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テルマエ展へ パナソニック汐留美術館

2024年4月、テルマエ展を見にパナソニック汐留美術館へ初めて行ってきました。

映画「テルマエ・ロマエ」を観たことがあったり、ヤマザキマリさんの漫画も読んだり、以前、そんなに興味ないのに東京都美術館で開催されたローマ展に行って大満足で帰って来たこともあり、

テルマエ展のチラシを目にしてから行く気満々でいました。

この展覧会は4月6日からスタートということで、約1ヶ月首を長くして待っていた展覧会でした。

以前のローマ展はクラシックな感じで背筋を正して挑んだ記憶がありますが、

今回のテルマエ展は気持ち的にはとてもリラックスして楽しむことができました。

テーマが「お風呂」なので、自然と気持ちも緩みます。

左が「永遠の都ローマ展」の図録
右が「テルマエ展」の図録

行ってみた感想は、
ローマの人々の日常生活に始まり、美意識やお風呂の文化が適度な量で、しかも分かりやすく展示されていてとても興味を持つことができました。

特に…
①当時の日常で使われていたガラス製品を見ることができたことや、
②生活用品のモチーフが興味深かったこと、
③それから娯楽の多さなど当時の豊さを知ることができたことは、
美術史ビギナーの私には大きな収穫でした。

初めてのパナソニック汐留美術館

新橋駅を降りて、汐留口へ。地下への階段を降りてまっすぐ行くとありました!テルマエ展の大きなポスターです。

テンション上がります!


ひたすらまっすぐ行きます。

看板を頼りに進みます

パナソニックの展示場の脇の通路を通って行くと、美術館への入り口にたどり着きました。

こっちで良いのか不安
ポスターを発見して一安心です

美術館はパナソニック東京汐留ビルの4階にあります。

ローマ時代のガラス製品にうっとり

前半の1章2章ではローマ人の暮らしとお風呂のことについての展示だったのですが、その中でもガラス製品の展示が結構多かったです。

一見、ウチで使っている汁椀のようなこちら↓の小さなお椀もガラスでできています。

図録より

この赤色はガラスの原料に銅を加えることによって出されているようです。

マットな感じでまるで漆器のようですよね。これもローマンガラスという括りになるのでしょうか。

こちら↓ミルフィオリ(千の華)と呼ばれる作り方をしているガラスです。

図録より


その名の通りですね。とーっても繊細です!これは女子ウケしそうな柄です。

2000年以上の時を超えて、ここで出会えたと思い、見入ってしまいました。こんな柄のバッグとか、スカーフとか、あったらかわいいですね。

それからガラス製品は食卓以外のお風呂場でも大活躍だったようです。
これら↓のガラスはオイルを入れたり、石鹸代わりの粉を入れたりして使っていたようです。

図録より

写真右下のガラス瓶はバラの香りを散布するために使われていたそうです。なんておしゃれなんでしょうか。

そして、ひとり大興奮したのがこちら↓

図録より

以前、こちら↓の本で(表紙にも載っています!)見かけていたので、本物を目の前に大興奮してしまいました。

ゴールドバンドガラスという技法を使っていて、金箔のガラスと色ガラスが溶け合っているとのことです。

作られたのが1世紀とあります。日本はまだ縄文時代真っ只中。すごいなぁ。

展示されていたガラスの多くが岡山市立オリエント美術館と平山郁夫シルクロード美術館から来ていました。どちらも機会があれば行ってみたいと思いました。

身分の低い人でも日用品の装飾文様となる

奴隷である剣闘士がモチーフに

ローマの人たちはとても美意識が高かったというのはどこかで聞いたことがあったのですが、今回の展示会で面白かったのが装飾文様でした。

こちら↓はランプとして使われていたものらしいのです。

図録より


何の絵が書かれているのかと見てみると、植物や動物、それから神様などは分かるのですが、剣闘士がモチーフになっている物もありました。

剣闘士は奴隷がその役を担っていたと解説にあったので、奴隷をモチーフにするというその感覚がおもしろいと思いました。

私の奴隷のイメージが偏りすぎているのかもしれませんが、こんな素敵なランプに描かれる奴隷もいるんだなと。

お風呂でも様々な身分の人たちが(時には皇帝も)一緒になって裸の付き合いをしていたようなので、使いっ走りではあるけれども人としての尊厳は保たれていたということなのでしょうか。

古代ローマ人も犬好きだった

それから犬もこのランプに限らず、お風呂グッズをまとめる輪っかになっていました。↓

図録より

調べてみると、古代ローマ人は犬に霊的能力を感じていたようです。

けれど、それよりも現代と同じように普通にペットとして犬と共に暮らしていたようで、ちょっと笑ってしまうくらい犬への愛で溢れるローマの人たちの言葉がたくさん出てきました。

ローマ人の生活水準の高さを実感

展覧会は最終章で日本のお風呂文化についても触れています。

豊臣秀吉や武田信玄が隠し湯を持っていたことなど初めて知りました。
こちらはケロリンの桶↓東京型と子供用です。こんな違いがあったなんて!


日本のお風呂文化が一般に広まったのは江戸時代で、湯屋も増え全国各地に温泉場が整備されたそうです。

けれど、ローマは紀元前30年にはローマ市だけで170ヶ所、4世紀には1000ヶ所のテルマエがあったとか。

きつい労働の後に、剣闘士や演劇、そしてお風呂。食べる物にも困らず、食事は暖かかったそうです。

それならきつい労働も頑張れそうですよね。

ローマ時代の皇帝たちは人間の心理を分かっていてうまく利用していたのかも。

やっぱり良い思いさせてもらったら悪い気はしないですよね。

出口を出たところには今回の展覧会の監修をされている青柳正規氏(東大の名誉教授でしかも山梨県立美術館の館長!)の映像も流されていました。

その中で「ローマ人の生活水準はとても高く、イギリス産業革命が起こるまで人類のどこも成し得ることができなかった」と話していたのが印象的でした。

まとめ

お風呂がテーマだったこともあり、私のような美術史ビギナーでも気軽に楽しめる展覧会でした。
それでいて、古代ローマの人たちの生活に想いを巡らせることができました。

図録にありましたが、現在のイタリア人は古代ローマ人のようなお風呂文化は持っていないそうです。

そこは残念なのですが、同じようにお風呂を愛する民族なので、古代のローマ人には親近感が湧いてしまいます。

また、ヤマザキマリさんの絵が所々に展示してあったり、漫画で出てきたストリギリス(肌かき棒)を見ることができたり、「テルマエ・ロマエ」を楽しむことができるのも今回の展覧会の良さだと思いました。

それから、テルマエの模型が飾ってあったり、恥じらいのヴィーナスにお目にかかることもできました。

せっかくなので後ろ姿も♡


また、こちらのパナソニック汐留美術館はルオーのコレクションでも有名のらしく、展覧会の最後のスペースでは10点のルオーの作品を見ることができました。

お風呂にちなんで「水のある風景 水浴図から「聖書風景」まで」というタイトルでした。
今後ルオーの展覧会があるか期待です。

また機会があれば行きたい美術館です


最後にこちら↓は東京駅に戻っていただいたヴィーガンラーメンです。

なんと餃子までヴィーガン!

久しぶりに会った私の数少ないお友達と一緒に食べました。

では、またnote書きます。


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