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#一日一短歌 2023年1月分

 厄年のスタート!しんどいことばっかりあったひと月だった。厄年のせいにしたくないけど、厄年のせいにしないとやってられなかったな。


1/7 素揚げしたエビの頭はあの夏の水族館の味がしたんだ
 2023年初短歌がおそらくこれ。水族館味すぎてびっくりした。

1/7 おもむろに切り開かれて三枚に下ろされつくしたアジの面持ち
 地元に帰るといろんな魚に出会うから、つい魚を詠んじゃう。

1/7 おかあさん 泣かないでおかあさん まだ子どものわたしが泣いているから
 実家に帰ると何らかのきっかけで母が号泣してしまうんだが、母に泣かれると子どものわたしは泣けなくなるんだよね。泣きじゃくる母を宥めるわたしは子どもでいられなくなってしまうの、けっこうしんどいときあるんよな。

1/7 健気だね冬休みじゅう無視してたいつものアラーム6:20
 しかもスヌーズっていうね。

1/7 新しい靴のヒールの高さだけ大人になった娘の背中
 初めてヒールのある靴を自分で選んだ娘。後ろ姿はすっかりJSのそれ。

1/8 輝いてくれればよかったいつまでも あの日が夢であればよかった
 現実にしたくない一日があったことを、地元に帰るといつも思い出してしまう。

1/8 かなしさで上書きした罪きみのこと一生忘れないという罰
 ふとした瞬間に思い出して苦しくなる。

1/9 きみだってわたしじゃないとだめだって泣いた夜だってあったでしょうよ
 なかったんだろうな~きっと。

1/10 きみの走馬灯になりたい たくさんの光の粒のひとつになって
 きみが命を終えるときに思い浮かぶもののひとつでありたい。

1/11 まだ同じ点で繋がるぼくたちはこんな遥かな時を飛び越え
 いにしえの昔に文通していた同い年の子とツイッターで再会して本当にびっくりした日だった。相手が先に気づいてくれたんだけど、その理由が「あのころと書く字が変わってなかった」からだって聞いて、そんな気づかれ方ってある?!って思った。気づいてくれてありがとう!これからもよろしく!!

1/12 人間を辞めそうになった朝でさえ定刻通り電車は動く
 この日が仕事始めだった。世界はいつも通りに動いてた。

1/12 細胞の奥まできみに満たされて沈められてるこころに錘
 好きなものがあると、こころがずうんと重くなるときってあるじゃんか。

1/17 この恋もここまでだった 車窓から終着駅が見えている 春
 近鉄上本町とか大阪梅田みたいに、どんづまりがある駅のホームが好き。

1/17 ひとつしかないものばかりほしがって街にあふれるあまたのひかり
 たくさんあるものはそんなにいらない、というのはわがままだよねえ。

1/17 指先に愛を宿して流れゆくことばにひとつハートを飛ばす
 SNSで「いいね!」するのって、わたしにとっては相当重い愛です。

1/17 好きだってだけじゃどうにもならないと知るのがこわい 月曜の夜
 月曜の夜はメンタルむちゃくちゃになりがち

1/18 マニキュアがよれるくらいの焦燥を抱いたままで夜は更けゆく
 人生で初めて手の爪を伸ばせているので、よなよなマニキュアを塗るのが楽しい。うっかりよれたりするけど。

1/19 雪が降る音を知ってるきみだけがわたしの世界の光源になる
 瀬戸内の民なので、雪が降る音は物語の中でしか知らない。わたしの周りの人たちもそう。

1/19 ほらきみもいっしょにおちて ひとりではさみしい海の底に楽園
 浮かび上がるときもあるけど、やっぱりわたしの恋は沈みがちなのであった。

1/20 蛇口からこぼれる滴 許したくないことが多すぎる人生
 多すぎるんよお

1/23 ふくらんだ心をぎゅっと潰してよこの先何も変わらないなら
 自分では息の根を止められんのよな。

1/23 きっかけは些細な仕草まだきみに愛されたがる胸が震える
 やっぱりいつまで経っても愛されたいわけ。

1/23 吐息すら澱む地下から這い出ても曇天に押し潰されるだけ
 冬の地下鉄が地上に出た時の空、本当に暗い。

1/24 明日には見えない星を浴びたくて夜の真下で腕を広げる
 ポルノグラフィティの暁ツアー最終公演が生中継配信される日だったので、またも星の歌を詠んだのであった。

1/25 約束を繋いで果たす 繰り返し重ねる日々が永遠になる
 ポルノグラフィティが「また会おう」って言ってくれるだけで、頑張って生きようと思えるよ。

1/27 わたしから渡せる愛はほんの少しだけど確かにきみに届いて
   きみのゆく道を静かに指し示す星のひとつであり続けたい

 そんな最終公演で大好きな『プリズム』をやってくれて痺れた。好きでいることを愛だと思ってくれて嬉しい、両想いみたいじゃないか。

1/31 わたしなど殺す速度で暗闇をゆく地下鉄と今日も目が合う
 冷静に考えて、あの速さで通過する電車と生身で向かい合ってるのやばすぎるな。

1/31 いくつもの橋を渡って会いに行くきみにこのまま身を尽くしたい
 「みおつくし」と「身を尽くし」の掛詞好きなんよな。大阪市の市章が澪標なのも好き。

1/31 てんろくと呼べばわたしも大阪の女になれたような面持ち
 駅名、やたら略されがちな大阪。かわいい。

1/31 空を飛ぶための高架を見上げては夢見る阪急北千里ゆき
 頑張れ淡路駅、高架の線路になる日まで!




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