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【ひとりぼっちの地球侵略】オルベリオ文字を解読してみたその3【補足・考察編】

どうもはじめまして!

はじめに、本記事は原作最終巻である15巻までの内容を踏まえたものになっています。未読の方はネタバレ注意です!
また、本記事は3部構成の3つ目となっています。そのため「解読してみたその1」「その2」を先に読むことをオススメします。

記事その1
https://note.com/pekh/n/n18c4910973a4
記事その2
https://note.com/pekh/n/n6a67b7ac0c59

以下本文です↓



まず、これまでに作成したオルベリオ文字-アルファベット対応表がこちら

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本記事では大きく分けて以下の4つの内容を紹介します。
①大鳥先輩とマーヤの使うオルベリオ語の違い
②対応表にない例外的なオルベリオ文字
③完成した対応表で読めた、これまで未紹介のオルベリオ語まとめ
④大鳥先輩の黒いもやに浮かび上がるオルベリオ文字の謎

ぜひ最後までお楽しみください!

まず最初は、前記事での予告にもあったようにマーヤの使うオルベリオ語についての考察結果の紹介です。

8巻38話2

8巻38話p.126より引用

こちらは8巻38話より、ゾキin凪 に煽られたマーヤが大鳥先輩を自分の空間に幽閉するシーン。オルベリオ文字が複数個所に描かれていますが、今回は読みやすそうな右下コマ黒帯の部分に注目します。それぞれ右から1番目、3番目の黒帯上の文字を書き出したものがこちら↓

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こちらを、対応表を使ってアルファベットに変換するとこんな感じ↓

「K A G O M E     K A G O M E     K A G O N O」
「A G O M E     K A G O N O N A K A N O」
「U S H I R O N O     S Y O U M E N」

かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 
鶴と亀が滑った 後ろの正面だぁれ?
(Wikipedia『かごめかごめ』より引用)

そうです! じつはこちら、子ども遊びの歌である「かごめかごめ」の歌詞になっているのです(歌詞は数パターンある内の一つを採用)

そして、ここで重要なことがもう一つ。
英語で描かれていた大鳥先輩やマハの使う純正オルベリオ語に対し、なんとマーヤのオルベリオ語は日本語・かなのローマ字表記で描かれていることが分かりました!!


裏付けとなるシーンは他にも、

iOS の画像

5巻24話2

それぞれ5巻24話p.182, p.183より引用

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「D E K U」

おそらくこれは「木偶(でく)」であり、マーヤの操作していた人形の額に浮かび上がっていたことから「木偶人形・操り人形」の意味合いで使われたオルベリオ語であると推測されます。


ここで、なぜ小川麻衣子先生はマーヤのオルベリオ語をローマ字表記にしたのでしょうか?
作中でマーヤは、自身の使うオルベリオ語について以下のような説明をしています。

幽閉されていたけれど音と文字の形は知っていたから自分たちで作ったの。いわば「想像上のオルベリオ語」…
(10巻48話p.104より引用)

マーヤや幽閉されていた142人の姉たちが知っていたのは純正オルベリオ語の音と形のみであり、それ以外のものは自分たちで独自に作ったもの。
これを英語とアルファベットで置き換えると、

・「A」を「あ」と発音することは分かるが、「apple」などの英単語や「This is an apple」といった英語の文法は知らない。
・また、目の前に🍎が置いてあってもそれが「apple」だと分からない。
・そこで🍎を「ringo」という単語で呼ぶことにした。

となります。

文字1つ1つの形と読み方が一致していて、文だけ英語とローマ字日本語で異なるという解読結果が、作中のマーヤたち独自のオルベリオ語という設定とバッチリ噛み合うことが分かります。

これすごくないですか!??
読者視点でもしっかり読めるようなオリジナル文字を作るだけでなく、作中の設定としっかり整合性がとれてるんですよ! そこまで考えて大鳥先輩とマーヤのオルベリオ語を描いていたとは…!
作品に対する小川先生の作り込みの深さには本当に驚嘆させられます。

そして、初め読んだときに「これ意味のない模様として描かれてるんだろなぁ」と思ってた当時の自分をぶん殴りに行きたいです…笑
いやもうほんとすいませんでしたm(__)m

(ちなみに、作中でマーヤのオルベリオ語は単語である「木偶」と歌詞である「かごめかごめ」しか出てこないので、「Kore ha ringo desu」といった文章形式のオルベリオ語は使えないのかもしれません)

次は、対応表に含まれない例外的なオルベリオ文字についてです。

2巻6話

2巻6話p.36より引用

こちらは2巻6話、港を通過するリコ(もしくは宇宙船?)の周囲にオルベリオ語が浮かびあがっているのが分かります。どうやら二つの帯にそれぞれ別のオルベリオ語が描かれているようです。それっぽく補いつつ書き出してみます↓

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ここで何と、今まで見たことのないオルベリオ文字が3つも出てきました!
ひとまず既知の文字をアルファベットになおすとこんな感じ↓

「O P 〇 N     T H 〇    〇 I 〇 〇 D」
「Y O U K O S     T I K Y U H 〇」

いままでの解読の経験から、上の文章は「Open the なんたら」みたいな文章だと予想できます。すると下は「ようこそ 地球(Tikyu)へ」でしょうか。

しかしここで問題が。いま不明箇所に「E」を入れたわけですが、「E」の文字はもう判明済みのはず。これでは「E」に対応するオルベリオ文字が2つあることになってしまいます。
これの解釈の仕方として、2つほど案を考えてみました。

A)「古いオルベリオ語」という演出
港の魔法は、初代オルベリオ王であるトトが掛けたものです。トトが地球を訪れたのは数億年前のことであり、それだけの時間がたてば文字の1つや2つ形が変化するのは不思議ではありません。また、15巻75話で若きトトと地球との会話シーンがありますが、描かれているオルベリオ文字は知らないものばかり。これもA案の後押しになります。

15巻75話

15巻75話p.60より引用

ただしA案には矛盾点もあります。その1で紹介した4巻17話の港に浮かぶ「YES」にも「E」が使われていますが、今回の「E」とは違うものなのです。そのため、A案で確定させるのは難しそう…


B)リコや星団連が間違ったオルベリオ語を使った
2巻7話でリコは「港のパスワードは解析されつつある」「古いパスワードのまま港が放置されている」「いずれ全てのパスワードを解析して地球に大艦隊が押し寄せる」といった内容の発言をしています。
オルベリオ製のパスワードであるなら間違いなくオルベリオ語でしょう。それを解析・使用しているということは、オルベリオ人以外でもオルベリオ語を多少は使うことができるのかもしれません。
流石に自由に効果を設定したりは出来ないでしょうが、あらかじめパスワードとなる文字をどこかに綴っておけば、通行証のようなものは作れるのかも。

この仮定を信じると、リコの周囲に浮かぶこのオルベリオ文字は港側ではなく非オルベリオ人である星団連側が使ったということになります。
(リコはオルベリオの魔法について詳しく知らなかったので、リコ自身がオルベリオ語パスワードを使用したのではなく、星団連が用意した通行証的なものを発動させて港を突破したのかなと個人的に思ってます。2本の帯は通行証発動時のエフェクト、みたいな…)

使用者が純正オルベリオ人でないのであれば、完璧なオルベリオ語ではなく、多少間違ったオルベリオ文字を使っている可能性は十分ありえます。この特殊な「E」は間違ったオルベリオ文字という演出なのかもしれません。
個人的には、こちらのB案の方が有力かな~と考えています。


また、「Open the なんたら」の「なんたら」の部分に関してはよく分からなかったです。「Open the 〇ie〇d」なのでなんとなく「Field」かなぁとは思いましたが、それだと文章の意味がよく分かんない…
ということで、これに関しては未解決のまま一旦保留とします。
(なにか良い案があればコメントして頂けると嬉しい…)

次は、これまで紹介していなかったオルベリオ語のまとめです。

2巻8話1

2巻8話2

それぞれ2巻8話p.137, p.138より引用

こちらは2巻8話より、戦意喪失したリコに対し大鳥先輩がオルベリオの魔法を行使するシーンです。2コマにわたってオルベリオ語が描かれています。一続きの文章だと思って書き出すとこんな感じ↓

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「C O M P L E T I O N    O F    T H E    C O N T A C T」

直前の大鳥先輩のセリフから察するに「契約完了」みたいなニュアンスでしょうか?(英語ムツカシイ…)


4巻18話1

4巻18話p.139より引用

こちらは4巻18話より、大鳥先輩が邪魔な敵船を殲滅しに行こうとするも、広瀬くんを連れて行くのは危険だと判断した後のシーン。描写的にシェルター的な安全地帯を構築し、そこに広瀬くんを入れたようです。

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「W A L」

おそらく「防壁」みたいなイメージで「Wall」が正解でしょうか。最後の「L」が抜けているのは、単純に大鳥先輩が文字を綴る最中のシーンを切り取ったと考えれば問題なさそう。

最後は、暴走状態の大鳥先輩が纏う黒いもやについての考察です。

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7巻34話

それぞれ4巻19話p.159, 7巻34話p.177より引用

4巻と7巻で10年前の過去編が描かれた際、大鳥先輩が纏っていた黒いもや。描写からおそらく、大小さまざまなオルベリオ文字を全身にまとった結果、黒いもやとして見えているのでしょう。もやの内側は少々見難いですが、外側に浮かんでいる文字であれば読めそうです。
ということで、黒もや外側の判別しやすい文字を書き出してみます↓

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「O    C O N N O R」
「S U N D A Y     I S    G L O O M Y」
「T    T H E M    K N O W    T H A T    I M    G L A D」

こんな感じになりました。(正確には「Aunday is gloomy」だが、あまりにも不自然だったので独断と偏見により「A」→「S」に変更)

はて、なんだこれは。これまでの解読経験から、長めの文章は歌の歌詞だと思うけど…こんな歌知らないぞ…

ひとまず歌詞検索をしたところ、該当する曲が一件ヒットしました。

『Gloomy Sunday』

Sunday is gloomy
My hours are slumberless,
(中略)
And prayers that are sad,
I know, let them not weep,
Let them know
That I'm glad to go


Death is no dream,
For in death I'm caressing you
With the last bressing you

(英語詩抜粋, プチリリ『Gloomy Sunday』より引用https://petitlyrics.com/lyrics/2323333

たしかに歌詞は一致しているため、ひとまずこれで正解かな?
(ひとつめの「O CONNOR」は歌詞ではなく、この曲をカバーしてヒットしたアイルランドのミュージシャン「Sinead O'Connor」さんのことを指しているみたい)

でもどんな歌なのか全くわからん…ということでWikipediaで調べました。するととんでもない記述が。

曲調、歌詞ともに陰鬱さを醸し出した本作は「自殺ソング」として、またヨーロッパやアメリカでは「自殺の聖歌」として知られており、歌詞の内容は暗い日曜日に女性が亡くなった恋人を思い嘆くというもので、最後は自殺を決意するという一節で終わる。
(Wikipedia『暗い日曜日』より引用 )

えぇ…何この鬱ソング…

ですが、そもそも作中のこのシーンは、仲良くなってしまった広瀬くんの死を目の当たりにして動揺・暴走する大鳥先輩というもの。内容としては歌詞とバッチリ噛み合っています。さすが。
小川麻衣子先生がどこからこの曲を持ってきたのかは不明ですが、ナイスチョイスですね…


【追記】
『Gloomy Sunday』について調べている最中、ちょっとおもしろい話を聞きました。どうやら、浦沢直樹さんの『パイナップルARMY』の中でこの曲に関するエピソードが出てくるそうです。その話を先輩に伝えると一言、

先・。・輩「その漫画、酒漫で小川先生が言及してたよ」

「酒漫」とは、漫画家の中道裕大さん・モリタイシさん・麻生羽呂さんが司会を務めるラジオです。小川先生も以前そこに呼ばれており、その中で「家にパイナップルARMYが置いてあった」といったお話をされていたそうです。(三十四杯目,31分あたり 
http://sakebitari555.seesaa.net/article/439764682.html )
もしかしたら、それが小川先生と『Gloomy Sunday』の繋がりだったりする…かも? (あくまで憶測、証拠はなにもなし)
【追記ここまで】



次は黒もや内側のオルベリオ文字について、ちょっと読みにくいですができる範囲で解読をしてみます。
正直掲載している画像だけでは見るの厳しいと思うので、各自単行本で確認することを推奨します!

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それぞれ4巻19話p.160, p.162 より引用

「S O O N」「T H E R E」
「I S    G L O O M」「E S S     D E A R」

ありきたりな単語ではありますが、一応どれも「Gloomy Sunday」の歌詞に含まれているので、やはり黒もやの内側には歌詞が描かれているらしい。

ですが、実は例外もちらほら見つかりました。

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上:4巻19話p.158 より引用
下:7巻34話p.177 のコントラストを少々調整したもの


「D A R L I N G」「W W W」
「H T T P」「A     H R E F」

「Darling」は歌詞の一部でいいと思うのですが、他は少しおかしい。
歌詞には含まれないし、英単語でもないし…

というか「www」「http」って多分インターネットのURLによくついてるやつですよね???
「a href」もHTML記述でリンク先指定するときのタグの1つだし…

もしかして、大鳥先輩の纏う黒もやの中にインターネット上のどこかのサイトへのリンクが貼られている…!??


この”黒もや内にURLリンク貼られてる説”について、リンク先のサイトについて調べるために見えてる文字を色々解析したのですが、特に成果は得られませんでした…
これで実は小川麻衣子先生の隠された個人HPでした~とか、意味深なテキストデータだけ置かれた謎のページでした~とかだとめっっっっっちゃテンション上がるのですが、流石に手がかりが足りなかったです…無念!
(電子書籍版だと黒もや内部が見やすくて読める、とかあるかな?)

かなり長くなってしまいました。最後に、オルベリオ文字-アルファベット対応表の完全版を張ってこの記事を終わろうと思います。

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この対応表を片手に Let's オルベリオ語解読!


オルベリオ語の解読成功の喜びを伝えるために書き始めた今回の記事たちですが、それも「その3」でついに終わりです。
拙い文章、しかも3部構成でかなり長くなってしまいましたが…書きたいことはあらかた書けたと思うので満足です・。・v
これらの記事を通して、「ひとりぼっちの地球侵略」をもう一度読み返そうかなと思う人が一人でもいれば、非常にうれしいです!


ここまで読んでいただきありがとうございました。
最後に、素晴らしい作品を描いてくださった作者の小川麻衣子先生、そしてオルベリオ文字解読のきっかけを作り解読成功の喜びを最初に共有し、さらに記事の添削まで手伝って頂いた先・。・輩に感謝を申し上げます。


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