幻の第5ルート『日高横断道路への道』
むかわ町付近の田畑を朝霧が包み込む。実に幻想的な光景だ。
霞がかった大地から日高山脈に視線を移すと、尾根から茜色の朝日が顔を出し始めている。
私は思った。車を停めて今年購入したSONYのα6600でシャッターを切りたい...と。
しかし、ここは日高自動車。停車可能な場所もなく、そんな想いをグッと堪えこの一瞬の景色を眼裏に焼き付けることにした。
私はそのままFさんとの待ち合わせ場所である新冠の道の駅へと向かう。
6:40、新冠町のセブンイレブンでホットコーヒーを購入し、外の冷たく凛とした空気を吸いながら飲む。朝一のコーヒーは本当に旨い。
フッと何となく道の駅に目を向けるとFさんのジムニーがもうすでに停まっている。そしてそこを横切る青い一台の車...なんとTさんの車であった。
Fさんに声をかけ、Tさんの跡を追うようにセコマに入店。Tさんも探索にお誘いしたが本日は仕事のことだ。私たちは昼食を購入し、Fさんの車で一路西の沢林道を目指した。
本日の目的地はズバリ日高横断道路。そこへ幻の第5ルート(自分が勝手に名付けた)を歩くという常軌を逸したイカレタ行為をするのだ。
ここで第5ルートの解説を。
西の沢林道沿いにある春別発電所手前の橋を渡り対岸へ→西の沢下流林道を出発→イタホラキ線→東西連絡路→ネトナイ線→日高横断道路
という片道約8キロの行程だ。数年前にこのルートの存在を認識し、一度は行ってみたいと考えていた。しかし、ここは車の通行を前提に造られておらず、造材のため重機専用の作業道?そのため一般的な地図には今回のルートは載っておらず、道は超急登の一度でハンドルを切れないヘアピンカーブが連続しているという。
果たして幻の第5ルートはどこまで過酷な道なのだろうか?
西の沢下流林道
8:00 ゲート前に車を停めて出発!枯葉のカーペットが敷かれた林道を歩く。この林道は西の沢林道の対岸にあり、比較的アップダウンが少なくとても歩き易い。途中でハンターと思われる黒のランクルプラドと遭遇。鹿の気配が見事にないが、猟はいかがだったのだろうか?
イタホラキ線分岐
9:00 ここを左に入る。前日までの雨の影響で路盤が多少ぬかるんでいる。そして少しずつ急登が増えてきた。
東西連絡路(春別川側)
9:50 看板はないがここを左折すると地図に載っていない東西連絡路だ。
第5ルートの難所は東西連絡路であろう。スキー場の上級者コースみたいな急登、噴き出す汗...運動不足の者には堪える(^_^;)これまでバカ話に盛り上がっていた私たちだが次第に口数と笑みが減り、無表情でテクテク歩き続ける。
アホみたいなヘアピンカーブ。たぶんジムニーでも一回でハンドルを切れないと思われる。おまけに砂に近い細かい石の路面。雨が降ると車はスタッグして動けなくなりそうだ。
静内川と春別川の分水嶺
10:30 やっと尾根に到着。ここまでの感想をハッキリ言います。もう二度とこのルートは歩かないでしょう。既に吐きそう...。
画像上、春別川方面。画像下、静内ダム方面。1箇所からこの両方を眺めるのはもちろん初めてである。ちなみに尾根の標高は約550m。遥か彼方に見える静内ダム湖畔は約110m。ここから2.5㎞の作業道を一気に下るのだ。正気の沙汰じゃない!疲れ果てて青白い顔をしたFさんを問い詰める。
『誰だこんなアホな探索を誘ったバカは!?なまらどえらい作業道じゃないか!(スミマセン私のせいです...と心の中で平謝り)』
東西連絡路(静内川側)
作業道を歩いてて初めての経験をする。何と突如視界から作業道が消えるのだ!実際には消えていないのだが、下りの斜面が急すぎて道が見えない箇所が本当にある!
トドマツの人工林の中を縫うように設置された東西連絡路。直線距離にして約100mくらいの間に3本の作業道が。私は目を疑った。これは支線ではなく全て東西連絡路。つまり超急斜面なのでジグザグとした道しか付けれなかったのだ。有り得ん...私がいままで通行した林道、作業道の中で一番酷い(@_@)
下ってきた作業道を振り返ってみる。おっと、ついつい帰りのことを考えてしまってゲロってるイメージが脳裏に浮かんできたので、これは記憶の中から消去しよう...(ハァ、帰りがマジで憂鬱だよん)。
ネトナイ線
11:00 ネトナイ線に入ると急に路盤が綺麗になった!林道脇の広場は土場になっており、見た感じ去年まで伐採作業に入っていたのではないかと。
広葉樹は既に木の葉を纏ってないが、カラマツだけは紅葉真っ盛り。
ようやく静内ダムが近くなってきた!そして日高横断道路も見えてきたではありませんか。これを歩ければこんな苦労しなくて済むのにちくしょう...(;_;)
日高横断道路
11:30 ネトナイ線ゲートを潜り日高横断道路に到着(^-^)
このままここを歩いて静内ダムまで下りたい。どれだけ楽に歩けることであろうか。
静内ダム湖は相変わらず白みがかったグリーン。対岸には昨年探索した東の沢左岸林道が見える。私たちは地面に座り栄養補給をする。長時間座ってると帰りたくない病が発症するので、10分ほどでいま歩いてきた作業道へと戻ることにした。
ん?帰りの作業道歩きはどーだったかって??
西の沢下流林道ゲートに着く頃にはこの歳にも関わらず筋肉痛が発生し、足がプルプルしてアクセルとブレーキを踏むのが一苦労だった...と言えばどれほど過酷だったかご想像がつくと思います笑
何とか明るい時間に新冠温泉に到着。Sさんも呼んで3人揃ってで露天風呂に沈みました♨️
幻の第5ルートのまとめ
距離:往復約16㎞
所要時間:約6時間
難易度:★★★★☆
誰も入らない静内ダム湖畔で釣りをしたい!日高横断道路の一部でも見たい!林道廃道探索をしたい!そんなマニアックでイカレタ方以外は歩くことはないでしょう笑
傾斜的に自転車や車では厳しいと思います。雨の日はスタッグして上ることが困難になると簡単に予測できます。
また路盤は静内側の東西連絡路がかなり荒れております。そしてネトナイ線ゲートから高見ダム、東の沢ダム方面までは距離が相当あるので、このルートを使って他の場所に行くことは現実的ではない気がします。
よって、このルートは二度と行きません笑
高見ダムに行くなら東の沢左岸林道、東の沢ダムに行くなら神威山荘から山越えルートがオススメです!
最後に。こんなイカレタ探索にお付き合いしてくださったFさん!ありがとうございました!また懲りずに今度は春別ダム〜下新冠ダムルートの探索に行きましょう。
もしご興味がある方はTwitter経由でご連絡ください(無事に帰れる保証なし)!
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