見出し画像

断易占断:「現地に乗り込んで病気になる可能性があるか」

今回の問いは、お弟子さんからのものです。

自身が面倒を見ている人が実績をあげ表彰式があり、そのメンターとして招待されている。

家族は新型コロナウイルス騒ぎの真っ最中に
わざわざ県外に遠出するのは如何なものかと大反対。
やれ高齢だ、周囲が移ったらどうなるなど
こういう時に普段のあり方の人間関係が再燃して大喧嘩になります。

しかし当の本人からすれば折角のことなので、ぜひ足を運びたい。

そんな思いから

「私は行って新型コロナウイルスに罹りますか、病気になるかどうかを占ってください」

とのお尋ねです。


こうした漠然とした占で判断に迷うのは、
吉凶の基準となる用神を設定することが難しいということが起こります。
もちろん病気になるかならないかであれば「官鬼ー子孫」の力関係やその動きに着目するのは当然です。しかしそもそも出向くこととコロナウイルスに罹るということを積極的に結び付けていいものでしょうか?

現地がコロナ病棟であるとかであれば、上記の判断の元、感染の可否を明確化するのは意義があります。
しかし今回は行くことの意義と病気になることとは本来、別のことです。

また現地に集まる人だけでなく、もしかすると移動の途中において罹患している人と接触することが原因で移るかもしれない…。必ず現地で起こることを前提にするわけにはいきません。

それらも含め、もちろん、易を立てて見なければわかりませんが、
様々な状況がある中でどのような展開が生まれるのかは
一卦多占を禁じ、
分占して判断するのが原則の断易では、
1つの卦で見切ろうとするといろいろな視点が混在して焦点がボケてしまい、基本的に読み取るのが至難の技になりやすく誤占します。

つまり、占う的が漠然とした形で曖昧だと、
全体像をうまく描けずに問題点をえぐることができぬまま、シャープな判断に至らず、占断を誤りテーマから乖離してしまう事になりやすいのです。

しかしそうは言ってもこのご時世もあって、行くか行かぬかは深刻な問題でもある。

こういう状況の場合、行く事によりまず「世爻」がどんな状況になるのか、
それに対応して「応爻」がどんな様相を示すのか、
世応の関係でその展開をまず踏まえるということにテーマを絞っていきます。つまり、「その会合に行ってどうなるのか」と問い、
会合自体が問占者にとってどういう意味があるかの基本を吟味します。

例えば世爻に「官鬼爻」が望めば「災いあり」ということで病気になったり、悩むことになるという意味ですし、
「兄弟爻」があれば出費多くいいことなし
「父母爻」であれば労多くして巧なし
「妻財爻」であればお金になる
「子孫爻」であれば安全
というような具合で見ていこうかな
とあたりをつけます。

さらに必要であれば、応爻にも目を向け
現地がどんな状態か、五行と六親五類などで見極めます。

占った結果は以下の通りです。

辰月乙酉日 午未空亡 / 得卦:火天大有ー天沢履

スクリーンショット 2020-04-13 12.55.31

・世爻に動きがあり「退神」(父母爻)
・間爻である五爻の父母爻が兄弟爻を化出
・応爻は世爻を生じている関係性になっている

断易を学んでいる方は、「あれれっ?世爻が退神!」という事にお気づきになる事でしょう。


基本的に出向占の場合、世爻が退神になるということは、「後退する」の意味を表し、出発せずに控える、という事になります。

何らかの事情でいけなくなる、あるいは自分の意思で行かなくなるのどちらかです。その理由を卦の中から探します。

応爻である相手側、つまり現地は「巳」を示し、世爻の「辰」の原神です。
世爻を生じる関係の「火」で「情あり」ですから、
本来は「来て欲しいです」の意味でしょう。

同時に応爻「巳」は官鬼です。
しかし休囚しており無気の状態で、動いておりませんから
この官鬼自体はコロナウイルスの病気という重大事というよりも
「阻滞にて支障あり」と見ていくことの方が妥当です。

さて視点を動爻に移すと
五爻にある間爻、「未」の父母爻が「申」の兄弟爻を化出します。

これは応爻側の間爻ですから、先方の方での動きの動因であるはずです。
兄弟爻を化出しておりますから「阻隔」を意味すると見て、
飛神父母爻の動きは、「連絡手段」と取れなくありません。
したがって合わせて一本、「中止連絡」という意味に取れます。

よく見れば世爻の辰は土行を入墓させます。
つまりこの動爻の「未」は世爻の「辰」に向かって入墓します。
この場合は「連絡を受けて懐の中に入れる」と見て
世爻の退神、つまり「出向かわない」事への理由になるわけです。

これらの部品から
「おそらく中止の連絡が入り、先方に行く事にはならない」

と判断しました。

そんなわけで焦って結果をお伝えすることもなく、
やらなければならない仕事を優先し、
ひと段落ついた夕方になって、ようやく連絡しようとしたところ、
ちょうど戌時にショートメールが入りました。

「お騒がせしましたが、大丈夫になりましたので御返事は入りません。すいませんでした。」

早速、あらためてこちらから折り返し電話をして内容を確認しましたところ、占断そのままの答えです。

不思議なもので、日辰「酉」と世爻の合が冲の時間の「戌」時の解除が作動して連絡を受けたもののようです。


話題がコロナウイルスという強烈なお話なので、
病気のことばかりに意識が向きがちになり官鬼を用神とし占的とすると、
読み方によってはあたかも応爻に官鬼があり、世爻は生じられる関係にある。
その世爻が退神だから健康面で低下を招く、否、退くのだから本人は病気に罹らない、はたまた行く行かぬの悩み苦しみの父母爻が退神なのでいけば悩みが軽減する、いやいや短期の占での退神だから、この場合はむしろ発動を考えて悩みが増す事になるなど…etc。


例えばこんな風に読んでしまったら迷ってしまい判断に大きなズレを生じます。

このように占う事象のテーマをしっかりと整理して
占う前に何に焦点を当てることが肝になるのかを見極めること
これが断易の手法である「用神を定める」という事の本当の意味です。
占うにあたって最も大事な事になります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?