遠回りが効いている

最近、イチロー選手が野球について語った動画を、見る機会がありました。

対談中の彼の言葉が、“野球の枠を超えて、人生に当てはまる”、と話題になっていましたが、私も、心を動かされました。“何事も近道はない、と僕は思う。例え近道があって、求める物が手に入ったとしても、深みは出ないだろう。遠回りというのは、非常に意味のあるものだと思う”、という趣旨のお話でした。

私は、新卒で入った会社で大きな挫折をし、燃え尽きて、留学・ワーキングホリデーに出ました。新たに目標を設定したものの、あちらこちらと転職をし、正社員に派遣社員、フリーランスに現在の契約社員、と、いろいろな就業形態も経験しました。途中にはうつ病も経験し、人生を諦めかけたこともありました。

履歴書を書いていると、この、ワイルドな回り道と向き合わなければならないので、それにしても、もっと近道はなかったのか!?と思うこともあります。ですが最近になって、過去の間にやってきたことが、あれっ、という場所で役立っていることを実感し、不思議な気持ちがしています。

最初に勤めた会社では、パソコンのショールーム勤務でした。ショールームなので、広く浅く、という感じではありましたが、コンピュータの基本的な知識や、ネットワークやインターネットの概略など、いろいろ勉強しました。膨大な量の専門知識は、ザルを通すように、殆ど流れ去って行きましたが笑、使われる機器を実際に見る機会が多くあり、いろいろな方向からの説明を聞いたおかげで、漠然とした仕組みが分かり、また、その動きには、不確定要素が多いことも、叩き込まれました。

今の職場では、本社間のネットワークに繋がる仕事用のパソコン、また、建物の共用部分から専有部分入口までの回線の管理はフロントが担当なので、本社のネットワーク管理者や、NTT他の回線事業者との、やり取りが発生します。

概念を掴まないと、目に見えないネットワークなどは特に、説明もできなければ、話を聞いても全く形が頭に入ってこないので、苦労する人が多いようです。素人感丸出しでも、相手と何とか話を噛みあわせ、必要情報を伝え、問題を解決していくのに、この、“なんちゃって知識”が、非常に役に立っています。

この他にも、後々必要になった知識を習得する際に、過去に培ったベースがあったおかげで、非常に理解のスピードが早かった、または、アピール材料になり、人から共感や応援、信頼を得られた、といったことが、幾つもあります。“遠回りは、人生を豊かにする”と、私も信じています。

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