いかに最高のプロダクトを提供し続けるか 〜取り組み③:ユーザ会〜

前回は、最高のプロダクトを提供し続けるための取り組み②として、ドッグフーディングを行うことで、ユーザの声を実感し、納得して機能開発に取り組むことについて書いた。

今回は3つ目。ユーザによる直接的な声の収集、事例発表、ファンづくりなどを目的とした取り組み。

取り組み③:オフラインでのユーザ会の開催

ユーザ会は、対面でユーザの声を直接得られる稀な機会だ。もちろん準備や運営は、他の方法に比べて大変であることは間違いないが、ユーザの表情や声のトーン、他のユーザのうなずき具合などから直感的な要望を知ることができる。

ユーザ会は、大きく2つに分けられる。

1. PAC(Product Advisory Council: 製品諮問機関)
   - 日本であまり聞かないが、代表委員会/会合などのイメージ
2. COP(Community of Practice: 実践コミュニティ)
   - 日本でよくあるのは、カンファレンス/セミナー/勉強会など

1. PACの方は、あまり聞き慣れない会だ。「カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10の原則」(英治出版)によると、下記のようなPAC会員に対する基準を設けるとよいと書かれている。

・製品ビジョンを戦略的に進めるために、最高幹部または幹部レベルが参加する
・PACへの申請が完了したもののみが会員になることができる
・会員は、1年間PACに積極的に参加する
(以下、省略)

これは、プロダクトの開発項目や優先順位を決める代表委員会のようなもので、このようなプロセスで民間企業のSaaSプロダクトの機能開発項目や優先順位が決まるとは考えにくいが、優良ハイタッチのユーザへの囲い込み策としては一手なのかもしれない。

2. COPの方は、カンファレンス/セミナー/勉強会など日本でも馴染みの多い会だ。内容も参加するユーザに合わせて、操作説明をはじめ、事例紹介、新機能/プランの発表、表彰など様々な内容が挙げられる。

COPは、ユーザ同士の共同フォーラムとして横のつながりを得られるのも大きい。ユーザが抱える同じ課題について、ユーザ同士で教えあい協力しあってもらうことができれば、同様の意見をまとめてフィードバックしてもらうことができる。もちろん、懇親会で親睦を深められるとなお良い。

某採用支援プロダクトを提供しているB社では、ユーザ会として、自社のプロダクトの説明ではなく、採用自体に関する課題や悩みについて有識者を招聘して講演などを行うこともあるという。このように、プロダクトを利用することで得られる先の世界観をユーザと共有することも可能だ。

このようにオフラインでのユーザ会は、オンラインでのやり取りよりも頻度は圧倒的に少ないものの、オンラインでは得られないメリットが存在する。プロダクトが一定の規模になってきたらぜひとも開催し、プロダクトを愛するコミュニティの場として機能させたいものだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?