母が免許証を自主返納した日

この間は、あおり運転についての話を書いた。
今回は、これから先、高齢者の人がぶち当たるだろう問題について書く。

私の実家の母が、先日車の運転免許証を自主返納した。
理由としては、車の運転が体の変化で、できなくなった為だ。

骨粗しょう症による背骨のいくつかの骨が、骨折して背中が丸くなった。
背中が丸くなった為に、運転席に座っても、窓から外を見ることが難しくなった。

私が留守のときに、父が膝の手術で入院しているときに、母は自動車で病院へ行こうとしたときに、ガレージから車を出したときに、座席の見えにくさに気が付いて、運転をやめた。

運転免許証の所有に、年齢制限はないけれど、75歳以上になると、免許更新時に認知症検査が行われる。
母はなんら問題はなく、更新はできたけれど、「運転もしないのに、免許証を持っていてもねぇ」と悩んで、ついに自主返納を決めて、返納した。

対人事故や対物事故歴は全くなく、ずっとゴールド免許だった。
しかし、身体的なことで返納しなければならないとなると少し困ることは出る。

父も足は不自由で、条件付きで運転は認められている。
その父も高齢で、私たちの地域は車がないと、生活ができない場所である。

まだ父は健在であるものの、母が一番心配するのは、父が先立たれてからのことで、車がないと買い物すら困難なところである。
便利な地域の人からすれば、私たちの町が、かなり田舎であることは想像つかない。

反対に、高齢者の危険運転も指摘されていて、「運転に自信がなければ、自主返納をして欲しい」と呼びかけている。

ところが、車がないと困る高齢者地域もあるわけで、「70歳以上の人は返納すべき!」という話は、酷なわけである。

しかし、自主返納をした母は、なんだかさっぱりしていて、「運転経歴証明書に切り替わって、なんだかすっきりした」という。
実は、運転経歴証明書を見せると、身分証明証として有効でもあるし、都道府県ごとに違うけれど、様々なサービスを受けることができるというメリットはある。

さっぱりした顔ではあったけれど、時々「自分は運転はもうできない」という身体的な老いも感じたのか、寂しげでもあった。

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