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さよならくちびる

成田凌が演じる「シマ」が門脇麦の主人公「ハル」に、自らの苦しい胸の内を晒し、半ば強引にキスをするシーンが印象的。

バンド(デュオ)の存続の為に、三人各々が自分を押し殺す。本来、自分たちを表現するべき場所であるはずなのに。矛盾が、それぞれの感情と複雑に絡み合って、観ている側の胸を締め付ける。誰しもが青春時代に、経験した(する)痛み。例えバンドという形ではなくても。

「自分にはあんな、こんな可能性があったはずなのに」と、そうやってもがいていた痛みすら、もうとっくに忘れていた。本気で何かになろうとしていた。

大学を卒業して、当たり前に就職して、日々目の前の仕事をこなすだけで精一杯で、自分が「何かになれる」なんてことを考えすらしなくなった。

「大人」になった今、すべてをかなぐり捨ててでもあの時思い描いた「何か」になろうとは思わないけど、自分にはそういう時があったのだ、ということは大切にしよう、そういう事を思い出させてくれた映画です。

#映画

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#小松菜奈

#門脇麦


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