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UFC276 ヴォルクvsマックス考察

先日のUFC276で大注目だったコ・メインのフェザー級タイトルマッチ、アレックス・ヴォルカウノフスキー(以後ヴォルク)vsマックス・ホロウェイ(マックス)の試合をムーブメントコーチ視点で考察してみます。
僕は普段から選手の動きの分析をし、重心、ステップ、技の角度等の傾向を見ることをしています。

先に水垣偉弥氏の考察を読んでいただけるとより分かりやすいかな。

2戦目のお互いの動き

前戦も見ると違いが分かるので、UFCFightパスに加入の方、youtubeでもまだ無料視聴出来るので見てみてください。リンク
試合はチャンピオンのヴォルクが相手の外を取る動きを基本軸でインローと左フックを攻撃の入りとしていました。

ヴォルクのステップ

外取れれば肩口から右ストレート打ち込みやすいですし、それを見せておけば左フックも入りやすいので基本的には良い作戦です。

対するマックスは左の蹴り、特にミドルで相手の外を取る動きを潰して近距離から得意の回転が速い連打でヴォルクにダメージを与えてました。

これで2Rまでマックスペースで進んでいたのですが、3Rに入りヴォルクがインローにテイクダウンを混ぜて徐々にペースを握り、4,5は彼のラウンドとして、分かれ目の3Rを2者が支持し、稀にみる僅差の48-47のスプリットでヴォルクが防衛。これが物議を醸し今回のトリロジーに期待が高まってきたのだと思います。

今回のヴォルクの動き

今回ヴォルクがやってくるだろうなと僕が予想していたのはインサイドからステップインしてジャブを入れていき、相手が外を取る動きをしてきたらスイッチして相手の外取って右でジャブを放つという動きです。(そう、コリアンゾンビ戦での動きと一緒)

基本のサークリングでインを取る

但し、マックスはリーチこそ無いものの、両肩をだいぶ前にスライドさせて懐を深くしてますし、写真の様に特に奥手が前に来ているのでパーリングが凄く上手な上にそのままカウンターを返すのも速いです。

奥手がだいぶ前にあるマックス

ですので、1Rのヴォルクはサークリングしながら距離を調節し、ジャブを奥手側に打ちながら相手の反応を再三確かめてました。

そこから徐々に顔の左サイドへ狙いを変えて、あのガードの隙間から次々と打ち込んでいきました。

ステップしながら前脚を内旋させて着くと腕を斜めに出しても軸が残りながら長く打て右ストレートも良い角度で相手に打ち込めます。

これは僕も指導でよく言いますが、腕だけ斜めに出しても角度が合わないか、軸がぶれるので蹴りやタックルがある競技だと適さないです。

あのインサイドへステップインをされてイニシアティブ取られると次に外行かれると後手になるので、超基本ですが重要なテクニックです。

対するマックス

前回の対戦では効果的にミドルを打って相手のステップを止めていましたが、今回は相手が基本的にインサイドにステップしてくるので、本来ならジャブの差し合いで勝負するか、あのステップをカーフ打って止めることだと思いましたが、カーフあんまり蹴らなかったですね。

あれだけ遠めから思い切りステップインしてくるとカーフ蹴っても先にジャブが当たってしまうのでイマイチ効果的じゃなかったのかもしれません。

なので、途中から戦術を変えてほしかったですが、マックス程の選手にあれを5R25分やり続けられるヴォルクが本当に凄かった。

UFC目指してる選手たちはあんなの目指すのかと思うと吐き気しますが、僕の分野でどう選手たちに還元出来るか、考えさせられました。

何が効果的?誰なら倒せる?

この試合が終わって、気になって直ぐにヴォルクvsオルテガ見返したのですが、サウスポー取れるスイッチ、しかもステップで変化出来ると少し展開を作りやすいのかなと思ったりしました。

オルテガは左ジャブが上手い選手でサウスポーだと右ジャブと左の蹴りが使えないのですが、サウスポー時のほうがヴォルクはやり辛そうでした。

後は、今いるランカーだとエフロエフの様なゴリゴリロシアングラップラーにはどう対処するのか興味あります。

とはいえは、今回の試合でヴォルクはいよいよフェザーには相手が居ないのを証明してしまったので、ライト級でオリベイラとのスーパーファイトまで待つか。それとも、いつぞやのマクレガーばりの存在を待つか。

UFCのレベルと層の厚さに霹靂しながらアソコで勝ち上がる日本人の指導をまたしたいなと思う次第でした。

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