀬かもしか村」
野菜天もり¥1,100。てんぷらがとても大きくて美味しかった

今回かかったお金

交通費

・バスタ新宿〜尾瀬戸倉 高速バス代往復:¥8,800
・戸倉〜鳩待峠乗合バス往復:¥2,000
計:¥10,800+自宅最寄駅〜新宿駅往復料金

食費

・尾瀬小屋 ステーキ丼:¥1,600
・尾瀬小屋 限定オマールカレー:¥2,500
・尾瀬小屋 生ビール大:¥800×2=¥1,600
・鳩待峠 花豆ソフトクリーム:¥500
・尾瀬かもしか村 野菜天もり:¥1,100
計:¥7,300

その他

尾瀬ぷらり館 戸倉の湯 入浴料:¥600



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