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お店をはじめる。

自分のお店をはじめることが夢だった時期があった。
自分たちのお店をはじめることが目標になった時があった。
今、自分たちのお店をはじめるということは、ひとつの手段になった。
自分たちが本当に過ごしたい毎日が過ごせるような人生。
それを手に入れるために、ぼくらは自分たちでお店をはじめることにした。

「お店をはじめようと思ったのはいつですか?」
「いつごろから計画をしはじめましたか?」
今まで何度となく質問されてきたけど、どう答えていいかがわからなかった。


高校生のころから料理は好きだった。一浪して入った大学では飲食系のアルバイトをかたっぱしからハシゴした。バーテンダーに憧れて、いろんなバーに通った。就職するタイミングで「将来じぶんでお店をやる」という夢を決めて、その夢に進むための道を探した。

でも、それは夢だったわけで。

夢に向かう途中では、いろんなことが起こるわけで。

その夢は何度もふくらんではやぶれ、何度も置き換わり、何度も消えた。ありがたいことに、夢とは別に、その時々の目標は常に目の前にあった。夢に向かいながら、目の前の目標を追う。そんな日々の中で出会ったのが、後に奥さんになってくれた「はなちゃん」だ。

はなちゃんと会ってから、少しずつお店をはじめることが目標になっていった。どこでお店をはじめるのか、どんなお店をはじめるのか。今まではちょろっと考えてはどこかに消えていったものが、はなちゃんと話すことで具体的になっていく。仕事も、プライベートの時間も目標に向かっていくようになっていった。

「鹿児島でお店をやりたい」と言った僕にたいして「私は鹿児島に行ったことがないから、ちょっと見てくるね」とひとりで鹿児島を旅して来たはなちゃん。東京で生まれ育った彼女がはじめて住む、東京以外の場所。すごく大きな決心だったと思う。2人で話し合い「どうせ鹿児島に行くなら仕事も辞めるんだし」と、結婚式を挙げたあと、一年間の世界一周旅行に出ることにした。

世界一周から帰って来てすぐに息子をさずかり、東京で生まれて半年たったころ、家族みんなで鹿児島にやってきた。子どもが生まれてから激変した家族の生活。自分たちがしたい暮らしが出来ていない状態が続いていた。そんな中で考えた。なんのために自分たちのお店をはじめるのか、という問い。お金だってかかる。リスクだって負う。ただ「かっこいい」から「やりたい」から「自分たちのやりたいお店」をはじめるのか?

なんか、ちがった。

なんで?なんで?なんで?なんで?なんで?と自分に問い続けることでしか見えてこないものがある。というのは昔はたらいていたリクルートという会社で教わった。
なんで自分たちのお店をはじめるの?という問いに対して、いろんな答えが自分の中から出てきていた。
・かっこいいから
・やりたいから
・お金がもっとほしいから
・今より豊かなくらしがしたいから
・もっと好きなことを好きな場所で自由にしたいから
こんな煩悩まるだしの答えばかりのなかからでも、問い続けると見えてくるものがあった。

いつまでもイキイキ仕事をしてる、かっこいい自分たちでいたい。そんな姿を子どもにも見せていたい。
イキイキ仕事するためには、やりたいことをやるしかない。
やりたいことやるだけじゃだめ、お金をたくさんもらえる=たくさんの人にめちゃめちゃ愛されるお店をやりたい。
今よりもっとだいすきな人たちに囲まれて、だいすきな人たちに感謝してもらえる仕事をしていくことが自分たちにとっての「豊かさ」だ。
鹿児島ではじめるけど、はなちゃんの地元である東京でも仕事できるようにしたい。多拠点居住を実現したい。

結局自分たちが考えてるのはこういうことだった。自分たちがほしいのはこういう人生だった。お店をはじめるのはそのための手段なんだ。

そして、ぼくらは自分たちのお店をはじめようと、計画を練りはじめた。

(つづきます)

子育てしてる大人たちが心からリフレッシュできる飲食店を作っていきたいと思っています。応援してくれたらとってもうれしいです。