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ポルノグラフィティの #推し短歌 を詠む


 「お前の推しは何だ?!」と背中に拳銃を突きつけられて問われたら、両手を高く挙げながら「ポルノグラフィティです!!」と叫ぶような、そういう人生をもう24年ほど送っている。塾帰りの深夜にぼんやり眺めたバラエティ番組のエンディングで彼らのデビュー曲『アポロ』を聴いたときから、ずっとポルノグラフィティの音楽が好きだ。

 ずっと同じ熱量で好きだったか(推していたか)と問われれば、胸を張ってイエスとは言えない。高校生の頃は別のアーティストが好きだったし、ヒットチャートのど真ん中にいる彼らのことを斜に構えた目で見ることもあった。就職や結婚、出産といった人生の激変期のさなかでは、音楽を聴くことすらままならなかった。

 それでも、ポルノグラフィティは変わらず活動を続けていた。その凄さに気がついたのは5年ほど前のことだ。やっとひとりで静かに歌詞カードをなぞりながら、覚えるまで新譜を聴く余裕ができるようになって初めて、今のポルノグラフィティだってあのころの勢いに負けてないことに気がついた。

 コンスタントに新曲をリリースし、ツアーで全国を巡り、でかめのハコでライヴをやる。レギュラーのラジオ番組は今も続いていて、パフォーマンスも衰えないどころか、むしろ年々磨かれている。自分が好きだったころのままのポルノグラフィティが今も存在し続けることが嬉しかったし、そうあり続けようとしてくれる姿勢は、あまりにも尊い。

 わたしがポルノグラフィティに再会するまで、変わらずにいてくれてありがとう。たいせつにしていたあのころの曲たちを、今も変わらず歌い続けてくれてありがとう。積み重ねた24年間のその先は、わたしもいっしょにいさせてほしい。いつまでも史上最高を更新し続けるポルノグラフィティが、最初に好きになった頃よりずっとずっと好きだ。

まっすぐに紡いだことの美しく重ねた日々がいまを照らして

晴れやかな今日を祝ぐことばたち愛があふれてとまらないんだ

あざやかにきみが奏でるメロディは世界をきらめかせるフィルター

歓声できみの背中を押せたならこんなに嬉しいことってないよ

ちはやぶるきみを神だと崇めたら困ったように笑うだろうか

呼ぶ声を振り上げる手を手拍子を愛だと言ってくれてありがとう

果たされた約束の先に新しい約束があることのしあわせ

いつまでもほのかな熱に浮かされてきみを愛したことを誇るよ


 ポルノグラフィティが好きすぎて、ポルノグラフィティの曲をモチーフにした短歌 #ポルノ短歌 を事あるごとに詠んでいるので、それも併記しておきます。

1.サウダージ

かさついた指でなぞった手紙には褪せないままの感情がある
さらさらとこぼれ落ちゆく砂の粒 美しかった 美しかった
閉じ込めてしまえば永遠 あなたにも見えたでしょうかはてしない海
寂しさは青 いつだって目に映るすべてのものに宿る色彩
痛みさえ花として咲くみちしるべこれはわたしの恋だったから

2.アゲハ蝶

美しい羽を震わせ去っていくあなたを追って迷い込む夢
花びらを剥いたらあらわ恋だって気づいた途端熱く痛んで
あなた以外塗り潰してもあなただけ歪んで見える世界の青さ
奪われた心は返さなくていい晴れない空でまじりあいたい
夏 愛がとけて流れてその羽を潤す水になるよう願った

3.メビウス

この部屋の朝の終わりに怯えてるあなたが世界になった夜から
星だったあなたに触れるしあわせは青いひかりに溶けて流れる
くちびるに知らない名前の花が咲くいずれあなたに摘まれるはずの
美しいことばしか知らないからだ冷たい息に喉が詰まって
永遠を描いた赤い約束を解いて垂らす闇の底まで
何度でも呼吸は止まる落ちてくるあなたの涙が頬に沁むたび
あたたかいかけらを拾うこなごなになったのは何だったんだろう
この恋はあなたに殺してほしいからやさしい両手でとどめをさして

 『サウダージ』や『アゲハ蝶』は誰もが知ってるポルノグラフィティの楽曲で、名曲であることも周知の事実であろうが、最新のポルノグラフィティの楽曲の中ではこの『メビウス』が個人的に大好き。もう一度ライヴで聴きたい。

 デビュー25年目の今でも唐突に「えっっ歌うっっま!!!!」「えっっ歌詞めっちゃ良!!!!」って思うので、あのころポルノグラフィティが好きだった、って人にも今現在のポルノグラフィティの良さを伝えていきたい。最新曲『アビが鳴く』も最高ですよ。









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