仲間と作る本

親父の手


僕の親父は僕が幼いころから

あんまり家にいなかった

単身赴任ばっかりで一緒に過ごした記憶があまり無い

仲が悪かったわけじゃないけど

親父にだけは何でもない話というのが

出来なかった

気まずいというかビビってた

小学校の時

僕が居た野球チームの監督をしていたんだけど

さっきも言ったように単身赴任で

練習にも来ないし

試合の時帰ってこれたら来ていたくらい

そして僕はよく怒られていた

へたくそだったからね(笑)

ごつごつででかい親父の手は

叩かれたらそりゃ痛い

というより重かった

そんな記憶しかないから

あまり話しかけれなかったのだと思う

中学でも野球やっていて

そこそこうまくなって

主力メンバーの一人みたいな感じになっていた

そんな時に

僕は中学2年の時にある不祥事を起こした

野球以外でいろんな不満がたまって爆発したって感じかな

母と生活指導兼野球の監督をしていた先生に

めちゃくちゃ怒られて

なんか野球に対する熱が冷めてしまった

次の日、

退部するつもりで部活に行こうとしていたら

久々に親父に会った

怖い顔で近寄ってくる親父

「また怒られるのか・・・」

叩かれると思って僕は歯を食いしばった

手を振り上げる親父

「!!」

僕は目をつぶった・・・あれ?

「・・・ぽん」

僕の頭に手を置いて

「頑張れよ」

そして強く背中を叩かれた

その瞬間僕の目から涙がボロボロ出てきた

小学校の時に感じていた重くてごつごつした怖い手じゃなく

思いがたくさん詰まった暖かくて大きな手だった

思えばだれよりも応援してくれていたのは

親父だった

言葉はあまり交わさないが

中学になってからも忙しい仕事の合間に

試合の審判や練習を手伝いに来てくれていた

親父のおかげで僕はやる気を取り戻し

最後まで野球を続けることができた

あの時の親父の手の感触は

今でも忘れない僕の心の支えになっている

#仲間と作る本

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最後まで読んでいただきありがとうございました。

Twitterで拓さん(@takusan_soudan)主催の

「仲間と作る本~みんなの力で被災地の子供たちの未来を応援しよう!~」という
東日本大震災の被災地を応援する企画で書かせてもらいました
このような機会を与えてくれた拓さんに感謝しています。










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