いかに最高のプロダクトを提供し続けるか

「プロダクトのみが競争優位」であることから、いかに最高のプロダクトを提供し続けるかが、SaaS型プロダクトにおいては勝負所である。

この最高のプロダクトを提供「し続ける」ために、カスタマーサクセスとして用意できることはなにか。過去の経験から有益と思われる取り組みは3つに集約される。

今回は1つ目。ユーザの声をいかにもらい続けるか、そしてその声への対応に満足してもらい続けるかに焦点を当てた取り組み。

取り組み①:フィードバックを受ける窓口と開発進捗のオープン化を図る

某クラウド会計サービス提供のF社や某電子契約サービス提供のB社では、ユーザからのフィードバックの窓口をWEBフォームで設けている。さらに、ユーザからのフィードバックは、開発状況を伝えるスプレッドシート上で、その内容、開発状況、補足説明などを随時更新・公開しているから驚き。

過去のサービスにおいてもお問い合わせ窓口はよくあった。ただ、フィードバックをもとにした開発状況を随時更新・公開していることは少なかったように思う。

この開発状況を伝えるスプレッドシートの存在は偉大である。なぜなら、ユーザとしては自分の声(あれば満足できる機能の希望)がどのような理由でどのように処理されるかがオープンで一目瞭然だからだ。これだけオープンであれば声を上げて見ようと思うし、実際に開発されて機能が提供されれば満足することは間違いない。また、正当な理由で機能が開発されないことがわかれば、代替策を考えるようになるだろう。逆に、開発状況が不透明だと、何度かは問い合わせてみるものの「どうせ声が届かないだろう」と学習性無気力になり、そのまま声が出なくなることは容易に想像できる。

提供者側には、メリットもデメリットも存在する。

提供者には次のようなメリットがある。どのような機能があれば最高のプロダクトになるかその評価者のユーザからの直接の声が聞ける需要把握の側面、個別のユーザに機能の有無や開発状況を都度説明しなくても良くなる効率化の側面、将来提供する機能の展望を伝えることによる魅力づけの側面などである。

一方で、次のようなデメリットもある。競合他社に機能を真似されることだ。真似されることで、先に機能をリリースされユーザを奪われる、あとから追随され差別化要因がなくなる、開発の狙いが見えるため先手を打たれるなどのリスクが大きくなる。

果たしてこのデメリットを受け入れてでも、開発状況のオープン化を実施すべきか。
答えはテックタッチやロータッチであれば、Yesだ。最高のプロダクトには、実際のユーザの声は欠かせない。(超能力者でもない限り、すべての機能を演繹的に洗い出せないし、優先順位もつけられない)
ハイタッチの場合は、ユーザとの関係づくりさえ正しくできていれば、お問い合わせフォームに書かれる以上の声を聞けるだろうから、必須ではないと思う。

オープン化しても、競合に負けず大手に飲み込まれずに最高のプロダクトを創るためには、最高のチームが必要である。チームの話は別の機会に書く。

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