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LINEの生活#39 「お」

「...時間になっても、東さんがこなかったって、確かにやばいですよね...」
「うん...」
エレベーターの表示が十階になった頃、「ひがし」が口を開いた。
テンヌキは返事をしながら、東とカーソルの安否を考えていた...
(...東は今ここにいるんだよな?実際僕の指定した場所に来ていないわけだし...何かあったのかな...?)
バアン!
じ、銃声!?
「東」の声で、テンヌキは我に帰った。
「どこから!?」
「多分...『ボス』の部屋から...
「っ!!!今何階だ!?」
二十階。
「チッ!」
テンヌキは二十一階のボタンを押した。
「な、何を...?」
階段で七十階まで上がる!こんな遅いエレベーターよりも、階段で行ったほうが早い!!」
ポーン
、ドアが開いた。
急げ!
テンヌキは全速力で階段を駆け上がった。
「あ!!侵入者!あの声からして奴は、放送室や送電室を使った奴だ!」
「くそっ!家来に見つかった!」
『ボス』!ここは任せて!!
迫ってくる「守」の文字の前に、「東」が立ちはだかる。
「僕、柔道やってますから、こいつらを足止めすることくらいはできます」
「...信用してもいいのか?」

「大丈夫です。死亡フラグなんかじゃありませんから」

「...わかった...」
テンヌキは七十階に駆け上がった。
...さあ来い!!
「東」は拳を構えた...

テンヌキが階段から落ちた頃。テンヌキは下敷きになってくれた「東」に、頼み事をしていた。
「『東』、ちょっと頼みたいんだけど...」
「?なんですか?」
-------------------------------
...えっ?
そして------------------その後、----------------------------------
...分かりました。やりましょう!!

おい!クソジジイ!何してくれてんだ!!
カーソルが東に駆け寄るも、手足の枷が邪魔をして、動けない。そこへ、「守」の文字がカーソルを抑え込みに来た。
「ぐうっ!」
必死に抵抗するが、すぐに抑えられる。
「...お前、前はわしの言いなりだったくせに、よくそんな口の聞き方をできるもんじゃ。

...『お』」

...うるせえ
「お前はわしに従って戻ってきた。...そうじゃろ?」
「...」


「お」は、銃を取り出した。
ごめんな

バアン!!

「お」は、マネキン人形に弾を打った。マネキン人形についている水風船が破れ、血の色をした血のりが出てきた...

...指令だ。仕方ない。こうするしかない。俺は悪くない...。
今日、この日、「老」に従っていた俺は、東のスマホの世界に戻らなければならない。俺にはまだ任務が残っている。
東をうまいこと、「老」の屋敷に連れ込むこと。
そんなことして東を騙したくない。嫌だ。なのに体は勝手に動く。従わなければいけないような気持ちになる。
なぜだ...。そう考えることを、体が拒絶する。
気がつくと俺は、ナイフで自分の体を切り裂いていた...
そしてできたのは、存在しない文字...

カーソルだった。

カーソル

痛い、痛い、痛い...
従わなくちゃ、従わなくちゃ...
気が狂いそうになりながら、俺は誰にも見えない道で、スマホに向かい、この世界にきた...

これが、「和樹」のスマホの世界に送り込まれ、任務をこなす...俺の運命だ。


...どうじゃ湊太、カーソルは『お』だったんじゃ!びっくりしただろう?カーソルは文字じゃないからバレるかなーなんて思っとったが...お前は昔から、騙されやすいのう

「ふざけんじゃねえ!!」

カーソルは目に涙を浮かべて怒鳴った。
「そ、そんなに怒ることないじゃろう?湊太の反応が見たかっただけじゃ...」
東は...お前に...!」
カーソルは東の方を向いた。
なあ、『ボス』...東を...自分の孫を撃ったことについては...どう思ってるんだよ...
「......あいつがわしの言うことを聞かなかったのが悪いんじゃ!」
「お前、それでも...

おじいちゃんかよ...!」

「っ...」
バタン!
二つの文字が話していると、ドアが大きな音を立てて開いた。
「東!...カーソ...ル?...なんで、東が...
テンヌキが、血で染まった東を見ている隙に...「守」の文字がテンヌキを抑えた。
「っ!うぐっ...!」
テンヌキはなんとかカーソルの方を向いて、カーソルに尋ねた。
「ど、どう言う状況?」
「東は...」
カーソルは全てを話した。
「そうか...」

「ハハハハハハハハハハハ!」

急に、「老」が笑い出した。
お前らはもう終わりじゃ!東は撃たれ、テンヌキ、カーソルも何もできない!!!もう東を人間の世界に戻すことなど、不可能なのじゃ!!!
すると、テンヌキはニヤッと笑った。

「...それはどうかな?」


最終話まであと

              2話

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