記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

【感想】死に逝く君、館に芽吹く憎悪

ブランド : バグシステム
発売日 : 2016-07-29
原画 : るび様      シナリオ : 和泉万夜

⚠️ここからネタバレあり⚠️






◾️ネタバレ感想

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

血と涙と断末魔、そして憎悪。
プレイに必要なのは健常な精神と勇気。

★はじめに

ずっと気になってたヤバいやつ、通称『にくにく』をようやくプレイすることが出来ました。
タイトル名よりも、キャッチーな略称で覚えがちですよね。

本作に期待したのは徹底した絶望感。
ただ問題は陵辱耐性はあってもリョナ作品は初体験という事でしょうか。
しかもシナリオは『フラテルニテ』の和泉万夜さんですし、正直言ってビビってました。
公式HPを見れば絶対にヤバい作品と分かってはいても、人間の好奇心というのは厄介なもので。
怖いもの見たさと絶望感への期待が恐怖心を圧勝してしまい、結果として無事にノックアウトされてきました。

いやー、これはヤバいわ。

いわゆる陵辱•リョナ系の超過激描写を見どころとした作品でしたが、ストーリーへの没入感に光るものがあり、しんどい思いをしながらも結構楽しめました。

今回の感想は、リョナ初心者が超過激描写に苦しみながらも、期待していた通りの絶望を味わえた歓喜を乗っけてお送りします。
どうぞお付き合いください。


★容赦ないグロ表現

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

まず陵辱系作品に対して自分の評価基準を述べれば、いかにヒロインが酷い目に遭うか、絶望に堕ちるかに注目しています。
やるなら徹底的に。
中途半端なぬるい展開は求めていません。
この点に関して本作は期待通りの絶望を届けてくれました。

初回グロシーン感想としてはここまでやるの?ってグロさに心の準備ができておらず、画面を眺めながら何度も天を仰ぎました。

上位種族の館で繰り広げられる超過激凌辱。
表現ギリギリまで追求した残虐な行為の数々。
血と涙と絶叫にまみれた生活が、今、幕を開ける……。

これは公式HPのPIC UPにある文言。
こんな煽り文句に惹かれたのがプレイのきっかけでしたので、実際プレイすればまさにその通りの展開と描写に歓喜しました。

ただ予想より刺激が強く、腰が引けてしまっていた感があったのも事実。
初回の処女喪失&お腹ナイフめった刺しで既に心折れるかと…。
容赦なく突き立てるナイフとヒロインの断末魔。
最後にはお腹を広げて中身を…。

おぉぅ…これはあかん。ちょっと無理かも…。

ヒロイン大絶叫ですが、こっちだって心の中で大絶叫ですよ。美亜役のあかしゆきさんの鬼気迫る絶叫は迫力満点。怖すぎる。

その後も容赦のない残虐描写により、美亜は目を背けたくなるほどの絶命を繰り返すことになりますが、期待と恐怖に震えながらもクリックぽちぽち。これはしっかり覚悟をして挑まないと返り討ちです。

上位種族という得体の知れない存在と、死して何度も生き返る設定。
物語序盤でその意味を理解した時、もう考えるのをやめました。

よし。もう、無になろう…。

はい。魂の逃避です。
感情移入は絶対ダメ。
グロシーンを見る際は天使の心で。

澄み渡る朝色よりも、さらに澄み渡る聖者の面持ちで臨み続けた結果、どうやらグロ耐性を獲得したのか、はたまた脳が麻痺したのか、気が付いたらメンタルもなんとか正常に戻りました。
というか慣れました。
尊厳を握り潰すスカシーンも残虐的なシーンと比べればイージーにも思えてたので平常心。

ん?あれ?やっぱメンタル正常じゃない?

まぁ、絶望感を期待している時点で狂ってるかもしれませんが、これも非現実な娯楽だからこそ。
そうとはいえ、美亜と永遠生が絶叫を上げる中で生きたまま食べられるシーンとか、四肢切断調理のシーンは脳にクるものがありましたので、カニバリズム表現は苦手ですね。

さて、「可哀想がエロい」や「可哀そうが可愛い」という作品は幾つか知っていますが、果たしてこの作品の可哀想は何だったのか。

エロなのか。可愛いなのか。
むしろ可哀想で済ませれるレベルなのか。

エロいけど、うーん。
可愛いのが近い?うーん。
これを考えても答えは出ませんので、自分はまだまだ修行が足りないようです。
ただ言えるのは、グロい、怖い、しんどいと思ってしまうからこそ、どんどん興味が湧いてしまう。
好奇心が勝るんですよ。次は何が起きるの?って。

人間の欲望や興味こそ真の意味で狂気で、憎悪すべき事象なのでしょうが、この作品をプレイしている時点で自分も同じ。
何かが狂っているのではと思いながらも、現実味が一切ないからこそ娯楽作品として成立して非現実を味わえる。
やっぱり尽きる事が無いんですよ、人間の怖いもの見たさや好奇心って。

この意味において、本作ほど突出した非現実はなかなか無いかもしれません。
過激描写を限界まで突き詰めた究極のホラー作品は、挑戦的な姿勢だったからこそ貴重で、存在価値があったのだと思います。
これを作ろうと意思決定したバグシステム様の勇気に拍手をしたいと思います。



★上位種族という存在

ストーリー冒頭で触れられている通り、平穏だった世界に突如として現れ、人間を徹底的に蹂躙し残虐の限りを尽くす上位種族達。
彼らが人間より優っているのは魔法のような特殊能力を持つという能力的なものと身体的な上位性。ただ、ここに疑問が生まれます。

ん?他に人間より勝ってる事って何?

世界を渡り捕食者なので本能は食欲と想定して、感受性や感情はかなり偏りを感じます。
性的興奮も無い為、繁殖はメカニズム的。
コミュニティ形成による意思疎通も滅多に無し。
さらには娯楽性を追求した独善的思考。
これのいったい何が人間より優れてるのか。
精神の成熟は下位にも程があるようにも思えます。

ただ、上位種族の男や女はかなりカオス的な存在として君臨していたので、ヒロインたちの悲壮感は凄まじく、理想的かつ面白い構図だとも思います。
陵辱作品は先にも述べた通り、ヒロインがどれだけ酷い目に遭うか、絶望に堕ちるかが重要なので、期待に応えてくれる陵辱者でした。



★物語の印象や感じた事諸々

グロ描写の為の物語ではなく、物語の為のグロ描写という印象でしょうか。
しっかりした土台に支えられた一貫性ある物語で、没入感も高いように思います。
実際クリアした後は満足感があり、なかなかに楽しめました。

勝手な憶測ですが、こういったグロ描写を見どころとした作品を企画する際、おそらくグロありきで企画が進むような気がしますが、本作は決してストーリーが過激描写を見せる為だけの舞台装置ではない。
ちゃんとストーリーも良かったんですよ。
しっかり練られた物語構成で、謎フラグの仕掛けや伏線回収も分かりやすかったです。

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

まず、物語の導入が抜群に上手い。
簡潔に世界に起きた事実を語り、直ぐに美亜の逃避シーンから上位種族との邂逅、館での恐怖の生活へ。ここまで一気に無駄なく駆け抜けます。

それだけでなく、最初の見どころの”処女喪失&ナイフめった刺し”までもスピーディ。
このスピード感ある導入は世界観や設定、ヒロインの置かれた状況のほとんどを理解させることに成功していました。

上位種族の男をナイフで傷つけた罪は万死に値するという言葉通り、死して生き返り何度も非業の死を遂げ、生き返っても惨劇は続く絶望。
それと同時に少しずつ情報を開示して、プレイヤーに謎出しする構成もなかなかに秀逸。
どんどん物語に引き込まれていく感覚がありました。

物語の途中で過ぎ去っていった悲劇の登場人物である夏花や心々乃の保身的な行動や自分本位さは、人間の醜さが滲み出ていて良いですね。
この子らは多分すぐ死ぬんだろうなーと思いつつ、やっぱり過激に絶命する様は救いの無いクローズドな舞台で光るものでした。
特にグーパンでボッコボコにする件とか、この作品の残虐への徹底ぶりに感心するほど。

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

連続17発のグーパン。伝説が生まれた瞬間です。

本当に容赦がない。だから逆に清々しい。
上位種族の女の登場も含め、絶望感を煽るのには非常に効果的と言えます。

その後に登場する永遠生を含め、彼女たちの存在は館に芽吹く憎悪と圧倒的な恐怖を印象強くしていたので必要不可欠な要素でした。
そんな中で、みあと愛夢の存在は一時のオアシス。
そしてここからフラグの回収へと続きます。
それは次の項目にて。



★伏線回収はイージーモード

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

本作の魅力の一つにミステリーホラーが挙げられますが、謎の伏線や先の展開予想は注意深く読まなくとも簡単だったように思います。
多分プレイした大体の人がトリックに気付くはず。もしくは、もしかしたら…?となってたはず。
というのは、上位種族の男と家族となる時間を経て妊娠、腹部破裂にて絶命した後からの事。
突然現れたみあという少女の存在。

自分はプレイ中に気になることはスマホでほんの少しのメモを取ってますが、美亜を見た瞬間速攻で「みあは美亜の子供?」って入力してました。
だって登場のタイミング良すぎますよ。
まぁこの感想はクリアした方向けのネタバレ感想なので直ぐに分かる事ですが、いきなり正解しちゃってたんですよね。
これは愛夢の存在も同様。

愛夢に対しては、なんか読みにくい変わった名前だなぁという違和感からスタート。
たまたま名前に注目してしまったせいか、物語ラストに明かされる「MIA←逆読み→AIM」のトリックにすぐ気づいてしまって…。
可愛いからいいんですが、若干拍子抜け。

時間経過のトリックも、物語序盤で美亜はループ説を唱えますが、腐る男の姿を見ればこれが間違いであることは明らか。
後は答え合わせのような予定調和で物語が進行しますが、自分の仮説が証明されていくのは気持ちよかったので、これはこれで良かったかもですね。

ここからの注目はラストの締め方。これだけは予測出来ず、どんな締め方になるのか期待は膨らみます。
これに関しては次の項目で語らせていただきます。


★TRUE ENDと復讐END

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

いくつかエンディングがある中でも、やはりTRUE ENDが印象的でした。
上位種族の男と対峙する構図は父と母・娘という、本来であれば家族であるはずの関係性がなんとも皮肉です。

上位種族の男が娯楽の中で始めた家族概念が朽ち果てる瞬間、美亜が膝枕するスチルがまるで悲恋だったかのように錯覚してしまう気持ち悪さ。
結局美亜は、上位種族の男を愛した記憶を大切に想っていたんですよね。
それゆえの涙だったはず。
これは精神医学用語でいうところのストックホルム症候群。まさかのオチでした。

結果、愛夢が長年かけて積み上げた美亜の脱出計画が成功し、美亜と愛夢が揃って館を脱出するハッピーエンドなのですが、破壊されつくした世界で彼女たちが何を見て、何を想うのか。
もしかしたら新たな絶望の始まりかもしれません。
そう思うと、なんともビターなENDであったとも思えてしまいます。
本心で言えば徹底的な残虐ENDを求めていましたが、物語の展開がとても秀逸だったので、二人にはどうか幸せな未来を望みます。


さて、もう一つ印象的だった、いや、衝撃的だったのは脱出後に絶望を見た美亜が上位種族に復讐するという真の鬼畜ENDでした。
人間の憎悪が極限になると、残虐性がカンストして人間ドロップアウトするんだなと…。

泣き叫ぶ上位種族の女と、狂気と悦楽に沈む美亜。お腹にグーパン連打して、乳首と性器に針指して、金属バットでフルボッコして、熱した鉄の棒で性器を焼く。挙句にはスカプレイにもつれ込み、ラストはナイフでめった刺し。
もうめちゃくちゃやってましたね。

「うんちよっ、うんちっ!今からうんち食べるのよっ!!きったない下痢便たべるのよっ!!」

この逆転劇は今までの立場との逆転を対比させただけでなく、感情面は娯楽による愉悦と憎悪の対比でもあります。

今までに館に芽吹いていた憎悪がこのシーンによりタイトル回収され、『死に逝く君、館に芽吹く憎悪』が完遂されました。

めちゃくちゃ気分はBADですけど、これをTRUE ENDにした方がしっくりくるような気がしました。
(好きなのは本来のTRUE ENDですけどね)



■最後にまとめ

プレイを終えて振り返り思うのは、問題作過ぎたって事。
るび様の可愛い絵柄に、おどろおどろしい音楽の調和は恐ろしく不気味でしたし、慣れたとはいえやっぱり過激グロ描写もしんどい。
スカもしんどいし。ほんとに。

興味本位とはいえ、凌辱・リョナの世界は心を消耗するとよく理解できました。
ただ最後まで完走できたのはやはり物語の魅力でしょうね。
素直に面白かったです。
もう既にこれ以上の恐怖に興味すらあります。
”特種スキル・グロ耐性”の取得はまた新たな扉に手をかけるという事と同義。いやーダメですね。どんどん狂ってく。

本作をクリアしたので、近いうちに『真愛の百合は赤く染まる』もプレイして、最新作『死に逝く騎士 異世界に響く断末魔』に流れ込もうと思います。

(c)CLEARRAVE / BUG SYSTEM ALL RIGHTS RESERVED.

最後に謝辞を。
超問題作を世に放つ英断を下したバグシステムの皆様、作品制作に関わられたすべての方に感謝を。
また、この感想にお付き合いくださったあなたにも最大限の感謝を。
ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?