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【感想】はじめるセカイの理想論 −goodbye world index−

ブランド : Whirlpool   発売日 : 2024-02-22
原画 : 水鏡まみず / みるくぱんだ(SD原画)
シナリオ : 近江谷宥

⚠️ここからネタバレあり⚠️






◾️ネタバレ感想

テーマ性からくるシナリオの秀逸さ。
ヒロインの可愛さも抜群です。

★はじめに

Whirlpoolのフルプラ作品は『アンレス・テルミナリア』以来なので2年ぶりです。
発売が予告された時はピピンとアンテナ受信こそしたけれど、発売日購入はスルー。一旦は様子見を決め込んでました。
同日発売タイトル多かったですからね。

でも発売日以降にXのタイムラインが『はじ論』か、同日発売の『かけはな』の感想ポストで埋まると急に気になっちゃいまして。
だって、みんなめちゃくちゃ楽しそうだし。

いいなー、羨ましいなーと。

フォロワーのみなさまにめっちゃ影響された結果、発売日から5日後にはパッケージ版を手にしてました!

さて、この感想はクリア直後の感情を乗っけてお送りします。
それではどうぞお付き合いください。



★『はじ論』をプレイした印象

結論を言えば、シナリオ特化キャラゲーの優等生でした。キャラゲーをメイン舞台としつつも、芯の通ったテーマ性から生まれるシリアスがバランス良く融合した良作って印象です。

シナリオが良いって評判を聞いてはじめに予想したのは、恋愛描写やヒロインの可愛さを引き立てるシナリオの良さでした。
でも、実際に感じたシナリオの良さは、テーマを完遂するロジックが見事だったと言うものでした。
これは予想していなかった驚きでしたが、近江谷宥さんシナリオと思い直せば納得も。
これ、伝わりますかね?

物語も近江谷宥さんの過去作に比べて幾分は理解し易く、セカイ系の独特な世界観への導入もスムーズ。
共通ルートでセカイや能力、神ちゃんの存在など、舞台設定を“ある程度”は理解できる設計なのはありがたい配慮です。
この“ある程度”というのが案外キモでした。
シナリオが良いという評判通り、ヒロイン個別ルートで展開された”理想のセカイ”の答えと、物語の締め方が良質でシナリオ完成度の高さが伺えます。

主人公に与えられた『ダウト』の能力がなかなか良い仕事してますよね。
嘘は見抜くけど嘘に至る内面は分からないという不完全な味付けが何とも絶妙。
ヒロインとの仲が深まるにつれて嘘の中身が明らかになる描写は、内面の深掘りに直結していたので物語の質を底上げしてくれました。
これは設定が上手くハマっていたと言えるでしょう。

設定に関し先程”ある程度”の理解と申し上げましたが、これが生きるのが世界観について。
敢えて輪郭をぼかすような曖昧さが、ハルカの言う都合の良い作り物の不完全さを表していたと思います。
不完全だからこそ、理想は明瞭でなくても輝きを放つような。

ヒロインそれぞれに割り当てられたテーマの理論展開は若干の理屈っぽさを感じますが、どのルートもコンパクトにまとまり締め方も綺麗。
特にティアルートとハルカルートは、提示されたテーマに対して答えに至るロジックが上質なシナリオゲーの雰囲気すらあり、かなり読み応えを感じる見事なものでした。

キャラゲーの側面に注目すれば、属性別に萌え要素をしっかり押さえたヒロインたちの可愛さこそ最大の魅力でした。それは当然の話で、むしろそれを期待しています。
ただシナリオ面の質の高さを感じる反面、恋愛描写の一部に不満も。
具体的には主人公とヒロインが恋に堕ちる過程が駆け足気味で若干弱め。
付き合うまでのドキドキだったり、意識し合うもどかしさの描写をもっと見たかったなーと。
これは個人的なワガママで、恋仲に発展する過程が大好物だからこその不満ですね。

付き合ってからのイチャイチャ具合や、ヒロイン同士の掛け合いは良質キャラゲーらしく、可愛さに悶えましたので、イチャイチャ成分を美味しくいただく事ができました。
やっぱり“ヒロインの可愛い”を見たいんですよ。
特にえっちシーンはイチャイチャ全開なのが良いです。これは原画の力もありましたね。

テーマ性良し。シナリオ良し。可愛い良し。
そして、えっち良し。

人気タイトルに備わる条件はほぼ網羅されてますので高評価とされるのも納得。ご馳走様でした。



★ビジュアル面は隙なし

可愛い。とにかく可愛い。本当に可愛い。
もっと言えば顔と胸が良い!

超キュートなヒロインの絵柄と情欲を掻き立てる肉感ボディ。そして、アイデンティティのように強烈な存在感を放つぷっくり乳首は夢を詰め込んだファンタジー。
このムチムチ具合はエロゲの素晴らしさが詰まっていました。

うん。てか、めっちゃえっちじゃん(真顔)

何を言っているんだと思いつつも素直な感想です。これ嫌いな人いる?
原画を担当された水鏡まみずさんは偉大でした。

良かった点を挙げればキリがないので、何が1番良かったかに絞らせてもらえば、ズバリ立ち絵ですよ。マジで素晴らしい。

お胸がね、ボンってね。すんごい。

ビッグなお胸を持つ罪深きお姿がヤバいです。
立ち絵差分でバリエも楽しめる。
いよいよオマエは何言ってるんだとなってきましたが、一旦気にせずもうちょっと踏み込む話を。

エロゲ界に生まれたヒロインにとって、たわわなお胸は人気を左右する要素。
数多ある作品に寄り添う素晴らしい女神達に備わった夢の詰まった膨らみ‥‥すなわち巨乳。
その中でもトップクラスに均衡の取れた素晴らしい巨乳が本作のヒロイン達なのです。

具体的に言えばお胸とウエストのバランスが良い。フェルマーの最終定理すら霞むほどの美しい定理。
これを満喫できるのが立ち絵なのです。
ハルカさんの腕組み立ち絵と、ティアの右手を胸に添える立ち絵は既に芸術の域かと。
(全て個人的な感想です)

うむ。すんばらしい‥‥。

えーと、もうちょい続けます。
個人的な感覚で語れば、水鏡まみずさんのヒロイン立ち絵は超可愛い顔面に、身体は全体的に丸みがあってぷにっとしてて、マシュマロが如く柔らかそうな質感が良いところ。

ヘル子とヨルが分かり易くこのパターン。
ティアとハルカはちょっとだけムチムチ要素マシ。
ただ本作で1番好きなのはヒナギクの立ち絵。

ヒナギクはスレンダー(あくまでエロゲヒロインとして)で等身も若干高めなので、スタイルの良さが際立っているんですよ。ウエストも細い。
何も喋らなければ絶世の美女の貫禄とでも言えるんじゃないかと。
ヒロインを並べればヒナギクのスタイルの良さがよく分かりますので、ぜひご確認をお願いします!

誤解がないようにお伝えしますと、コンパクトお胸ヒロインも人気要素であると理解してますので。夢の形がどんなシルエットであっても素晴らしい。
たまにはこういう感想もね。エロゲだし。
気持ち悪くてすいませんでした!



★ヒロインたちについて

良いです。とっても。
ビジュアルがズバ抜けて良いってのもありますが、ヒロインたちの声がたまらなく素晴らしい。
声優の方々も今を代表するオールスター感もあって抜群の安定感と満足感。
ちょっと凄すぎましたね。
これはチートなので一旦置いといて。

プレイ開始でビビビッて直ぐ好きになるというよりも、ヒロインたちと言葉を交わして、内面に秘めた想いを感じて、理想を共有してじわじわ好きになっていく感覚。
ゆっくり心を満たしてくれる暖かさ、愛しさがありました。

これって一般的なキャラゲーの感覚というより、シナリオゲーで感じるような感覚だったので、本作をキャラゲーとして捉えるならば稀有な作品に思えます。
そもそもキャラゲーとシナリオゲーってカテゴライズすること自体が詮無い事かもしれませんね。
ここからはヒロインたちを簡潔に。


【ヘルミリア】

ちょっと可愛すぎます魔王様‥‥。
もちゃもちゃしてるヘル子を見てると、心が浄化されるような、満たされるような。
魔王の中の魔王改め、乙女の中の乙女。
これです。
彼女がもつ「あたたかさ」は物語の全てにおいて感じることができました。良い子すぎる。


【最上ヒナギク】

ん?ござる系ヘルシー女子?
「私だ!」の圧が強くて可愛い。
やはり英雄は自己主張もセルフプロデュース。
凛とした姿、健康的な美しさがヘルシー女子感満載で時代のトレンドです(適当)
ヒナギク√が示した理想論はよく考えるとかなり深くて共感できる事が多かったです。


【綾月ハルカ】

あぁ、クーデレって良いよね‥‥。
聡明な側面と幸福を謳歌する姿。良き。
淡々とした言葉の中でたまに見せる感情の揺れが愛おしくてたまらなかったです。
やっぱりギャップ萌えですね。
彼女からはたくさんの名言をもらえましたね。


【ティア】

秋野花さんの囁きボイスは反則。
これは最強のマリアージュです。
ティアにドンピシャな秋野花さんのお声。
耳が飛ぶかと‥‥。
ドスケベシスターってパワーワード過ぎw
でも、愛の渇望者として彷徨い続けたティアの無垢さは美しかった。


【ヨル】

たまにいるんですよねー、序盤で「可愛い」のフラグを立てておいて終盤までおあずけしてくる系ヒロイン。
ついに解放されると、これでもかと凄まじい勢いで押し寄せる「可愛い」の洪水。
やめてよホント、悶えるから。


【ノゾミ】

ルートはおまけ程度でしたが良いキャラしてましたよね。
眼鏡キャラは不人気の傾向で絶滅危惧種らしいですが、十分なポテンシャルありました。
シンに抱かれる理由の葛藤は名シーンでした。



★「理想のセカイ」と「嘘」について

テーマとした「理想のセカイ」は、各ヒロイン個別ルートにそれぞれの答えを提示してくれました。
本作でシナリオが良いと言う評価は、”理想のセカイに至る過程と帰結”が素晴らしいで間違いないと思います。

世界の滅亡を阻止するまでを共通ルートとするプロットは巧みで、ようやくここがスタート地点。
改めて理想のセカイの構築こそ、この作品の主題であると理解しました。なるほどなと。

ここからキーとなるのが主人公の「嘘を見破る」というダウトの能力でした。
共通ルートより更に踏み込んだ「嘘」の扱い方は、物語の展開においてとても重要かつ繊細。

嘘を穢れた行為のように思ってしまうシンは、過去を振り返ると仕方が無いですが、嘘の中身が全て穢れではないよって、どうしても教えてあげたくて悶々とした思いを抱えて読み進めていました。

だって優しい嘘もあるじゃないですか。
歌のタイトルでもあるでしょ?(違う作品です)
そして嘘を付いた本人ですら理解できない嘘もある。
嘘って時に心の均衡を保つものでもあり、思い遣り由縁のものだってあって、もちろん悪意に満ちたものだってあるんですよ。
一概に穢れとは言えない確かな理由だってあるんです。
“嘘が無い世界”と”清らかなセカイ”はイコールでは無いはず。
そもそも清らかなセカイってものも理想のセカイとしては疑わしいので、まぁこれは余談でしたね。



★「理想のセカイ」ヘルミリア・ヒナギク

ヘルミリアルートとヒナギクルートはかなり理解しやすい物語だったこともあり、感情面に訴えかけてくるものがありました。分かりやすく感動できる。


【ヘルミリアルート】

ヘルミリアが「理想のセカイ」としたのは、元の世界でシンと共に生きる事。
転生した世界からの脱却という特殊なパターンですが、これがなかなかに良い。
過去の自分と向き合う事で現実を受け入れる成長物語でもあったように思います。
もしシンと結ばれるヒロインを一人選べというならばヘル子でしょうね。
物語を読み終えればセンターヒロインなのも納得できました。


【ヒナギクルート】

ヒナギクが「理想のセカイ」としたのは、人々が平和で健やかな日々を送る世界の英雄であること。
平和な世界と英雄の存在意義の葛藤、それに忠義への贖罪を絡めた物語はかなり深い平和論にまで落とし込むことが出来そうですが、コンパクトに収めるためにほどほどまでに。
平和を理解できないヒナギクの矛盾が丁度良い塩梅です。
ただ、他ルートに比べると答えが簡単だったようにも思えます。


★「理想のセカイ」ハルカ・ティア

さて、問題はこの二人。
正直言って驚きました。完成度がめちゃんこ高い。
これはどちらも共通して「理想のセカイ」の答えが素晴らしかったからでしょう。コンパクトながら高密度の物語でした。
シナリオゲーのメインストーリーに据えてもおかしくない物語だったと思います。

【ハルカルート】

ハルカの場合は「理想のセカイ」を探求した結果にセカイの殻を破り、勇気をもって新たな世界へ踏み出すというもの。
こういうの単純にめちゃくちゃ好きです。

感情すら病とする世界の歪さを見せるシリアスと、ペンギンになったり、パンダにモフモフしたりのキャラゲーの旨味による緩急が良かったです。
能力のチートさもやり過ぎ感が無く、あくまで物語を進める装置として機能しています。

最大評価はラストの締め方。もう最高。
セカイから二人で逃げ出し宇宙に旅立つシーンが素晴らしすぎました。
ハルカの台詞から伝わるんですよ。今まさに新たな世界へ踏み出そうとしている心境が言葉の隅から隅まで満たされているような。

出逢った仲間たち、自分を受け入れてくれた世界に感謝した後に「愛してまーーーーーーーす!」って。泣くわ…。

辿り着いた星の子供たちとの描写含め、最高に爽やかなラストでした。
ホントに好き。



【ティアルート】

ティアルートについては際限無く語ることが出来そうなので可能な限りコンパクトに。
結論言えばティアルートがヒロイン個別で一番刺さったルートでした。

愛って何?って話です。

これって扱い方次第で、かなり薄いものになる可能性を孕んだ難題であると思いますけど、ティアルートは見事な出来栄えでした。
ダウトの能力とシナリオが抜群にフィットしたルートであったと思います。

「氷の女王」「首切りの姫」という設定から既に上手い。

みんなが知っている愛を与えられなかった。自分は知らない。知りたい。

ダウトの能力から嘘に塗れた唯一の真実とする事で、ティアの願いは際立っていたと感じます。

永遠の献身という簒奪の能力を手に入れてまで愛を渇望しながら、愛を知らないがゆえに人間として当たり前の感動や悲しみが分らないなんて、考えれば考えるほど深い。
そして同時に寂しくもあります。

性的行為に愛の答えを求める短絡さも愛を知らないから。与えられなかったから、知るための方法さえティアには分からないんですよね。
シンにとっても、自分が愛する人の置かれた現状を思えば哀しくもなりますよ。泣いて当然。

終盤では愛を知らないからこその疎外感に苦悩するティア。
どれだけ恥をかなぐり捨てて快楽に溺れ、自分を納得させても消えない感情。
みんなとの壁はティアの心を追い詰め、苦しみは疎ましいという感情となる皮肉。

愛の存在をスルーして、自分が強くあることで新たなセカイを統治する発想に至るのに、心の内ではやっぱり愛を渇望しているんですよ。
これは切ないしやりきれない。
ティアとヨルの暴走の後、倒れたティアに寄り添うシンとの会話がね、もうね、真理すぎて。

「そう、私のこれ……あなたへの想いも愛でいいのね」

愛なんてこじつけで、都合よく使われる歪んだものも含めて愛である。
そして世界が終わる‥‥。

……呆然となりました。
でも美しいですよね。魂の叫びですよ。

愛を渇望し、愛を知りたい想いに翻弄され、ようやく愛を知り、そして愛に散る。

新たな世界の二人はどうか慈愛に満ちていて欲しい。愛によって幸せになって欲しい。
歪さが残る素晴らしい帰結でした。



★「理想のセカイ」グランドルート

ティアルートが最大のピークだと思っていたのに、まさかシンの物語に泣かされるとは…。
えぇ、泣きました。泣きましたとも。
このルートはズルいですね。
全てのヒロインの想いや苦しみを知っているからこそ、心に突き刺さるグランドエンドでした。

セカイの神となったシンは超展開ですが、全ては「理想のセカイ」を願った強い想い。やり方を間違え、自分自身に嘘を付いてまで成し遂げたいセカイはかつて仲間であった4人の想いを託されたから。

『はじめるセカイの理想論 −goodbye world index−』というタイトルどおり、これまでの個別を含めた物語の集大成で、全ての想いが託され報われる理想の世界の答え。
なんて眩しいんだろうと深夜に涙しておりました。

ダウトではなくハッピーメーカー。
「嘘」を暴くではなく「幸せ」を創る。

心優しいシンにピッタリの素敵な能力です。
綺麗にオチがついた見事な着地でした。
最高のエピローグをありがとうございます。


■最後にまとめ

プレイ時間は約20時間ほど。
想像以上のシナリオ完成度の高さに舌を巻く結果となるプレイ体験となりました。
こういうとんでもない作品に出会うと心に栄養が行きわたるようで、また新たな出会いに思いを馳せる事になるんですよね。
良い作品との出会いは良い作品への出会いを生む。
そんなことを思いながら感想を締めさせていただきます。

素晴らしい作品を届けてくれたWhirlpoolの皆様、作品に関わられた全ての方に感謝を。
また、プレイきっかけをくれたXフォロワーの皆さんに感謝を。
そして、この感想にお付き合いくださったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。


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