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飛行中にコックピットに入った話

皆さんは飛行機に乗った事があるでしょうか。
多くの人が、乗った事があると答えるかと思います。
僕は日常的に使うことはありませんが、それでも何回かは乗った事があります。
では、ファーストクラスに乗った事はあるでしょうか。
ここで結構減るかと思いますが、それでも乗った事がある人は結構いるかと思います。

それでは、飛行中の飛行機のコックピットに入った事はあるでしょうか。
これはかなり少ないのではないでしょうか。

まだ景気が良かった頃、社員旅行で海外に行くなんて事がよくありました。
今では考えられないですね。これはそんな頃のお話です。

当時働いていた会社もご多分に漏れず、年に1度海外へ社員旅行に行っていました。
その年はグアムの予定でしたが、ハリケーンの直撃を受けたとかで、現地のホテルやインフラが被害を受け、とても観光客を受け入れる事はできないという状況になってしまいました。

そこで急遽旅行代理店が東南アジアの某国の手配をしてくれました。しかし急な事で、どうしても飛行機の席が確保できず、なんと一部の社員はファーストクラスで行く事になりました。
旅行の手配で頑張った幹事と、役員、そして残りは社歴の古い順からという事で、僕も末席に滑り込む事ができました。

ファーストクラスの座席は16席~20席ぐらいだったような記憶があります。なにせ後にも先にもファーストクラスなんて乗った事が無いので、これが多いのか少ないのかもわかりません。
確かに座席はゆったりとして、リクライニングも深いですが、そんなにすごいと感動するほどではありませんでした。
それでもエコノミーと比べると雲泥の差でしょうけど。

食事は感激しました。メニューらしきものを見せられたあと、なんとコース料理が出てきました。てっきりいつも食べているような機内食が出るとばかり思っていました。オードブルから始まり、デザート、食後のコーヒーまでありました。

しかし長い道中、することもなく眠くもないのに寝るしかなく、いい加減飽きてきたころCAさんが来て「機長が3人ずつコックピットの中へどうぞと言っています」と告げました。
うわぁ、滅多に無い事だ!と喜んで中に入りました。自動操縦というやつなのでしょうか、機長と副機長はくつろいでいて、飲み物片手に上機嫌です、ワインを飲んでいますと言われても違和感は無い感じです。さすがにアルコールは飲んで無いと思いますが。

機長は日本語が話せるわけではなく、時折英語で話しかけて来る程度で、こちらも英語が堪能な人間がいなかったので、なんとなく愛想笑いをしたり、微妙な空気が流れていました。
たとえば、ちょっと上空を反航する飛行機がいたのですが、機長が「エアプレーン」と指を指して、みんなも無言でうなずくようなそんな感じでした。コックピット内にいたのは数分だったかと思います。

やがて長い旅も終わろうかという頃、メンバーの中に派手目の顔立ちの可愛らしい子がいたのですが(他部署の子であまり知らないけど、幹事の一人とかでファーストクラスに座っていました)、着陸直前、みんながシートベルトを締めている中、機長に気に入られたのか、ご指名でコックピットに呼ばれて行きました。

機長の大サービスで、着陸の瞬間を操縦席から見せてあげたかったようです。

今ではちょっと信じられない出来事ですね。コンプライアンスやらハイジャック防止の観点から云々とか。
お国柄なのか、おおらかな時代だったのか。
あの機長ももう定年している歳だとは思いますが、一応どこの航空会社かわからないように書いてみました。

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