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プラネタリウム版「宇宙の話をしよう」制作秘話 vol.2-[利根川 初美]

おくればせながら、皆様あけましておめでとうございます。
コスモプラネタリウム渋谷の解説員である西さんからバトンを受け取ったイラストレーターの利根川初美です。
いよいよ1月28日(土)にプラネタリウム版『宇宙の話をしよう』が公開となります。制作最終ランナー、CG映像担当のマークさん(合同会社スターライトスタジオ)の作業が佳境を迎えております!
楽しみです!応援してます!!

さて、私のイラスト制作秘話を…
本の『宇宙の話をしよう』を発行したのは2020年11月。作中のミーちゃんとパパには、小野さんの愛娘ミーちゃんと小野さん自身が全く同じとは言えないけれども投影されています。
私は当時小野さんのことをパーフェクトなスーパーマンだと思っていて、挿絵のパパもシュッとした6頭身でした。(NASAで火星ローバーの仕事をしていて、家庭では家族思いの子煩悩で、リーダーシップもあって、気さくで人情もあるから!)

でも(笑)、プラネタリウム版の打ち合わせが始まった頃(2022年夏)から、知り合って時間も経ったこともありますが、なんだか小野さんの印象が変わってきたのです。
打ち合わせ時に娘に日々言い負かされる情けなさを語り、奥様に細かいことでしょっちゅう叱られるんだとメルマガに書き、パパ役の声優さんに求めるのは「娘に言い負かされるセリフを一番なさけなく言える人」。

あれ?いままで理想的な(靴下に穴が開いてるぐらいの感じも含めて理想的)カッコいいパパが、余裕の心持ちで娘の成長を見守り促す話だと思って描いてきたけれど、今となるとちょっと違うかも。
パパはパパで好きな道とはいえジタバタ生きながらも愛を持って娘とコミュニケーションする話として伝えたい?もっとユーモアがあったほうがいい?と私は感じました。

そんな著者・小野さんに対する気づき(完全なる私の直感)によって制作中のイラストのパパもシュッとした6頭身からコミカルな3頭身までゆるゆると伸び縮し、やわらかく描けた気がします。変なポーズのパパも描いておきましたが、果たしてマークさんは使うかな?

プラネタリウムのドームは大きい。目の前の紙に印刷してある小さなイラストを見るのとは違うだろう。今回はペープサートのようでキャラクターの動きが少ないし、スタイルの良い小さな顔の表情を変えるだけで、お客さんに感情の変化がよく見えるだろうか?と考えて、あえて頭(顔)を少し大きめに描いた絵もあります。というか、描いているうちに自然とそうなっちゃった(笑)
漫画でも、全身〜顔のアップで表情をよく見せたりしますよね。多分そんな感覚…でもまあ、お客さんにはそんな違いは気にならず見てもらえる程度だと思います。←すっごく微妙な話でしたね!でもけっこう迷った点だったんです。

本を映像にするためには、挿絵を描き直したり、追加で新しい絵をたくさん描かねばなりません。そこで、メルマガの切り絵コーナーでおなじみのミツマチヨシコさんが背景画などを描いてくださることになりました。
私は、ミーちゃん・パパ・のっそりくま・本の挿絵に手を入れる作業に集中できました。二人の絵を使って、マークさんの3D映像で物語の世界が立ちあがるのです。

私は普段紙媒体(本や冊子、チラシ、ポスターなど)の仕事なので、自分の絵が立体映像に入り込む、しかもドーム状に映し出されるのは初めての経験です。初めての仕事の流れで制作物の全貌が見えないまま絵を準備し、マークさんの魔法(アイデアとじっくり作業の積み重ねなんですが、私にとってはまるで魔法!)で声優さんたちの声とミツマチさんの美術と合わさって「こんな感じでどうですか?」と想像を超えた素敵な世界が出来上がってくるのです!
これには興奮しました!出来上がってドームで見たら興奮しすぎて眠れなくなりそうです(笑)

ミツマチさんと私は絵のタッチが違いますが、作風の根底にやさしい懐かしさを共有していると私は思っていて、マークさんにもそれを感じます。
だから、3人の絵が合わさっても違和感がなく、めざす世界の広がりを感じました。コラボするっておもしろい!自分一人では作れないものが作れる!

内容は宇宙やロケットの開発で物理、科学、数学…ですが、そこに哲学や精神性、夢とロマン、ユーモア、なにより普遍的な愛がある。たくさんの人達の共感を得られる作品になるのでは?と思います。
ぜひ家族、お友達とお誘いあわせてコスモプラネタリウム渋谷へ観にいらしてください。ミーちゃんと一緒に自分の個性を肯定できたら、きっと春から気持ちよくスタートできるんじゃない?なんて気がします☆

次は背景美術のミツマチヨシコさんにバトンを渡します。どんな話が聞けるかな。お楽しみに…☆

プラネタリウム版「宇宙の話をしよう~Tales of the Cosmic Voyage~」©コスモプラネタリウム渋谷


利根川初美
イラストレーター。1967年静岡生まれ。823design&ART代表。宇宙と地球の自然を愛す。アート講師、グラフィックデザイナーでもある。サビ猫と同居。くいしんぼう。

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