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記号としてのグランフロント大阪

2013年4月27日
目が覚めてみると午前1時だった。昨日は焼酎ロック3杯と野菜炒めだけで「Ms」を出たので会計は900円だった。つくづく安く飲ませてくれる店である。昨日の日記の続きを書き、ネタがなかったのでいろいろ調べていたら、午前3時前になった。今日はこれまで一切酒は飲んでいない。頭はクリアだ。今のところ飲酒欲求もない。
午前4時。仕事の時間だ。土曜日の今日はいつもの配達区域以外に10部配らなければならない。たった10部だが配る範囲が広いので30分は余計に時間がかかる。仕事が終わっていつものように「バーリアル(BARREAL)糖質50%オフ」500mlを2缶買って帰った時には既に夜が明けていた。
「バーリアル(BARREAL)糖質50%オフ」を飲みながら朝の情報番組で「グランフロント大阪」のニュースを見ようと思っていたら、いつしか眠りこけていた。ちなみに、「グランフロント大阪」は、JR大阪駅北側の「大阪最後の一等地」と呼ばれる7ヘクタールの再開発地域「うめきた」で開発が進められ、企業や研究機関、大学などが参画し、開発中の技術やプロダクトを提示する「ナレッジキャピタル」を核とする複合施設である。建築設計の現場から離れたものの、やはり私の興味は建築や都市開発にある。
再び起きたのは午前9時を回っていた。残っていた「バーリアル(BARREAL)糖質50%オフ」を飲みながらネットで「グランフロント大阪」の記事を検索する。そのうちの商業施設は266のテナントを集めた売り場総面積は4万4000平方メートル。初年度は来場者数2500万人、初年度売上高400億円を見込むらしい。日本初、関西初、大阪初のショップもあるそうだが、私の興味はそこにはない。
「グランフロント大阪」にはこの商業棟の他、「ナレッジキャピタル」、ホテル「インターコンチネンタル大阪」、分譲マンション「オーナーズタワー」で構成される154m~179.5mの超高層タワーが4棟建設される。そのうちのオフィスフロアの入居率はまだ2割に満たないらしい。しかし私はこの巨大は複合施設が大阪という街にどのようにインパクトを与えるかという都市論、或いは都市記号論的な興味がある。大阪では阿倍野で近鉄が開発を進めているアベノハルカスや御堂筋の高さ制限撤廃の動きもあるが、日本が東京に一極集中しているように大阪でも梅田に一極集中が進みかねない危険性も孕んでいるのである。都市はもっと多様な記号(言語)に満ち溢れている方が良い。画一的な都市は退屈である。梅田の一人勝ちは大阪にとっても良くはない。
都市というものは生き物だ。そして様々な記号(言語)を発している。この都市記号論をわかりやすい概念で記述したのは、ソシュールの構造主義的な記号学の方法論を拡張し、社会環境の文化的諸関係を「意味作用の体系」としてセマンティクス(意味論)を中心に分析しようとした、ポストモダンの思想家ロラン・バルトである。彼は一般応用されることの多い記号論の概念「デノテーション(明示的な意味)・コノテーション(潜在的な意味)」に触れている。これは、人間が多様な記号世界の中で受け取るメッセージには、絶えず意味の二重構造の作用(デノテーションとコノテーションの作用)が働いていることを示している。
「グランフロント大阪」を例にとると、「グランフロント大阪」のデノテーションは「巨大できらびやかな複合施設群」に過ぎない。しかし、競争原理がシビアに働きだした現代社会では、「グランフロント大阪」は「勝ち組を物理的に象徴する」「経済的な成功者でないと入居できない」というコノテーションを帯びている。「勝ち組を物理的に象徴する」を例に取ると大阪では梅田だけが勝ち組で、その他は負け組になってしまう。実際、「グランフロント大阪」に入居している商業施設の価格設定は負け組の者には手が届かない。
物事の勝ち負けを決めるのは本意ではないが、現代社会は勝ち負けで成り立っている。その意味でアルコール依存症になって酒ばかり飲んでいる私は明示的な意味では完全に負け組である。しかし、その負け組という潜在的な意味は、過酷な競争社会からドロップアウトし、ストレス社会から離れているという意味を持っている。それはそれで幸福な人生ではないだろうか。少なくとも私は現状に満足している。もう昔のサラリーマン地獄の生活には戻りたくない。
午前11時半、「SUPER PRIME 糖質50%オフ」500ml2缶を買ってきて飲み始める。すると友達からメッセージが届いて、今日は「Ms」の店長のYさんの誕生日なのでケーキを買いに行こうという話になった。お店は地下鉄今里筋線、千日前線 今里駅から徒歩5分のところにあるKent house本店である。うちの近所だ。常連のKちゃんと待ち合わせしてケーキを買う。3人で割って一人500円。安いものだ。そのあとKちゃんと鶴橋に向かってプレゼントを買いに行く。途中、たこ焼き屋に立ち寄って生ビールセットを注文して1杯飲む。ジョッキ1杯のビールでは全然酔わない。
買い物を済ませた私はその後自転車で梅田に向かい、「グランフロント大阪」を見に行った。だが、流石にオープン後初の土曜日だったのですごい人だった。大阪ステーションシティへの来場者数が約1年間に累計で1億3,100万人に達したことを考えれば初年度の来場者数2500万人は軽くクリアしそうである。
その後、「Ms」に行ってプレゼントの韓国エステの美容パックを手渡し、誕生日パーティーをして、ピリ辛チキンを肴に焼酎ロックを6杯飲んでいい感じに酔っぱらう。自宅に帰ってきた記憶がなくなるほどいい感じに酔っぱらい、ベッドに倒れこんで寝てしまった。睡眠薬で寝るのと違って酔っ払って寝るのは睡眠が浅いと言われるが、これほど気持ちの良いものはない。というわけで今日もまた酔っ払ってしまった。

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