勉強開始:237日目(修了試験118日後)

ピンポーン、とインターホンが鳴る。

まの抜けた、それでいて家中に通る音。
わたしはこの音が嫌いだ。音自体もどこか阿保ぽいし、これを鳴らす訪問客は宗教の勧誘だったりセールスマンがほとんどだ。
そした招かれざる客は大概、忙しいときにやって来る。

朝食の洗い物をしていたところにインターホンが鳴った。中断して、はい、とインターホン越しに応じる。
相手は蓄電池のセールスであった。
やんわりと断ったのがいけなかったのか1分だけでもお時間下さいと粘ってくる。
単刀直入に「いらないです」と断ったら、笑顔のままセールスマンは消えた。最初から端的に断ればよかったと思った。
朝8時からセールスなんて同情しないこともないが、それがお前の選んだ仕事なんだから頑張れよと笑顔のセールスマンを見送った。

11時過ぎ、子供と昼食を食べているとまたインターホンが鳴る。
相手はまた蓄電池の会社だ。朝来た人間とは違う人物だった。
前回の反省を踏まえて、言葉を濁さず直線的に要らないと伝えると、また笑顔のままセールスマンを消えた。

15時過ぎ、次男を寝かしているとインターホンが鳴る。こんなときに誰や。タイミング悪いぞ。
応答するとまた蓄電池の会社だ。3回目やぞ、コラ。
私の怒りがインターホン越し伝わったのか、逃げるようにセールスマンは消えた。

19時過ぎ、風呂から上がり子供達とまどろんでいるとインターホンが鳴る。
まさかと思い。応答すると、蓄電池の会社だった。
散々周って疲れているのかセールスマンの顔には正気がなく全体的に負のオーラ的なものがインターホンの画面越しに伝わってくる。
君で4人目だと伝えると、ぶつぶつと聞き取れない声で何か言って消えた。
画面越しに見えた背中はどこか悲しげだ。

しかし、そんな悲しい背中を見ても、もうわたしは同情しなかった。

4回もきやがってコラ。そらどの家でも迷惑がるじゃろがコラ。

蓄電池の会社に呪あれ。呪でも蓄電しろっつうの、それを電力に変えてクリーンな社会を実現しろ。何悲しんどるだ、悲しんどるだろ暇はない、今すぐやるんだ、それが君たちの使命だ。

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