見出し画像

人財マネジメント

事業承継して1カ月を過ぎた頃、ベテランスタッフからの不満が出てきた。「社長の言ってる事がころころ変わる」「給与が低過ぎてやってられない」「先が見えない」など。私と面と向かって話している時は笑顔で「一緒に頑張りましょう!」というスタンスなのに、陰ではずっと不満を言い続けていた。そこで組織の流れや体制を一新するため、メンバーを入れ替えることにした。

まず手をつけたのが、陰口の親玉であるスタッフSさん(仮)に契約終了を伝える事だった。Sさんにしてみると10年以上勤めたのに、自分の子供ほどに歳の離れた新社長から「契約終了」を伝えられたら腹が立っただろう。伝える方も辛い。しかし手金で買収した会社が延命するためにできる事は何でもやると決めた。時には冷徹な鬼にもなる。大企業サラリーマン時代は「エンゲージメント」や「360度評価」などをやっていた。小企業にそんな時間的余裕、金銭的余裕はない。親玉をマネジメントしているうちにキャッシュが尽きる。

次にパートスタッフのリーダーEさん(仮)。Eさんはいつも笑顔でみんなからの信頼を集めていたが、Sさんと一緒になるとグチが激しくなる。そこで今後一緒に働くかどうかの決断はEさん自身に委ねることにした。
1週間後Eさんの答えは「12/23で区切りをつけたい」だった。残念ではあるが想定内。
新しいスタッフが3名入ってきた。リーダーでもあるEさんは今までと同じように丁寧に仕事を教え、今までと同じように笑顔で働いていた。ふとサラリーマン時代の自分自身を思い出した。担当が変わる時、これ程丁寧に接していただろうか?自分自身のことで頭がいっぱいではなかったか?

Eさんの最終出勤日、個室にEさんを招いて話をした。「Eさんが退職の意思を話した後、働きぶりをずっと見てきました。リーダーシップ、笑顔、うちに必要な人財だと改めて思いました。是非今後も一緒に働いていただけませんか?」Eさんは「非常に嬉しいが、少し考えさせてください」と結論は年明けとなった。

一年前自分の事しか考えてなかったプレーヤーサラリーマンが組織マネジメントっぽいことを必死でやっている。人生分からない。

12/23宍粟(しそう)に今シーズン初の積雪。
12/24雨は夜更け過ぎに雪へと変わった。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?