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ほんとうはドーナッツを買いに行くつもりだったんだ

ほんとうは、ドーナッツを買いに行くつもりだったんだ。

なんだけど、すっかりそんなことは忘れていて、なぜだか今急に思い出した。

ドーナッツ、ミスタードーナッツ。

家から一番近いお店はいつも混んでいて、たまらない。
だったらweb注文という便利な方法があってだな、と家族が教えてくれたけど「いや、店頭で迷うのがすきなんだ。わたし」なので、どうしようもない。
くわえて、買うなら昼間がいいな、だっておやつに食べられるでしょとか思ってしまうから。ますます、どうしようもない。

どうして買いに行かなかったんだっけ?
理由はあって、ないような。
なぜだか出かけるタイミングが合わなくて、とかそういうの。そんなことばかり。最近わたしのタイミングはぜんぜん合ってない。やろう、やりたいって言ったことがぜんぜんできていない気がする。落ち込んでいるわけじゃないけれど、ドーナッツだけは近いうちに買いに行かないといけない。なんでかって?だって、誕生日にもらったギフトクーポンの期限が近いから。それだけ。

ドーナッツのあるテーブルを想像する。
たっぷりのカフェオレをマグカップに注いで、ヤマザキのパン祭りでもらったお皿にのせる。明らかに大きすぎるお皿に、所在なさげなチョコレートドーナッツ。わたしは早食いなので、お皿にのっていたのは一瞬でしかなくて、そのまま置いておいたら気づかず家族が使うだろう。

まぁ実際には、わたしはすぐに片付けるから。
家族の誰も気づかないままドーナッツを食べて、お皿を片付けて、カフェオレを飲んでいるわたしだけがテーブルの前に残るのだ。

自分のことは見ることができないのに、見てきたように画が浮かぶ。
だけど、ドーナッツ。
けっきょく買いに行かなかったわけで、食べたような気がした味も、見てきたような画も、何もかもが虚無。
今日もわたしは家でじっとしていたんだ、ただそれだけの一日だったんだ。

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