アマゾンのおじさん
一週間前に、イベントで相席したアメリカ人のおじさんがアマゾン本社の偉い人だった。
せっかくなので、俺は学生で、今こんな会社をやっていて、これからはこんなことをやろうとしているんだ、という話をした。
すると、おじさんがしばらく黙った。
それから、俺の目をまっすぐ見て、こう言った。
「僕はシリコンバレーで20年間働いてきた。今君と10分間話して分かったことは、君がそこで成功できるということだ」
「今君が話したことを、ただやりなさい。アイデアではなく、実行することが全てだから」
俺はびっくりした。
おじさんからすると、俺は旅行先でたまたま隣に座った青年でしかないのに、おじさんは俺をとても気にかけてくれた。
そして、おじさんは、こういう技術があるとか、ああいう障壁がありそうだとか、色々なことを教えてくれた。
俺はすごく嬉しくて、ありがとうございます、とても励まされました、と言った。気の利いたことを言いたかったけど、英語では言えなかった。
帰り道、俺はおじさんの言葉を思い出しながら、つくづく不思議だと思った。他人の言葉が、なぜこんなにも自分の士気を上げることができるんだろう。
背中を押す言葉というのは、実際に存在する。自分では自分を励ませないほど疲れている時でも、他人の励ましは届く。
そして、もういいやという時に、その言葉がよぎったり、もうやめようかという時に、そういう言葉をかけてもらえたりする。人を生かす言葉とでもいうのか。
どうやら言葉には、人を殺す言葉と生かす言葉がありそうだ。今俺が元気でいられるのは、色んな人が今まで俺にかけてくれた、生かす言葉のおかげなんだと思う。そんな言葉が持つ"見えない力"が、今も俺を動かしている。
俺は、その人たちがかけてくれた言葉にいつか報いたいと思う。期待してくれた人たち、気にかけてくれた人たちに、喜んでもらいたい。
事業がうまくいったら、俺の言葉も今よりかは説得力を持つようになるんだろう。そして、今よりかは広く届くようになるんだろう。その時、俺は人を生かす言葉を吐こうと思う。俺は、人の背中を押す大人になる。
結果を出してないうちに鼻息荒くしても仕方ないが、とにかく嬉しかった。
みんなありがとう。頑張ろう。
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