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展示会出展に掛かる「費用」は?/出展費の他に知っておくべき項目。

展示会出展に関わってくる費用とは?

展示会に出展するために費用は実際にどのくらい掛かっているのでしょうか。展示会への出展には、主催者に支払う出展費の他に、ブース設営費、交通宿泊費など、様々な費用が掛かってきます。本稿では展示会出展に関わる費用について、お話をしていきましょう。

1.出展費:展示会によって変動。概ね40万円(3m×3m)※上昇傾向にあり
2.ブース装飾費:1小間/50万円~100万円・2小間/100万円~200万円
3.販促資料制作費:配布用チラシ・パンフ/ノベルティー等の制作
4.人件費:自社スタッフ/コンパニオン/MC/実演販売士等
5.出展物運搬費:宅急便/ボックスチャーター/レンタカー等
6.交通宿泊費:一般的に設営日2日目から会期最終日まで3泊
7.広報通信費:DMの送付/プレスリリース

まず、出展するための「出展費」ですが、最小の小間サイズである3m×3m(1小間)での出展料金は、どの展示会でも概ね40万円程度となっています。これは、いわゆる場所代(小間代とも言います)です。2小間(6m×3m)を借りると当然ながら倍の80万円前後、となります。この金額は昨今上昇傾向にあり、展示会によっては、1小間50万円前後という展示会もあります。この出展費に加えてブース装飾費、販促資料作成費、人件費、交通宿泊費等が掛かって来ることになります。プレスリリースやDMなどを送付する方はその費用も計上する必要があります。
特に知っておいていただきたいのが、展示会終了後に展示会事務局から出展者宛に送られてくる「電気料金」の請求です。展示会期間中は何らかの形で電気を使用することになりますが、その費用が1KW辺り10000円前後掛かることになり、使用した合計W数によって金額が変わります。これがどの展示会でも大抵、展示会終了後に主催者事務局から出展者宛に送られてきます。これは、一般的にブース設営会社ではなく出展社が事務局に直接お支払いすることが多いため、ブース装飾費とは別に計上しておく必要があります。ブース装飾費はこの後に詳しくお伝えしますが、木工でつくるかシステムブースでつくるかで変わってきます。そこにはブースをつくる費用の他、デザイン費、そして会期後に撤去する費用まで含まれています。
次に、販促資料費とは、会場で配布する配布資料やノベルティーの制作費。そして人件費は、会期中に会場に立つスタッフ分の他、コンパニオンさんなどの外部スタッフを依頼する場合には、さらにその費用も掛かります。そして、意外に軽視できないのが、交通宿泊費。宿泊費は設営の日から掛かるので最低でも、設営2日目から最終日まで3泊×人数分+往復交通費が必要となります。
これらの金額を合計すると、1小間での出展でも出展料を合わせると100万円を超える金額になってきます。出展に当たっては少なくともこれらの費用を回収できなければ出展する意味がなくなってきてしまいます。

ブースを作る費用

次に、上記の項目の中でブースを作る費用、「ブース装飾費」についてここで詳しくお伝えしておきたいと思います。
ブース装飾費。ブースの作りこみ具合によって「ブース製作費」と言った方が正確ですが、このブース製作費。1小間の場合、構造にも拠りますが設営会社などに依頼すると50万円から80万円、それ以上掛かってきます。木工で製作する場合には、100万円は見ておいた方がよいでしょう。
このブース製作費には、ブースを製作する費用の他に、ブースをデザインするデザイン費も通常含まれています。展示会業界では建築やインテリアデザインの業界のように、設計者と施工会社が別、ということはあまりないため、基本的にデザイン費は含まれている、というのが展示会業界の基本的な慣習となっているのです。デザイン費の他には、床材(パンチカーペット)を敷く費用、壁面の文字等を掲げる費用、照明の費用(照明は基本的にレンタル)、そして撤去費用まで通常含まれています。
先程、1小間(3m×3m)という最小限の小間サイズでも、ブース製作費については約100万円を見込んでおいた方がよい、とお伝えしました。これはあくまでも木工で製作した場合の金額ですが、2小間(6m×3m)の場合は木工で製作する場合、200万円は見ておいた方がよいと思います。この金額の中にデザイン費がどのくらい含まれているかはその設営会社の社内事情次第ですが、結果をしっかりと出し、来場者にとって印象のよいブースをつくろうと考えると、「ブース製作費」全体としてはこのくらいは考えておいた方がよいでしょう。この金額には、照明器具は当社で通常使用している、強い光を出す「LED投光器」という器具(1灯当たり、1万円前後掛かります)を使用することを前提とし、腕の良い壁紙の職人さん、質のよい木工材料を使用することを想定しています。
2小間をこの金額よりも安く施工する設営会社は多くありますが、その場合、デザインに対する姿勢が弱い、経験値が低く、技術的に未熟な職人さんが対応する、といった「何らかの安い原因」がある場合があります。展示会ブースは(ブースに限らず、住宅やインテリア全般も同じですが)、「金額が決まってから」作り始めるものです。金額が低くなると、それ相応の出来上がりになることは覚悟しておいた方がよいでしょう。ですので、むやみに減額要請を設営会社に対して行った場合も同様に「お値段相応」の結果になってしまう、となる可能性が高くなる、ことは覚悟はしておくべき、と言えます。

デザイン費について

では、ここで「デザイン費」について少し詳しくお話ししておきたいと思います。多くの設営会社の場合、ブースの見積もりの項目にデザイン費として数万円、という金額が計上されています。もちろん、もう少し高い会社もあることでしょう。この金額を「安くて、いいね」と感じていただく前に、今一度この金額について考えていただきたいのです。
展示会業界では、多くの設営会社の場合、デザインに関しては社内デザイナーか外部のデザイナーに依頼をしています。特に外注のデザイナーさんである場合ですが、その見積書に記載されている「デザイン費」がそのデザイナーに支払われることになる、というわけです。もし、そのデザイン費が「数万円」であった場合、そのデザイナーは、その「数万円」で、集客できるようなブースの戦略を考える時間とその能力、図面・レイアウトを描く時間、壁面のサイン(文字など)のデータを制作する費用など、ブースの様々なデザインを考える費用が、果たしてその金額でできるでしょうか。それらを制作する時間を想像して、想定される時給で割ってみると想像の範囲ですが時給が割り出されます。それが正しいかどうかはもちろん分かりませんが、常識的な範囲で考えても、その設営会社がデザイン検討に対してどこまで重要視しているかが分かります。つまり、そこに記載されている金額が小さいほど、そのブースを考えるデザイナーの能力、もしくはその設営会社内での「デザイナーの待遇」が低いということになります。確実に成功したい、と考える出展社にとって、本当にそれでいいのかどうか。デザイン料については、慎重に考えなくてはいけない、と私は常々考えています。

スーパーペンギンでは、ブースは模型を製作して3次元で検討を行っています。

 先程も触れましたが、展示会ブース、そしてこれは建築でもインテリアデザインでも同じですが、空間デザインの大きな特徴は、見積もり金額が決まって、初めて「作り始める」というものです。「既に作ったもの」をいくらで買うかという考え方でないことを知り、理解した上で、見積書を読み解かなければいけません。そのことを考えた時、あまりにも安いブース設営費やデザイン費は、当然ながらそれだけの理由が必ずある、と考えたおいた方がよい、と私は常々考えています。例えば、設営日当日の作業員の人数を最小限にしていることや、少々暗い照明器具を使っていること、そして設営会社の姿勢次第では腕のあまりよくない壁紙職人さんが来てしまう、という場合もあります。つまりは「安かろう悪かろう」の典型なのですが、金額が決まってから作り始める展示会ブースは、このようになってしまう場合が多分にあります。「空間デザインは、金額が決まってから作り始める」ということをご理解いただければ、事前に細かな仕様を聞いた上で見積もりの判断をしていただけると思います。その上で納得をした上で、ブースの設営については依頼されることをお勧めいたします。

スーパーペンギンのブースは?

ちなみに、当社の場合、1小間ブース(3m×3m)は、デザイン費とブース設営費で通常150万円を超えています。2小間では250万円を超えることもしばしばです。それは、しっかりとした結果を出すことを出展社の皆さんと共に考える、という姿勢と(実際に、当社では会期中の立ち方・待ち方までお伝えしています)、設営に際しては依頼する設営会社の方に腕のよい壁紙職人さんや質のよい木工材料などを使うことをお願いしています。さらにシンプルな形状ではあっても、細部のデザインにこだわり、図面には細かな設営会社への指示を描き込んでいます。高い金額にはなりますが、3日間の出展の中で大きな結果をつかむことができるのであれば、十分に投資する価値のある金額となるのです。そして、デザイナーや設営会社は、高い金額を出展社の皆様からお支払いいただくからには、その金額をその出展ですぐに回収できるだけのブースをご提供しなければいけない。その責務を担っていると思うのです。
このように、展示会に出展するためには例え1小間の出展であっても最低100万円は掛かることとなります。ましてや、2小間、4小間、6小間となると掛かって来る費用は数百万円から1000万円を超える場合も多くなり、3日間開催される展示会が如何にコストの掛かるものかがお分かりいただけるかと思います。だからこそ、展示会ブースは、必ず結果を出すように計画しなければいけないのです。

倉庫の扉は「枠なし」として、ブースの印象を高める工夫を行う
展示台下の収納は「全面」が開くことができるような仕様にする

細かな部分へのこだわりも、デザイナーの独りよがりなこだわりではなく、ブース全体の印象を高めるために、採用しています。費用を掛けてブースをつくる場合、そのすべては出展者の方は出展成功するために必要なもの、として捉えてブースの計画を行うことが常に重要、と考えています。


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