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満足王に、俺はなる!

「なんでお前みたいなバカの目の前に食いもんがいっぱいあって、玉の腹に何も入らねぇんだ!?」

武力にモノを言わせる百獣海賊団は、ワノ国の民を蹂躙して食糧を奪っていった。

飢饉に喘ぐ民にとって何より貴重な食糧を、あろうことか粗末に扱っていた百獣海賊団。これを目の当たりにしたルフィが、作戦もおかまいなしにブチギレたという熱いひとコマ。

このあとザコキャラに対して明らかにオーバーキルな一撃をルフィは食らわせた。

その日口にする食糧にも困るワノ国の民と、持て余した食糧を弄ぶ百獣海賊団の対比は鮮烈となり、そこにぶつけられたルフィの強烈な怒りにカタルシスを得た。

さて、日本の食品ロスは年間600万トンらしい。
ちょっと意味のわからない数字だ。想像が及ばない。
6キロの物が頭上に落ちてくればワンチャンあるやもだが、600万トンの物であったら即死は免れないだろう。
それほど巨大な塊を私たちは捨てているのだ。

食糧に関して言えば、日本の自給率の低さもよく取り沙汰にされる。
なんせ諸外国に比べて圧倒的に低い。
オーストラリアとカナダは200%超え、アメリカが100%超えている中で、日本は40%に満たない。
国民の胃袋のためには仕方がないので、金にモノをいわせて大量に食糧を輸入して、大量に廃棄しているというわけだ。

さてさて、世界で飢えている人の数、いわゆる飢餓人口は8億人ほどいるらしい。
主にアフリカやアジアなど、低所得国に多いようだ。食糧不足により低体重の子供もいる。
私たちよりずっと小さい子供が、その日口にする食糧にも困っているのだという。

…あれ?
なんだかこれって

百獣海賊団とワノ国の関係性に似てやしないか?

だって飢えに苦しんでいる人達をよそに、食糧を無駄にして捨ててるんでしょ。
もう立派な百獣海賊団だよ。

とするとルフィの熱と行動に感動していた自分は、もしかしてルフィなんかではなく、百獣海賊団のザコキャラの1人でしかないのか…。

その日から私は猛省し、食糧を無駄にする一切の行動を慎んだ。

職場の賄いを断った。家で作ったおにぎりを持っていくことで、個人的な食品ロスをゼロに近づけたのだ。
あらゆる宴会を断った。家で家族と食べられる分だけ作り、それを食べた。そばのつゆも捨てず、次の食事のスープに作り替えることで食品ロスを無くした。

カイドウ様を裏切ることはできないし、幹部に逆らう力もないが、個人でできることは徹底的にやる。

そうすればいつか頭上に落ちてくるルフィの拳は武装色を纏った即死級のパンチではなく、ゴムゴムのピストルくらいでワンチャンあるかもしれない。

やがて沈みゆく船のクルーだとしても、それができていれば私は満足だ。


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