「Peace sells」

ある日の事だ。
  ほろ酔い気分で中野駅を降りたおれは、ちょっと買い物しようと回り道した。もう午前1時。この時間だと大分遠回りになるな、、、、
 
 「、、、っと、兄さん、ちょっと、、、、
 
 北口サンモールの路地を曲がったところで、呼び込みが声をかけてきた。この時間はこんなのが多くて、本当に面倒だ。
 
 「すいませ〜ん。キャバクラとか興味無いんで〜、、、、
 「いいから兄さん、10万で売ってくれよう。頼むよう。
 
 、、、、、、!!!!!10万!?何?確かに今月は家賃光熱費劇団のチケットノルマその他諸々払えず、ちょうど10万ぐらい困っているのだけど、、、
  「!!!?はい?何が10万?
 
 ほろ酔い気分に任せて、おれはつい尋ねた。
 「世界の平和だよう。なあ、頼むよう。
 「?ああ?人が酔ってると思ってからかってんの?
 「嘘じゃないよう。ほら、現金で10万円。
 
 そういうと男はスーツから、裸で万札を無造作に取り出した。「、、、8,9,10万円。良かったら確かめてくれよう。
 「、、、おうおう、売る売る平和。何?領収書とかいらないの?うん、、、、OKOK、、、。よし!今さら返せとか言うなよ!おい?
 「確かに買ったよう。

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 頭痛が重い。
 
 最近の二日酔いはいつも頭にくる。ジーンズのままベッドにいたおれは、脱ごうと腰に手をかける。、、、?
 ジーンズのポケットには、無造作に突っ込まれたままの1万円札数枚。鏡を見ると、おれの胸元には「“平和” 確かに領収しました。金10万円、、、」云々、、、。
 
 それから毎日。
 二日酔いでテレビをつけると、相も変わらず酷い事件は起こり、世界のどこかで3秒に1人子供が死んでいた。
 
 でも、そんなニュースを以前と同じ気持ちでは見られない。だって、世界の平和を売ったのはおれなんだもの。10万円で。

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