「ドラミネーター」

壊れたDVDプレイヤーとコードを手に、一心不乱にジャック付近をいじっている山田少年。

山田「ふっふっふ、、、貴様、弟の命を助けたいか?助けたくばこの赤と白どちらかのジャックを引き抜け。間違った方を選んだら弟の命は無いぞ、、、細心の注意を払えよ。(赤を引き抜く)、、、ブッブー!!残念ながらはっずれー!約束通り貴様の弟には死んでもらおう!(ぬいぐるみを壁に投げる)、、、そうだもう一つ覚えておけ。俺はよく約束を破る。(もう一個ぬいぐるみを壁に向かって投げて)やはりお前も死ね!ケケケ!
 

、、、ふーん、つまんないよー。学校を無断で欠席し始めてから一週間。登校しなさいと口うるさかったママは三日目から憐れむような視線に変わり、四日目には僕は言葉を一言も発しなかった。五日目からは独り言が始まり、七日目の今日は部屋にあるもので「幽遊白書」と「北斗の拳」ごっこを始めるに至る、、、。部屋から一歩も出ないで過ごすこの有様、後の時代では一体どう呼ばれるのだろう。引篭もり?ニート?人類進化の過程で生まれたニュータイプ?ただ言えるのは、ただ独り言言ってるのはものすごくつまんないって事だ、、、、
 そもそも僕が不登校になったきっかけは、ありきたりだとは思うけれどイジメ。葬儀屋の子供の伊藤とレコード屋の子供の野村、あと、、、

 電話が鳴る。

山田「うわっ!!びっくりした!、、、ママー!電話だよー!?マーマー!!、、、(10コール程で切れる)ママいないのか、、、。いい加減もうすること無いよ、、、いっそもう登校しようかな、、、?そもそも自分で勝手に思ってるほど大した理由でもない気も、、、

 再び電話鳴る。

山田「わお!、、、ママー!いないの?つーか誰だよ何度も。ま、まぁ独り言もそろそろ飽きたし、ちょっとぐらい他人とボランティア感覚で話してあげてもいいかな、、、べ、別に淋しくなったからとかそういう訳じゃないんだからね!(切れる)何だよ!人が折角電話での会話をきっかけに立ち直ろうと勇気を振り絞ったってのに!バーカバーカ!

 三度電話。

山田「(飛びついて)はいもしもし山田です!
 
声「、、、遅っせーよバカ!!!電話の近くにいるんだから早く出ろよ!
 
山田「、、、バ、バカ、、、?え、、どちら様で、、、
 
声「、、、あーそうか、この時代のおれってのは飲み込み悪い上に引っ込み思案か。メンドくせー事この上なし。だがしかし、過去の自分自身と電話越しとはいえこうやって言葉を交わしたからこそこういう思考に思い至るきっかけとしてしかし改めて、、、

 山田電話切る。

山田「、、、何だか分かんないけれどものすごくメンドくさそうだ!久しぶりに話す相手としては全く向いていないぞ、、、

 電話鳴る。

山田「出ない!出ないよ!

 電話切れ、再び鳴り出す。3コール鳴って切れる、が4回ほど繰り返される。

山田「誰だか知らないけどいい加減にして下さい!!
 
声「、、、電話を切らずに話を聞いておくれ、ヤマ太、、、、
 
山田「いやいや!さっきの人でしょ?僕が知らない人の真似をしてるだけでしょ!?
 
声「ヤマ太、お母さんの声も分からなくなってしまったのかい、、、?お母さんはね、40年後の未来から危険を顧みずお前のためにこうやって電話をしてるんだよ、、、
 
山田「いやいやいや!どう考えてもイタズラ電話でしょ!ホント誰あんた?
 
声「ヤマ太、お母さんはいつだってお前の事を思ってるんだよ、、、。今電話代わるから決して切らずに最後まで話を聞くんだよ、、、
 
山田「もう切るよ!
 
声「、、、母さんの話は聞こえたかおれ。いや、山田ヤマ太。
 
山田「マジ誰?伊藤くん?自宅にイタズラ電話って酷くない?
 
声「、、、って言っても、お前っていうかそっちのおれはさっぱりピンと来ないんだな。良く覚えてる。
 
山田「伊藤くん!本当にやりすぎだよ!?

声「、、、懐かしがってる余裕は無いな。いいからよく聞けおれ。

山田「おい!聞けよ伊藤!葬儀屋の息子のくせにゴルァ!
 
声「面倒くさい説明は省く。今のおれ達の時代は、そっちのおれの時代から40年後、2031年だ。そして今のおれ達、というか人類は絶滅寸前なんだ。今から詳細を伝えるから、とりあえずお前の携帯のアドレスを、、、

 電話切る。

山田「ハア?イジメも手が込みすぎだろ?不覚にも途中まで聞いちゃったじゃねーか。携帯カイロにアドレスもドレスもあるかよ!

 しつこく鳴る電話。無視しようとするが結局出る山田。

声「そっそ、そう来たよねーおれ。なつかしー。

山田「しつこいぞ葬儀屋息子!!やりすぎだろ!
 
声「あーそうだそうだ、1991年は携帯無かったんだよね。自分ながら面倒くさいな。
 
山田「おい伊藤!おれの話も聞けよゴルァ!

声「悪い事言わないから最後まで聞けヤマ太。そっちから40年後のオマエであることの今のオレは、かいつまんで言うなら世界を救う切り札だ。キーだ。キーマンだ。ファーストチルドレンなんだ。
 
山田「、、、何ちょっといい感じなんだよ。その手に乗るかバーカ。
 
声「2031年はとにかく酷い事になってる。正体不明のエイリアンがインターネットに侵入してからわずか1年で、アメリカもロシアもEUも崩壊。猫型殺人ロボットの跳梁にかろうじて抵抗してるのが、中野区在住の未来のオレ達ってわけ。
 
エイリアンは中野区の意外な抵抗に業を煮やしたか、その凄まじいテクノロジーで過去の自分を殲滅しようとしてきた。そっちの時代に猫型殺人ロボットを送り込んで、エイリアンを殲滅する科学者であるおれを、過去つまりそっちの今に遡って始末しようってわけさ。
 
山田「、、、、
 
声「とりあえず2031年の動画を送りたいから、携帯のアドレスを、、、

 電話切る。

山田「、、、あっぶね!何それ?うっかりその気になっちゃうとこだったし。、、、未来からロボットがおれを殺しにやってくる!?うーんありそうで無かったアイデア。ハリウッドで映画化して欲しいところだけど、、、

 またもや鳴る電話。

山田「、、、まあ詐欺だって分かったら切っちゃえばいいか(出る)。もっもしもしぃ!それでそれでどうなるの?
 
声「バカヤマ太!このあたしがわざわざ電話かけてあげてるんだからワンコールで出なさいよ!
 
山田「、、、その声はもしかして、しずかちゃん!?
 
声「バカヤマ太のくせに何興奮してるのよ!べっ別にあんたが心配で電話かけたわけじゃないんだからね!?勘違いしないでよ!
 
山田「だっだだっす!!しずかちゃんの声聞けて超元気になったであります!ご馳走様です!
 
声「バカヤマ太!あんたって本当にどうしようも無い豚ね!今加持さんとデートで井の頭公園なんだけど、そこでものすっごいもの見ちゃったから、バカヤマ太にはもったいないかなって思ったんだけど、一応教えてあげるのよ!
 
山田「、、、え?しずかちゃん!?加持さんって誰?
 
声「すっごいの!今までどこに隠れてたの?ってくらいの沢山の猫が!公園中にいるの!木の上にも池のボートにも溢れちゃって、もうにゃんにゃんにゃんなの!ほんとカワイイの!まあ猫好きのアタシにはたまんないっていうか!
 
山田「、、、猫だって?
 
声「加持さんも周りの人もみんなあわてちゃって、何か警察まで来そうな勢いなんだけど、アタシはもう超ハッピーって感じで?バカヤマ太はどうせ一歩も家から出ないでいじけてるだろうから、わざわざこのアタシがお知らせしてあげたの、、、

 電話切りテレビを点ける山田。
とたんにテレビから響き渡る猫の鳴き声。

リポーター「、、、このように大量の猫が突然繁殖し始めたのは、過去にも海外にも例の無い異常な現象です。ご覧のようにこの井の頭公園中のありとあらゆる場所が、様々な種類の猫によって埋め尽くされています。目下警察、消防隊が捕獲作業を行っていますが、次から次へと数を増やす猫達に手をこまねいている状況、、、(フェードアウト)

山田「、、、さっきの電話、、、未来から猫型殺人ロボットが来るとか何とか、、、いやいやまさかまさか!!、、、イタズラだし偶然偶然、、、

 突然鳴り響く無機質なSE。

山田「何何々!!?
 
声「、、、クンクン、、、クンクン、、、臭う、臭うゼェ、、、

山田「ママ!?帰って来たの?変なイタズラはやめてよ!
 
声「、、、ケケケ、、、臭う、臭うゼェ、、、両親にスポイルされ切って引篭もったあげく、自意識とプライドだけが肥え太ったガキのションベンの臭いが、、、
 
山田「ママ!?ママなんでしょ?お願いだからちゃんと返事をしてよ!!
 
声「いーぞぅ!!その調子でもっとわめけ!泣き叫べ!助けを請え!!お前の悲鳴の一つ一つで俺はいきり立ち欲情しさかりがついて!腐ったお前の脳髄に電極をブチ込んでやるぜボーイ、、、愛してるぜ、、、
 
山田「ママじゃないの!?嘘だ、、、こんなの現実じゃないよ、、、ママ、、、しずかちゃん、、、僕を助けてよ!!!!

 荘厳なメタルのイントロと共に扉が開き、真っ青な影が姿を現す。

影「喜べチェリーボーイ。今夜から俺がお前の神だ。お前の腐った現実は全て書き換えられる。俺は歩く聖書。紀元前と現在と未来を繋ぐ生けるミッシングリンク。泣ぐ子はいねかぁーーーーー!!!!!!
 
山田「ひいいいぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!
 
影「おいお前!おれの名を言ってみろ!そうだ俺はお前がこのゴミ溜めから転生するために未来からやってきた、胸に七つの傷を持つ第十四だか十五使徒、、、俺の名は!!

 全身真っ青な男がマイクを手に現れる。左手には二つの生首的な物ぶら下げて。

男「ドラミネーター!!!!!!!

 主題歌「ドラミネーターのテーマ」 歌:ドラミネーター

 アニメ好き マンガ好き ネットが好き 二次元の世界で 生きたいよ
 あげるよあげる 叶えてあげる 僕の二次元ポケットで!

 ガキのチンケな妄想が 俺のガソリン ある意味エコ
 ジーザスのゲロから 生まれた俺 暗黒の未来から I'll be back!!

 ドラミネーター 願ってみろ
 ドラミネーター 拍手をしろ
 ドラミネーター 一人にしないでくれ
 
 エ○クス 感じてみろ
 エッ○ス 叫んでみろ
 ○ックス 心燃やせ

 TOS○Iの如く歌いきったドラミネーター、感極まった様ですかさずオーディエンスを煽るかのようなパフォーマンス。

ドラ「オイオイオイオイオイ!!!!テンション低いんじゃねーのかよヤマちゃんよー!!この俺様が、ジーザスクライストスーパースターの俺ドラミネーター様がさぁ!お前というオーディエンス一人の為にぃ!ライブハウス武道館ことお前の部屋にラストギグスしに、未来的な時代からわざわざ来てやったんだゼェ!!?アゲてこーぜー!!
 
山田「、、、そっそれそれそれぇぇぇ!!!!その手に持ってるの!!!???
 
ドラ「(聞いてない)足りねぇ足りねぇ、、、ウッドストックやフジロック並みにロックンロールの歴史に残る伝説の夜になるには、悲鳴も歓声も生贄も全然足りやしねぇ、、、(左手に持った生首的な物を掲げながら)Are you ready to Rock!?
 
山田「だからそれそれ!!その!首!!、、、まさかぁ、、、!!!!!
 
ドラ「オイオイ!!このドラミネーター様がサプライズも無しにギグするわきゃねーだろうがよぅ!チェリーボーイのチンケな悩みなんざお見通しだぜ。手土産代わりにお前の願いを一つ叶えたった。
 
山田「、、、僕がまさか、伊藤くんと野村くんを殺してくれって頼んだって言うの!?
 
ドラ「(ブチ切れて)俺の前で二度と嘘つくんじゃねーぞクソ餓鬼がぁ!!!二次元ポケットナメてんのか?あ゛あ゛!?
 
山田「嘘じゃないよ!、、、確かに僕は伊藤くんと野村くんにその、いじめられてたけど、、、

ドラ「チャチャラーン、、、『どこでもファッキンハッキン』!!コイツは対象者の深層心理を強制的にハッキングして、そいつの願いを完全に叶える。必ずだ。分かりやすく言ってやろうか、お前は心の中でこいつらに死んで欲しいと思ってたんだよ!ケケケケケケ!!!
 
山田「そんなぁ!酷いよ、、、あんまりだ、、、
 
ドラ「コイツらよう、ヤマちゃんの名前で校舎裏に呼び出したらノコノコ現われやがってさぁ。マジで追い込みかけてやって、逃げ場が無いって分かってからの悲鳴、最高だったぜぇ、、、
 
山田「やめろよ!聞きたくない!!
 
ドラ「お前さぁ、ずいぶんショボいのにいじめられてたのな。マジ弱すぎると違うんか!?二次元ポケットの出番また来ちゃったの巻!?タイムマシンで石器時代に連れてって鍛えなおしたろか?オイコラ!
 
山田「、、、やめてやめてやめてやめて、、、、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい、、、、
 
ドラ「やめろよその顔!これじゃ俺がお前のことイジメてるみてーじゃねーかよ。おい!俺様はお前の事イジメてなんかいねーよなー!これはイジメじゃねーよなー!?返事しろコラ!!
 
山田「、、、違います違います僕はイジメられてなんかいません本当に違います、、、
 
ドラ「チッ、これじゃ仕事になんねーな、、、。おいガキ!俺様の二次元ポケットがお前の願いを叶えたいって疼いてかゆいんだよ!何かねーのかよね・が・い!?
 
山田「、、、無いですそんな事急に言われても分かりません、、、
 
ドラ「(再びブチ切れ)こんガキャー!!人が下手に出てりゃーナメくさりやがってゴルァ!?俺様の事が信じられないんか?じゃーじゃー出してやるよ道具!よう見とけコラ!!
 
山田「、、、ヒィッ!!!(殴られるかと思って)
 
ドラ「ババンバーン!!!!(ポケットから下手な絵の描かれた紙取り出して)『どこでもドア』―――!!!!(次々紙をめくりながら)このドアを開けるとあら不思議!ここは、井の頭公園だー!!見てみてほら!公園中に俺様の仲間がいっぱい!超ハッピー、からの、『タケコプター』―――!!!上空から眺める井の頭公園は、今日は猫だーらけー!!!にゃーん!!
 
山田「、、、、
 
ドラ「(鉄拳みたいなノリで)からの、お約束入浴シーン!!デデーン、、、ドアを開けるとそこは、銭湯の女子更衣室だ―――!!!ババァ共に混じって、さかりのついたスケベそうなOLが、スカートを脱ぎ、ブラジャーを取り、ついに最後の、、、、、ってオイ!!何だよその無反応!?俺様がこんだけ体張ってんのに拾わんかい!『二次元ポケットだから紙で二次元?』とか何かあるだろうが!台無しだよ!
 
山田「、、、すみません僕が全部悪いですごめんなさいお願いだから帰って下さい、、、
 
ドラ「やめろっつってんだろその顔!!!ライブはパフォーマーと客が一体になって作るもんだろーがよう!盛り上がれ!お前が盛り上がる事で俺様をもっといい気分にさせろ!!

山田「、、、知らない知らない知らない何も分かんない分かんない分かんない、、、
 
ドラ「あーあなーんか俺もちょっと下がっちった。景気付けに一発行っとっか!?『核弾頭』―――!!!(手の中のスイッチ押した様)

 巨大な建物が倒壊したかのような凄まじい爆発音。

山田「うわっうわっうわっうわっ!!!!
 
ドラ「イヤッフー!!!!!喜べごみ太ぁ、お前の不登校の原因を作った杉並第四小学校は、たった今ぁ、木っ端微塵になりましたぁ!!

山田「、、、知らない知らない僕は関係ない知らない分かんない、、、
 
ドラ「こんガキゃァ!!!シケた面してねーでもっと望め!願え!!妄想しろよ!!!思考は全て現実化するって学校で習わなかったか?俺様はなぁ、ノリ悪いのが一番デェっ嫌いなんだよ!!!!もう一人くらい殺したろか?
 
山田「、、、、
 
ドラ「、、、へぇ、しずかって言うんかヤマちゃんの好きな女。さぞいい悲鳴を、、、
 
山田「関係無いって言ってるだろう!!!

 
今まで生きてきた中で一度も無い程のテンションで逆ギレする山田。

 
山田「関係ない関係ない関係ない!!!勝手なことばっか言ってんな!!学校を壊せだの伊藤くんと野村くんを殺してくれだの、そんないつ僕が頼んだ!?何が未来から来た神だ?何がしたいんだよ!?本当は大してやりたい事無いんだろ!?出てきたはいいけれど困ってんだろ!?行き当たりばったりなんだろ?ほら、さっさと僕を殺してみろよ!!でなきゃ全部元に戻せよ!!ふざけんなよバーカバーカバーカ!!、、、、

 
悪鬼のような形相で罵詈雑言に耐えるドラミネーター。しばらく間。

 
ドラ「(山田の肩に手を置いて)そんな顔出来るんだな。やれば出来んじゃん。

山田「、、、、、、、、、、、、、、、、、、、ハァ??
 
ドラ「フフフ、、、。やっと探し出せたよ君のやる気スイッチ。沢山仕込んできた甲斐があった。覚えとけ、君には才能がある。演技することで自分の願った事を全部現実に出来るんだ。イジメになんか負けるな。これからの人生でもし挫折しそうになったら、演劇が君を助けてくれるさ。その事を忘れないで。
 
山田「、、、は、はい。何だか分かんないけどありがとうございます、、、
 
ドラ「(生首的な物持ち上げ)これ作るの結構苦労したんだぜ!気が向いたらまた来るよ。じゃあね!

山田「あ、あの、、、

ドラ「16時57分40秒、対象者の洗脳完了。彼の脳内は完全にリローデッドされ、今後の人生において人格的に成長すべき場面で必ず幼児退行を起こし、妄想ばかりを肥大させたあげく演劇に逃げ込むことが予想される。引き続き監視の必要無し、これより帰還する(チンタラ去る)。

山田「、、、僕に、、、演技の才能がある、、、?いやいやまさか、、、只の痛いおじさんの言った事なんか真に受けてどーすんのよ、、、

山田の声「気がつくと朝になっていて、僕はようやく部屋から出た。パパもママも何事も無かったかのように『おはよう』と言ってくれる。学校はむしろキレイ過ぎるくらい見たまんまだし、伊藤くんも野村くんも相変わらず僕をイジメてくる。帰りに井の頭公園に行ってみた。象もリスも猿もモルモットもいるのに、猫だけは一匹たりとも見当たらない。いろいろ考えたけれど、説明がつかないのでもう忘れよう。演劇なんて絶対やらない。

(終)

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