「魔女なんかじゃない。」
「いやぁぁああ!来ないでぇ!お願い…
「ちょっと!落ち着きなってキッキ。…あ、すみませんねーびっくりさせちゃって。すぐ落ち着きますからこの娘。
「ごめんねトソボ本当にごめんごめんごめんなさいごめんなさい…
「アンタしばらく店は頼んだよ。キッキ、ほらこっち来て座って。これ飲んだら落ち着くよ。
「私が悪いんだ私が魔法を使えなかったせいでトソボは死んだんだごめんごめん…
「…キッキ…
「肝心な時に魔法が使えないんじゃない私魔女なんで名乗れないしもう一生魔法使える気がしないし私もう価値が無い
「キッキよくお聞き。あの坊やが飛行船のロープから落ちたのはあなたのせいじゃないの。助けたかったあなたの気持ちはよく分かる。でもね、そんな風に自分を責め続けったって何にもならないじゃない。
「私はゴミクソ以下価値が無いもう生きてる意味を感じない嫌だ嫌だイヤ嫌嫌嫌い嫌い消えて無くなりたい
「…キッキ!?え、ちょっと!!やめなってそれ以上は!!!よこしなさい。本当に死んじゃうよ。
あーあ。
真っ暗だ。
あれ?
そもそも何であたし魔女になんかなったんだろ。
魔法。他の人には出来ないこと。使うのが気持ちよかったし、みんなが喜んでくれた。
私は普通の人とは違う。選ばれた才能を持った魔女。普通の人と同じことする必要なんかない。
この街に来てからしばらくして、魔法が使えなくなったのだって、仕方ないと思ってた。あたしの魔法はあたしにしか使えないすごい才能なのに、この街のみんなはそこまでちやほやしてくれなかったんだ。
宅急便がすぐに、思ってたほど早くも珍しくもなくなっちゃって。みんなをがっかりさせたくなかったから、無理して件数こなしているうちに、なんか、そもそも飛んで荷物届けるの意味無くない?とか考えるようになっちゃって。
なーんだ。あたし、もっと大事にして欲しかっただけだったのかも。
トソボ。君は分かってくれたと思ったのにね。本当にごめんね。
もういやだよう。
ずっと前から魔法なんか使いたく無くなってたんだよう。
あーあ。
目が覚めたら全部夢だったらいいな。
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